ダイヤモンドリーグ2022:見どころや注目の選手、視聴方法は?

オリンピックチャンピオンや世界王者など、陸上のトップアスリートが参加して行われるダイヤモンドリーグ2022。陸上競技の最高カテゴリーとして各都市を転戦して行われるこのシリーズ戦が、カタールの首都ドーハで5月13日に開幕する。

1 執筆者 Evelyn Watta
 A genaral view of the Memorial Van Damme Brussels
(Getty Images)

13戦が予定されている2022年のダイヤモンドリーグは、5月13日(金)にドーハで幕が切って落とされる。2022年の世界陸上競技選手権までおよそ70日。東京2020オリンピックに続く興奮の戦いが繰り広げられ、世界選手権前の重要なハイライトとなることが予想される。

選手らは大会に出場するという誇りを胸に、世界記録へと挑むべく驚異的なパフォーマンスを見せることだろう。

ここでは、注目の選手や今シーズンの見どころ、スケジュールや視聴方法をご紹介しよう。

ドーハでオリンピックの興奮再び

シリーズ初戦となるドーハでは、男子200mで白熱のレースを見られるだろう。東京オリンピック金メダリストの**アンドレ・ドグラス(カナダ)のほか、同大会で銅メダルに終わった世界王者のノア・ライルズ(米国)、東京2020の100m銀メダリストのフレッド・カーリー**(米国)がスタートラインに並ぶ。

「昨年、初めてオリンピック金メダルを獲得したことは、本当に特別なことだった」と語るドグラスは、この金メダルを含めてオリンピックメダルを6度獲得している。7月の世界選手権にピークを合わせられるよう今大会に挑む。

「リオ2016と2019年の世界選手権で、安定して表彰台に立ったにもかかわらず、物足りなさを感じていた。努力しているし、最高の状態でいたい。東京で金メダルを獲得したことが自信になり、この夏も世界選手権で勝てるパフォーマンスができるだろう。(世界選手権が開催される)ユージーンでのその目標に向けて、ドーハでシーズンをスタートするのが楽しみだ」

今大会では、彼のチームメイトで東京オリンピックの200mで6位だった**アーロン・ブラウンと、4×100mリレーで金メダルを獲得したフィリッポ・トルトゥ**(イタリア)も出場するなど、スターぞろいのラインアップになっている。

男子400mハードルでは、世界記録を更新する45秒94の走りでオリンピック金メダルを獲得した**カルステン・ワーホルム、そして銀メダリストのライ・ベンジャミン**もドーハのカタールSCスタジアムに姿を表す。

同種目にはこのほかオリンピック銅メダリストの**アリソン・ドス・サントス、オリンピック決勝で5位だったカタールの人気選手、アブデラマン・サンバ**も出場を予定している。

また、カタールで最も多くのメダルを獲得した陸上界のスター、ムタズ・エサ・バルシムが地元ファンを沸かせることだろう。現在30歳のバルシムは東京2020の走り高跳びで金メダルを分け合ったジャンマルコ・タンベリ(イタリア)と、東京大会以来、初めて対決する。バルシムは、「私たちのオリンピック金メダルはひとつの歴史になった。しかし、この夏はユージーンでの世界タイトルの防衛に集中している」と、ダイヤモンドリーグのウェブサイトで語っている

一方のタンベリも、「東京でムタズと一緒に、これまでの人生で最高の瞬間を祝った」とし、「そこから前に進み、この夏の世界選手権とヨーロッパ選手権に向けた新たな目標に集中することが重要だ」と語った。

この2選手は、6月9日にローマで開催されるダイヤモンドリーグ第5戦のゴールデンガラにも出場を予定している。

スプリントの女王、トンプソン=ヘラが英バーミンガムに

ダイヤモンドリーグ第2戦の舞台は、5月21日の英国バーミンガム。オリンピックで5つの金メダルを獲得している**エレイン・トンプソン=ヘラ**(ジャマイカ)が女子100mに出場する。100mと200mのオリンピックタイトルを初めて防衛した彼女は、世界選手権に照準を合わせ、自己ベスト(10秒54)の更新を目指す。

**フローレンス・グリフィス=ジョイナー**に次いで歴代2位の記録を持つトンプソン=ヘラは、「これまでのキャリアで成し遂げてきたことをもちろん誇りに思う。でも、達成したいことはまだまだある。だから、これまで以上にやる気に満ちている」と語る。

トンプソン=ヘラは、2021年ダイヤモンドリーグの総合優勝を果たしており、東京オリンピック100m銅メダリストの**シェリカ・ジャクソン(ジャマイカ)や、オリンピック銅メダリスト(4x100mリレー)のディナ・アッシャー=スミスダリル・ネイタ**の英国勢は、厳しい競争を強いられるだろう。

注目のプレフォンテインクラシック男子100m

ダイヤモンドリーグ第3戦となるプレフォンテインクラシックは5月28日に予定され、会場は世界選手権と同じ米ユージーンのヘイワード・フィールド。スプリント王者**マルセル・ジェイコブス**とドグラスなど、世界最速の男たちの激突が期待されている。

