4月28日から5月1日の日程で行われる競泳の日本選手権。9月に中国・杭州で行われるアジア競技大会の追加選考大会として位置づけられており、第一次選考大会となった3月の国際大会派遣選考会で代表入りを逃した選手にとって重要な大会となる。
日本競泳女子の**池江璃花子**も3月の選考会で涙をのんだ選手のひとり。今回の日本選手権では50m、100m、200mの自由形、50mと100mのバタフライの5種目にエントリーした。タイトなスケジュールとなるが、「試合を積み重ねることが結果につながる」という池江の強い意思が感じられる。
戦わずして負けるか、戦って終わるか
世界選手権やアジア競技大会などの代表内定をかけて行われた3月の国際大会派遣選考会。池江は5年ぶりの世界選手権個人種目出場を目標に掲げて挑んだものの、出場した3種目でいずれも日本水泳連盟が定める派遣記録基準に届かず、世界選手権およびアジア競技大会の代表内定を逃した。
選考会3日目の100メートル自由形を終えた池江は、「(初日の)50mバタフライのときから自分が情けなくて、去年から全く何も成長してないし、この1年間、頑張ってきたのに何でだろうという気持ちでいっぱいです」と涙ながらに思いを吐露した。
しかし翌日の最終日は、その涙とは対照的だった。
選考会最終日3月5日の100mバタフライで優勝したものの記録が及ばず、世界選手権に出場するという目標が断たれた池江。それでもレース後に明るい表情を見せると、「(この種目を)棄権することも考えた」とした上でこう語った。
「戦わずして負けるか、戦って終わるか、どっちかを選ぶんだったら、自分のためにもこの種目は泳いで未来につなげられたらと思っていたので、この種目(100mバタフライ)で優勝することができてよかったです」
「派遣(記録基準)が切れなかったとしても、ここで自分がしっかり戦えたということには意味があると思って、切り替えて、自分に何が足りなかったのかを今後考えて、一から強化をし直したいと思います」
大会期間中の短い時間の中で気持ちを切り替え、前を向く池江の強さを目の当たりにした人も少なくないだろう。
アジア競技大会出場をかけた戦い
そんな池江の次の戦いがまもなく始まる。世界選手権は出場を逃したものの、今回の日本選手権では、9月のアジア競技大会出場をかけて5種目に挑む。池江が出場したアジア競技大会といえば、2018年にジャカルタで開催された大会が思い出される。
当時高校生だった池江は8種目に出場し、初日に行われた女子4×100mリレーで優勝に貢献したのを皮切りに、バタフライ、自由形で大会新記録や日本新記録を樹立。日本勢最多の6冠を達成した。池江が白血病を公表する4ヶ月前のことである。
2019年末に退院し、「驚異的」と言われるほどの回復力で競技に復帰し、昨年のこの日本選手権で東京オリンピックへの切符を掴んだ池江。あれから1年後の今、再びこの舞台に立ち、未来につなげるためにレースを重ねていく。
「自分の目標は24年のパリなので、今回(選考会)の結果が良くなかったとしても、試合を積み重ねて、結果を残していくことで2024年の結果につながってくると思って、自分を信じてやっていきたいと思います」
- 池江璃花子、2022年3月に行われた国際大会派遣選考会最終日のレース後のコメント
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