【バスケットボール】FIBAアジア杯:日本は準々決勝敗退も若手が躍進。「未来が少し見えてきた」大会に

インドネシア・ジャカルタで開催されたFIBAアジアカップ2022。男子日本代表・AKATSUKI FIVEはベスト8で大会を終えた。準々決勝で対戦したオーストラリアには直近の対戦で大敗していたが、今回は若手の奮闘もあって14点差での敗戦。「未来が少し見えてきた」とトム・ホーバスHCが語るように、収穫のある大会となったようだ。

1 執筆者 マンティー・チダ
FIBA Asia Cup
(2022 Getty Images)

男子バスケットボール「FIBAアジアカップ2022」は7月24日にインドネシア・ジャカルタで決勝が行われ、オーストラリアが連覇を達成して閉幕。予選Cグループを2位で通過した日本は、ベスト8進出決定戦でフィリピンを下したが、準々決勝でオーストラリアに敗れてベスト8で大会を終えた。

◆イランに敗れるも予選ラウンドを2位通過

今回の日本代表の中で、Tokyo2020に出場した選手はわずか3人(富樫勇樹、渡邊雄太、張本天傑)。若手中心のフレッシュな顔ぶれでアジアカップに挑んだ。

予選ラウンド初戦のカザフスタン戦は、序盤から相手に高確率でシュートを決められるなど、45-48で前半を折り返した。後半に入り、日本はチーム方針でもあるアグレッシブなディフェンスからのトランディションが機能。シュートも入り始め、リズムを取り戻す。

河村勇輝が前線からプレッシャーをかけ続け、吉井裕鷹もフィジカルの強さを発揮。日本のエース格となった富永啓生も13得点と、新たに代表入りした若手選手たちが日本を逆転に導き、100-68で白星スタートを飾った。

2戦目のシリア戦では、相手のゾーンディフェンスをものともせず、3ポイントシュートを52本試投して27本成功。51.9パーセントと高確率で沈めて得点を伸ばした。最終的には117-56、2試合連続の100点ゲームとし、開幕2連勝で予選突破を果たした。特に、須田侑太郎が9本の3ポイントを含む33得点、富永も7本の3ポイントを含む23得点でチームを牽引。1Q終盤の鮮やかなパス回しから富永が3ポイントを決めたシーンは、まさにボールと人が連動した瞬間だった。

3戦目は予選グループ首位をかけたイラン戦。日本は序盤から競った展開に持ち込むが、徐々にミスマッチを突かれて高確率でシュートを決められるなど、前半を34-48で折り返した。ようやく4Qに入ってから井上宗一郎のリバウンドや3ポイントシュート、張本天傑の果敢なアタックからスコアを伸ばしたものの、時既に遅く、76-88でイランに黒星。予選グループ2位通過で決勝トーナメント進出となった。

◆オーストラリアに雪辱を果たせぬも、若手の活躍で「未来が少し見えてきた」

日本はフィリピンとのベスト8決定戦を、今大会3度目の100点ゲームとなる102-81で勝利。トム・ホーバスHC(ヘッドコーチ)が目指してきた3ポイントシュートと、ペイントアタックからチームの成長が見えてきた。

準々決勝の相手オーストラリアとは、7月1日にFIBAワールドカップアジア地区予選Window3で対戦して52-98と大敗。さらに、ここまで日本を牽引してきた渡邊がフィリピン戦で負傷したため、この20日間でどこまで進化できたのかを図る意味でも、オーストラリア戦は重要な一戦となった。

試合開始5分で10点差を追いかける状況となった日本は、河村と井上、富永らベンチメンバーを投入してチームを活性化させるが、オーストラリアとの点差は開いていく。最大21点差開いたところから、第4Q残り4分に富永が3ポイントシュートを沈めて9点差まで迫るものの、オーストラリアに振り切られて85-99で試合終了。日本は準々決勝でアジアカップから姿を消すことになった。

オーストラリアに14点差で敗れたものの、日本にとっては大きな収穫になった。「自分の役割をこなした」と試合後の記者会見でコメントした富永は、3ポイント8本を含む33得点をマークし、河村もチームハイの5アシストでチームに貢献。「未来が少し見えてきた」とホーバスHCがコメントするように、日本は若手の活躍から進化を遂げていたのだ。

ベンチで戦況を見つめていた渡邊も「3週間前に40点差で負けたとは思えないほど素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました」とチームの成長を認める。もちろん、勝利する事に越したことはないが、格上にあたるオーストラリアが驚くような、日本の成長だったことは間違いないだろう。

8月以降も日本の戦いは続いていく。13・14日にはアジアカップで敗れたイランと国際強化試合を行った後、FIBAワールドカップアジア地区予選Window4でイラン、カザフスタンと対戦する。

ホーバスHCは、アジア地区予選Window3予備登録メンバーが発表された時に、2チーム体制での強化を宣言。昨シーズンのBリーグでセミファイナルまで残っていた宇都宮ブレックス、琉球ゴールデンキングス、川崎ブレイブサンダース、島根スサノオマジックに当時在籍していた選手はアジアカップでの招集を見送られた。次回の活動にはそういった選手を含め、新たな顔ぶれが集まることが見込まれる。いったいどんなメンバー構成となるのか。今後が楽しみである。

■日本代表メンバー

  • 2 富樫 勇樹(PG/167センチ/千葉ジェッツ)
  • 3 エヴァンス ルーク(C/203センチ/ファイティングイーグルス名古屋)
  • 12 渡邊 雄太(SF/206センチ/-)
  • 16 佐藤 卓磨(SF/197センチ/千葉ジェッツ)
  • 17 須田 侑太郎(SG/190センチ/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
  • 19 西田 優大(SG/190センチ/シーホース三河)
  • 33 河村 勇輝(PG/172センチ/横浜ビー・コルセアーズ)
  • 39 富永 啓生(SG/188センチ/ネブラスカ大学)
  • 45 テーブス 海(PG/188センチ/滋賀レイクス)
  • 71 井上 宗一郎(PF/201センチ/サンロッカーズ渋谷)
  • 88 張本 天傑(PF/198センチ/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)
  • 91 吉井 裕鷹(SF/196センチ/アルバルク東京)
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