ジェイコブは「東京オリンピック以来、初めての米国でのレースで、すでにアドレナリンが出ている。トラックに立つことが待ちきれない」と語る。

このほか、米国のカーリー、現・世界王者の**クリスチャン・コールマン、東京オリンピックで決勝に進出したロニー・ベイカー、オリンピック銀メダリストのケニー・ベドナレク**、ノア・ライルズが、世界選手権の前哨戦に位置づけられるこの大会のスタートリストに名を連ねる。

ジェイコブス、カーリー、そしてオリンピックに2度出場した経験を持つ**トレイボン・ブロメル**は、6月9日にローマで開催されるゴールデンガラを盛り上げることも予想される。

オリンピックの女子1500mを2大会連続で制している**フェイス・キピエゴン(ケニア)は、今シーズンのリズムを掴みたいところ。同種目では、東京大会銀メダリストのローラ・ミューア(スコットランド)や、5000m銅メダリストで1500m室内世界記録保持者のグダフ・ツェガエ**(エチオピア)らが出場する。

もうひとつの注目種目は、男子のバウワーマンマイル。オリンピック・チャンピオンの**ヤコブ・インゲブリクトセン(ノルウェー)、1500m銀メダリストのティモシー・チェルイヨット**(ケニア)、同じくケニア出身で2021年のU20世界選手権で1500mを制した、ヴィンセント・キベットの出場が確定している。

オリンピック銀メダリスト、フランシーヌ・ニヨンサバ(ブルンジ)は、好調だった2021年シーズンをベースに2マイルの世界記録更新に挑戦する。

また女子円盤投げでは、オリンピック金メダリストである**バラリー・オールマン(米国)が、ロンドン2012とリオ2016で同種目を制したサンドラ・ペルコビッチ(クロアチア)や東京2020銀メダリストのクリスティン・プデンツ**(ドイツ)らと対戦する予定。

ダイヤモンドリーグ記録に挑戦するトップスターたち

世界記録保持者の**アルマンド・デュプランティス**(スウェーデン)は、棒高跳びでどこまで高さを上げられるだろうか。デュプランティスは今年3月に世界記録を2度更新。ドーハでスタートさせる新シーズンは、彼の記録更新に注目が集まる。

現在22歳のデュプランティスは6m02でオリンピックタイトルを獲得した後、世界室内選手権で6m20の脅威的な記録で優勝。初の世界タイトルを狙う今季、2020年のダイヤモンドリーグ・ローマで自身が記録した6m15の屋外記録を上回ることを目指す。

今シーズン、三段跳びの**ユリマル・ロハス**(ベネズエラ)が出場すれば、さらなる歴史が作られるに違いない。ベネズエラのスター選手であるロハスは、ベオグラードで15m74を跳び、世界記録を破ったばかりだ。

東京オリンピックで素晴らしい活躍を見せたカルステン・ワーホルムが、ダイヤモンドリーグでどのようなデビューを飾るかは、世界選手権前のハイライトのひとつとなるだろう。

第3戦の米国大会では、記録保持者の**ジョシュア・チェプテゲイ(ウガンダ)とレテセンベト・ギデイ**(エチオピア)に注目が集まる。チェプテゲイは、自身の5000m世界記録である12分35秒36の更新を目指し、世界記録保持者ギデイが1時間走(18930m)に挑む。

東京2020で金メダル2個、銅メダル1個を獲得したオランダのオールラウンダー、**シファン・ハッサン**のパフォーマンスも見どころとなるだろう。

ダイヤモンドリーグの新たな開催日と会場

新型コロナ感染拡大の懸念によって中国での開催が中止となったことから、今年のダイヤモンドリーグシリーズの日程が変更された。

ポーランドのホジュフで8月6日に開催されるカミラ・スコリモフスカ記念が、7月30日に上海で予定されていた大会に代わり、8月6日に中国・深圳で予定されていた大会は今年は実施されない。

シーズン終了時に各種目で最も良い成績を収めた選手が、ダイヤモンドリーグのチャンピオンとなる。

ダイヤモンドリーグ2022のスケジュール

  • 5月13日 ドーハ(カタール)
  • 5月21日 バーミンガム(英国)
  • 5月28日 ユージーン(米国)
  • 6月5日 ラバト(モロッコ)
  • 6月9日 ローマ(イタリア)
  • 6月16日 オスロ(ノルウェー)
  • 6月18日 パリ(フランス)
  • 6月30日 ストックホルム(スウェーデン)
  • 8月6日 シレジア(ポーランド)
  • 8月10日 モナコ
  • 8月26日 ローザンヌ(スイス)
  • 9月2日 ブリュッセル(ベルギー)
  • 9月7日、8日 チューリッヒ(スイス)=ダイヤモンドリーグ・ファイナル

ダイヤモンドリーグ2022の視聴方法

チューリッヒで開催されるダイヤモンドリーグ・ファイナルは、一部の国においてダイヤモンドリーグのYouTubeページで視聴可能。その他の国では、放送権を持つ放送局がライブ中継またはハイライトを放送する。

各大会は少なくとも13種目をカバーする2時間のライブ番組として世界的に放送される予定。各ダイヤモンドリーグ大会の全競技種目リストはこちら

(2010 Getty Images)
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