【独占】ドロテア・ウィーラー : 今度こそ、オリンピック金メダル

イタリア史上最も成功を収めたバイアスロン選手、ドロテア・ウィーラーが手にしていないもの、それはオリンピックの金メダル。世界のトップを走り続けるバイアスリートが抱える、北京2022への決意に迫った独占インタビュー 

1 執筆者 Michele Weiss
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(2018 Getty Images)

**ドロテア・ウィーラー**が、バイアスロンのスター選手となって、イタリアだけでなく、世界にその名を轟かせて、もう10年近く経過する。

インスタグラムのフォロワー数が60万人を超えるウィーラーは、イタリア史上最も成功を収めているバイアスロン選手として、イタリア国内はもちろんのこと、世界中のファンから"ドロ"というニックネームで愛されている。

彼女は、この10年で、ほぼ全てのタイトルを恣にしてきた。

世界選手権で3個の金を含む計7個のメダル、ワールドカップ総合優勝者に与えられるクリスタルグローブのトロフィーを2本、種目別グローブのトロフィーを4本、さらにソチ2014と平昌2018の混合リレーで、2大会連続のオリンピック銅メダルを獲得している。

今年31歳となるウィーラーが、ひとつ、その手に収めていない最後の称号を、今、追いかけている。

そう、オリンピックの金メダルだ。

もちろん、容易なことではない。とくに、昨シーズン、彼女は期待されたほどの結果を残すことができずにいた。

**北京2022**を控え、シーズンの本格到来を前に、Olympics.comはウィーラーとの単独インタビューを敢行。イタリアのユース選手から、世界のトップアスリートへと進化を遂げ、開幕まで2ヶ月足らずとなった冬季オリンピックに向けて、彼女の心の内に秘められた3度目の出場となるオリンピックへの決意、家族への想い、またイタリア人ならではのファッションへの情熱など、様々に語ってもらった。

Olympics.com(以下OC) : いよいよ、オリンピックを迎える重要なシーズンが始まろうとしていますね。今の心境や今シーズンの目標について、お聞かせください。

ドロテア・ウィーラー(以下DW) : まだレースが始まったわけではないので、特別な感情はありません。季節が冬へと向かい、北欧の寒い地域からレースがまもなく始まるというのを、待っているところです。ただ、目標は明らかです。北京でのメダル獲得を目指して、どのバイスアスリートも、今シーズンの準備に忙しくしています。だって、3人しか表彰台に上ることができないのですから。私もすべてを捧げているところです。中国に到着したら、心を落ち着けて、この秋冬でトレーニングしてきたこと全てを発揮できるように集中したいです。なので、秘密にするようなことは、何もありません。バイアスロンというスポーツは、射撃とクロスカントリーが組み合わさったスポーツですから、とにかくやることが多いのです。なので、ただただ、全てがうまくいけばいいと願っています。

OC : この夏は、北京2022に向けて何か特別な準備をされましたか?

DW : いいえ、いつも通りです。夏は本当に、たくさんのトレーニングをします。もちろん、毎シーズン状況は異なるので、100%同じことをしているわけではないですが、気付いたら同じことを繰り返しているという実感があります。とにかく、やることが多いので、すべてに全力を注いでいます。

(2018 Getty Images)

OC : ちょっと難しい質問をさせてください。ワールドカップの総合優勝か、オリンピックの金メダル、今シーズン選ぶとしたら、どちらですか?

DW : 今は、迷うことなく、オリンピックゴールドを選びますね。ワールドカップの優勝は、すでに達成しているので。でも、クリスタルグローブのトロフィーも特別です。だって、そのシーズンを通じて、最も強い選手になったという証になるのですから。ワールドカップにしても、オリンピックにしても、予期せぬことが起こります。その時に、一番いい状態で戦い、最も素晴らしいパフォーマンスをした人に、勝利の女神が微笑むのですから。でも、今はやっぱり、オリンピックの金メダルですね。難しいことだとは、理解しているのですけれど(笑)

OC : その難しさは、ライバル選手にとっても同じですよね。彼らについては、どのような思いがありますか?

DW : バイアスロンというスポーツは、本当にクレイジーなスポーツです。少なくとも20名の女性選手がライバルとなって、そのひとりひとりが表彰台を目指して争うことになるのですが、ある人は上手にコースをクリアするのです。そうしたら、それを上回って、さらに上手にコースを回る選手が現れるのです。バイアスロンは、ハイレベルなスキルを要求されるスポーツなのですが、そこにさらに、複雑性も絡んできます。射撃とクロスカントリーという、異なるふたつのスポーツがひとつに組み合わさったスポーツがバイアスロンなので、いい所も悪い所も、両方がありますよね。とにかく、予見できないことが多いです。

OC : シーズンが始まると、長く遠征に出たりしますよね。どのようにアスリートキャリアとプライベートライフを保っているのでしょうか?

DW : 今はもう、慣れました(笑)主人(クロスカントリーのイタリア代表)と出会った頃は、一緒に国際大会へ遠征に出ていました。今は、家に帰るのが楽しみで、できるだけ多くの時間を家族と過ごしたいと考えています。主人もアスリートだったので、いい状態をキープする方法や、悪い時にどう耐えなければいけないかなど、私のことをとても理解してくれています。大事なのは、お互いの信頼関係ですね。何ヶ月もの間、家族と離れて過ごさなければならない時、相手を信じるというのが重要だと、個人的に感じています。

OC : ファッションがとてもお好きですよね。イタリア出身ということもあり、将来はファッション関係のお仕事もされたいと伺っています。

DW : はい、将来は、絶対にファッション関係に携わりたいと思っていますが、今は競技に集中していて、勉強する時間がありません。でも、流行には後れないようにしています(笑)洋服は大好きですし、お洒落に着こなしたいって考えています。イタリア人に生まれたわけですから、ファッションはとても大事なものですし、お洒落に世界を旅したいですよね。ファッション好きの他の国の人からしたら、うらやましく感じてもらえるところですよね(笑)イタリアは、本当に恵まれていると思います。海も、太陽も、雪も、食べ物も、ファッションもありますから。

OC : 食べ物に触れられましたが、アスリートとして、これからのクリスマスシーズンは、誘惑が多く大変な時ですよね?

DW : そうなんです!スイーツとかケーキとか、「禁じられた」食べ物が大好きなので、本当に大変です。ヘルシーフード自体は好きですけれど、グルメも大好きなので、バランスを取るのが大変です。日常的には、健康にいいものを食べていますが、これからの競技シーズンは、特に食べ物には注意しなくてはいけないですね。

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