バドミントンのワールドツアーランキングの上位8選手・ペアのみが参加し、年間王者を決める「BWFワールドツアーファイナルズ2023」が、まもなく中華人民共和国浙江省の省都・杭州で幕を開ける。
12月13日〜17日の日程で行われる今年のファイナルズには、怪我のため欠場となる女子シングルスの山口茜を除き、昨年のバンコク大会の年間王者の全員が参戦する。中でも、デンマークのビクトル・アクセルセンは男子シングルス3連覇に向けて戦いに挑む。
日本からは奈良岡功大をはじめ、渡辺勇大&東野有紗ペアなど5人・組が出場権を獲得。年間王者を決めるこの大会でどんな戦いを見せるのか。
奈良岡功大がベテラン勢に挑む
男子シングルスでは、圧倒的な存在感を放つアクセルセンが、2018年に大会が始まって以来まだ誰も達成したことのない3連覇を狙う。その道を阻む選手は現れるのか?
顔ぶれを見てみると、2020年大会で優勝したアンダース・アントンセン(デンマーク)、2018年大会の覇者シー・ユーチー(石宇奇/中華人民共和国)、世界王者のクンラブット・ビチットサーン(タイ)など、ベテラン陣が勢ぞろう。
そんな中、ワールドツアーランキング1位で今大会に挑むのが日本の奈良岡功大である。奈良岡は、世界バドミントン連盟(BWF)が主催する今年のワールドツアーで安定して上位進出を果たし、ファイナルズ直前の中国マスターズで優勝を飾った。アクセルセンとこれまでに5度対戦しているものの、まだ勝利は掴めていない。ただ、今年は世界選手権でシーやアントンセンなどを破って決勝進出も果たし、大きな自信となったことは間違いない。ツアー最終戦でそれがどんな形で現れるのかに注目したい。
[男子シングルス 2023年出場選手]
- 奈良岡功大(日本)
- ジョナタン・クリスティ(インドネシア)
- シー・ユーチー(石宇奇/中国)
- リ・シーフェン(李詩灃/中国)
- ビクトル・アクセルセン(デンマーク)
- アンソニー・シニスカ・ギンティング(インドネシア)
- アンダース・アントンセン(デンマーク)
- クンラブット・ビチットサーン(タイ)※
※ 8位には西本拳太が入ったが、タイのクンラブット・ビチットサーン(ランキングは9位)が世界選手権優勝者としてファイナルズへの出場権を得ているため、西本は参加しない。
[男子シングルス 歴代優勝選手]
- 2018年 シー・ユーチー(石宇奇/中国)
- 2019年 桃田賢斗(日本)
- 2020年 アンダース・アントンセン(デンマーク)
- 2021年 ビクトル・アクセルセン(デンマーク)
- 2022年 ビクトル・アクセルセン(デンマーク)
一方、男子ダブルスでは、中国のリャン・ウェイケン(梁偉鏗)&ワン・チャン(王昶)がツアーランキング1位でファイナルズ初制覇を狙う。リャン&ワン組は、今年のワールドツアーで6度決勝に進出し、先日の中国マスターズを含め4大会で優勝した。
彼らが敗れた2戦の決勝のうちのひとつが6月のシンガポール・オープン。この大会で優勝を飾ったのが「ホキコバ」である。今年のホキコバは、その優勝のほか2大会で決勝進出。ふたりは2021年のファイナルズを制しており、2大会ぶりの栄光を掴むことができるのかに注目したい。
このほか、マレーシア・オープンでリャン&ワン組を破ったインドネシアのファジャル・アルフィアン&ムハマド・リアン・アルディアント、昨年大会を制した中国のリュウ・ユーチェン(劉雨辰)&オウ・シュアンイ(欧烜屹)、世界選手権を制した大韓民国のカン・ミンヒョク&ソ・スンジェ、準優勝となったデンマークのキム・アストルプ&アンダース・スカールプ・ラスムセンらが出場権を掴みとった。
[男子ダブルス 2023年出場選手]
- リャン・ウェイケン(梁偉鏗)&ワン・チャン(王昶/中国)
- ファジャル・アルフィアン&ムハマド・リアン・アルディアント(インドネシア)
- カン・ミンヒョク&ソ・スンジェ(大韓民国)
- アーロン・チア&ソー・ウーイック(マレーシア)
- 保木卓朗&小林優吾(日本)
- キム・アストルプ&アンダース・スカールプ・ラスムセン(デンマーク)
- リュウ・ユーチェン(劉雨辰)&オウ・シュアンイ(欧烜屹/中国)
- ムハマド・ショヒブル・フィクリ&バガス・マウラナ(インドネシア)
[男子ダブルス 歴代優勝選手]
- 2018年 リ・ジュンフイ(李俊慧)&リュウ・ユーチェン(劉雨辰)
- 2019年 ムハマド・アフサン(インドネシア)&ヘンドラ・セティアワン(インドネシア)
- 2020年 リー・ヤン(李洋)&ワン・チーリン(王齊麟/Chinese Taipei)
- 2021年 保木卓朗&小林優吾(日本)
- 2022年 リュウ・ユーチェン(劉雨辰)&オウ・シュアンイ(欧烜屹/中国)
山口茜が欠場する一方、日本女子ダブルスは2組が参戦
2022年のファイナルズを制した女子シングルスの山口茜は、怪我の回復に時間を費やしており、ツアーランキングで3位に立つも、今大会を欠場する。
山口に代わっって今年8月から世界ランキング(ツアーランキングとは異なる)で首位に立つアン・セヨン(大韓民国)は、向かうところ敵なしといった今季を過ごしており、秋に怪我に見舞われたものの、ツアー8大会で優勝し、世界選手権も制覇した。アンは2大会ぶりのファイナルズ優勝を掴むことができるのか?
