大坂なおみ効果、世界的テニスプレーヤーがもたらした影響を探る

24歳にしてグランドスラムを4度制した大坂なおみは、コート内外に大きな影響をもたらしている。

1 執筆者 Chloe Merrell
Naomi Osaka
(2022 Getty Images)

**大坂なおみ**がテニス界に再び衝撃を与える。

全仏オープンの主催者は先日、今年は異なるフォーマットで記者会見を実施することを発表した。大会ディレクターを務める元テニス選手の**アメリ・モレスモ**氏によると、この変更はよりフレンドリーなプロセスにするためのもので、精神状態を懸念してメディア対応をしないという大坂の昨年の決断を受けてのものだという。決断の後、大坂は大会を棄権することになったが、彼女の選択は選手の精神面の健康や選手としての義務について広く議論を呼び起こし、問題を投げかけた。

だが、大坂の影響はここで終わらない。

5月11日には大坂がタレントマネジメント会社IMGを離れ、長年の代理人であるスチュアート・デュギッド氏とともに自身のスポーツエージェンシー「EVOLVE」を立ち上げることが明らかになり、スポーツビジネスの世界にも衝撃を与えた。

女子エリートスポーツ選手がエージェンシーを立ち上げ、ビジネスの全権を持つのは初めてのことで、大坂は、自分の会社を持つ**ロジャー・フェデラーレブロン・ジェームズ**と同様の道を歩むことになる。

大坂はインスタグラムで、「長い道のりを歩いてきて、時には凹むようなこともあるけど、みんな自分たちが良くやってるってことが分かっているといいな」と、自身の成長を暗示するような言葉を綴った。

コート内外での大坂の影響力に、彼女がまだ24歳であることを忘れてしまいそうになる。しかし、大坂がテニス界のエリートの階段をのぼり、頂点に立つまでの歩みを振り返れば、スーパースターである彼女が人々から関心を寄せられる理由が見えてくるのではないだろうか。

大坂なおみの歩み

大坂がその才能を見せつけたのは2018年、ノーシードの選手として出場したインディアンウェルズで初のWTAタイトルを獲得したときである。彼女は同年末の全米オープンで**セリーナ・ウィリアムズ**を破って20歳でグランドスラム・タイトルを獲得した。

しかし、多感で若いプレーヤーにとって重要な節目となるはずの勝利は、はるかにつらい経験となる。ウィリアムズの24個目のグランドスラム・タイトルを阻もうとする大坂に対し、観客は決勝でブーイングと野次を飛ばし続け、勝利を掴んだ大坂は涙を流した。

この出来事は大坂を苦しめ続けたが、それでも彼女は勝ち続け、さらに3つのグランドスラムタイトルを手に入れた。

そして2021年春の全仏オープンで、大坂は試合後の記者会見に応じないという驚きの決断をした。

彼女の判断には賛否両論の声が寄せられ、結果的に大坂は東京2020まで競技から離れ、東京2020の開会式ではオリンピックの顔として登場して聖火を灯した。

しかし、彼女が公の場に姿を現したのは、ほんのわずかな時間だった。全米オープンで決勝に残ったレイラ・アニー・フェルナンデスに3回戦で敗れた後、大坂が無期限休養に入ることが発表されたのだ。

2022年初頭、テニスへの愛を理由に再びコートに戻った大坂は、前進しているように見えた。彼女の振る舞いもどこか違って見え、テニスも好調であるように人々の目に映った。

しかしその後のインディアンウェルズで罵声を浴びせられ、それらすべてが崩れ落ちた。この試合で負けた後、大坂は涙をぬぐいながら、ウィリアムズ姉妹がかつてこの大会で罵声を受けたシーンを思い出したこと、そして、それを見たことがなければ見るべきだと観客に語りかけた。

その数日後、大坂はTwitterでインディアンウェルズでの出来事によって、自分が変えられてはいけないという決意を表明。マイアミ・オープンでは、2021年の全豪オープン以来となる決勝進出を果たした。

フロリダでの彼女の成功は、自分の気持ちをサポートするためにセラピストと話を始めたというニュースと重なった。

大坂は試合後、「久しぶりにコート上で楽しむことができた」とし、久々に自分の実力に満足感が得られたことをSelfで明かし、「新しい視点が生まれ、このキャリアとプラットフォームがあることにとても感謝している。エネルギーが湧いていて、やる気もある」と続けた。

大坂なおみの新たな一歩

大坂は輝かしいテニスのキャリアを歩み続けているが、全体的な見通しの変化と新しく設立した事務所により、彼女のキャリアは新しい段階へと前進しているようだ。

新事務所の設立に加え、大坂は自身のプラットフォームを利用して、自分にとって重要な問題に意識を向け続けている。それは、2020年にジョージ・フロイドさんとブリオナ・テイラーさんが殺害された事件が発端となって世界中で抗議運動が起こった際に、彼女が始めたことである。

最近のプロジェクトのひとつは、アスリートにとって重要なテーマであるメンタルヘルスと密接に結びついている。変化の最前線に立って貢献するため、大坂は、メンタルヘルスをサポートするリソースと人々をつなぐアプリ「Modern Health」のアリソン・ワトソンCEO兼創設者とパートナーシップを結んだ。

その一環として、大坂はWTAと協力し、他のテニス選手のメンタルヘルスの旅にスポットライトを当てる予定だ。「主な目標は、彼らがひとりではないことを思い出させることです」と、大坂はSelfに語った。

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