そんな彼女を止める可能性のある実力者たちも揃っている。ファイナルズ優勝経験を持つチェン・ユーフェイ(陳雨菲/中国)やタイ・ツーイン(戴資穎/Chinese Taipei)、世界王者に輝くこと3度のキャロリーナ・マリン(スペイン)、さらに強豪国の中国で女子シングルス2番手に浮上したハン・ユエ(韓悦)にも注目が集まる。
[女子シングルス 2023年出場選手]
- アン・セヨン(大韓民国)
- チェン・ユーフェイ(陳雨菲/中国)
- タイ・ツーイン(戴資穎/Chinese Taipei)
- キャロリーナ・マリン(スペイン)
- ハン・ユエ(韓悦/中国)
- グレゴリア・マリスカ・トゥンジュン(インドネシア)
- ベイウェン・ジャン(アメリカ合衆国)
- キム・ガウン(大韓民国)
[女子シングルス 歴代優勝選手]
- 2018年 シンドゥ・プサルラ(インド)
- 2019年 チェン・ユーフェイ(陳雨菲/中国)
- 2020年 タイ・ツーイン(戴資穎/Chinese Taipei)
- 2021年 アン・セヨン(大韓民国)
- 2022年 山口茜(日本)
女子ダブルスではトップ8組の中に、日本女子が3組ランクインしたが、出場できるのは各国2組までとなっており、永原和可那&松本麻佑の「ナガマツ」ペア、志田千陽&松山奈未の「シダマツ」ペアが出場権を掴みとり、日本勢3番手の福島由紀&廣田彩花ペアは参加しない。
残りの6組の中には、ファイナルズを2度制した経験を持ち、2023年の世界選手権でも優勝した中華人民共和国のチェン・チンチェン(陳清晨)&ジア・イーファン(賈一凡)組、2021年覇者のキム・ソヨン&コン・ヒヨン(大韓民国)が名を連ね、優勝を狙う。
[女子ダブルス 2023年出場選手]
- チェン・チンチェン(陳清晨)&ジア・イーファン(賈一凡/中国)
- ペク・ハナ&イ・ソヒ(大韓民国)
- 永原和可那&松本麻佑(日本)
- 志田千陽&松山奈未(日本)
- リウ・シェンシュ(劉聖書)&タン・ニン(譚寧/中国)
- キム・ソヨン&コン・ヒヨン(大韓民国)
- アプリヤニ・ラハユ&シティ・ファディア・シルバ・ラマダンティ(インドネシア)
- ジョンコルファン・キティタラクル&ラウィンダ・プラジョンジャイ(タイ)
[女子ダブルス 歴代優勝選手]
- 2018年 松友美佐紀&高橋礼華(日本)
- 2019年 チェン・チンチェン(陳清晨)&ジア・イーファン(賈一凡/中国)
- 2020年 シン・ソンチャン&イ・ソヒ(大韓民国)
- 2021年 キム・ソヨン&コン・ヒヨン(大韓民国)
- 2022年 チェン・チンチェン(陳清晨)&ジア・イーファン(賈一凡/中国)
混合ダブルス、渡辺勇大&東野有紗が日本勢初優勝という歴史を刻むのか?
ワールドツアーファイナルズにおいて、男子・女子シングルス、男子・女子ダブルスで日本勢は1度ずつ優勝したことがあるものの、混合ダブルスではまだ誰も表彰台の頂点に立ったことがない。
となれば、日本の混合ダブルスの歴史を作り続けている渡辺勇大&東野有紗に期待がかかる。「ワタガシ」ペアは今年のワールドツアーで2勝を挙げ、そのうちジャパンオープンでの優勝は、日本選手「初」として注目を集めた。彼らは2021年のファイナルズで決勝で敗れており、今回大会ではさらにその上を目指すことになる。
混合ダブルスでは、2022年および2019年優勝のジェン・スーウェイ(鄭思維)&ファン・ヤーチョン(黄雅瓊/中華人民共和国)、2021年&2020年連覇のデチャポル・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)、世界選手権で優勝したソ・スンジェ&チェ・ユジョン(大韓民国)、ワールドツアー1位でファイナルズに挑むフェン・ヤンジー(馮彥哲)&ファン・ドンピン(黄東萍/中華人民共和国)が年間王座を狙う。
[混合ダブルス 2023年出場選手]
- フェン・ヤンジー(馮彥哲)&ファン・ドンピン(黄東萍/中国)
- ジェン・スーウェイ(鄭思維)&ファン・ヤーチョン(黄雅瓊/中国)
- ソ・スンジェ&チェ・ユジョン(大韓民国)
- 渡辺勇大&東野有紗(日本)
- デチャポル・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)
- キム・ウォンホ&チョン・ナウン(大韓民国)
- タン・チュンマン(鄧俊文)&ツェ・イエンスエ(謝影雪/ホンコン・チャイナ)
- チェン・タンジー&トー・イーウェイ(マレーシア)
[混合ダブルス 歴代優勝選手]
- 2018年 ワン・イーリュー(王懿律)&ファン・ドンピン(黄東萍/中国)
- 2019年 ジェン・スーウェイ(鄭思維)&ファン・ヤーチョン(黄雅瓊/中国)
- 2020年 デチャポル・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)
- 2021年 デチャポル・プアヴァラヌクロー&サプシリー・タエラッタナチャイ(タイ)
- 2022年 ジェン・スーウェイ(鄭思維)&ファン・ヤーチョン(黄雅瓊/中国)
BWFワールドツアーファイナルズ2023、グループ分け
BWFワールドツアーファイナルズは、グループステージが行われた後、準決勝、決勝が続く。抽選によってグループが決まる。