【体操】天皇杯・第76回全日本個人総合選手権:シーズン開幕…世界選手権の日本代表争いは?

1 執筆者 マンティー・チダ
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(Getty Images)

体操天皇杯 第76回全日本体操個人総合選手権が、4月21日から24日まで東京体育館(東京都渋谷区)で開催。10月29日から11月6日にイギリス・リバプールで行われるFIG(国際体操連盟)世界選手権の日本代表選考において、全日本個人総合選手権は重要な大会となる。

すでに、Tokyo2020で個人総合金メダルの橋本大輝は日本代表に内定。男子は残り4枠、女子は5枠が今大会と第61回NHK杯、第76回全日本体操競技種目別選手権大会の結果で選考される。Tokyo2020に出場した選手に加え、オリンピックを逃した雪辱に燃える選手、次世代を担う選手たちが、東京体育館に集結する。

■橋本大輝、つり輪の得点がどこまで伸びるか

まずは橋本大輝が新シーズンにおいて、どこまでの演技を見せてくれるのかに注目したい。Tokyo2020で個人総合と種目別鉄棒で金メダルに輝いた後、9月の第75回全日本学生体操競技選手権大会では所属する順天堂大学を団体優勝へ導き、10月の世界選手権では個人総合と種目別鉄棒で銀メダルを獲得した。

Tokyo2020のパフォーマンスを再現できれば、優勝の最有力候補であることに間違いはない。あとは、つり輪でどこまで得点を加算できるのか。2年後のパリ2024でオリンピック連覇を目指すためにも、つり輪の強化は必要。14点の中盤を安定的に出せるようにしておきたい。

■Tokyo2020団体銀メンバーも意欲を燃やす

世界選手権の男子日本代表選考において、残り4枠の争いは熾烈を極める状況となりそうだ。橋本と2大エースへの成長が期待される北園丈琉は、Tokyo2020団体銀メダルの原動力となった。個人総合では右肘が万全ではない中で、世界の強者たちを相手に6位入賞。潜在能力と勝負強さはピカイチだからこそ、北園がシーズン初戦でどのような演技を見せてくれるのかに期待したい。

橋本や北園とともにTokyo2020銀メダルメンバーの萱和磨と谷川航も健在である。萱はTokyo2020、10月の世界選手権で安定した演技を披露。特にあん馬では両大会の種目別でメダルを獲得している。ほかの種目も大崩れしないことから、総合力で2年ぶりに王者へ返り咲きたい。

跳馬が得意な谷川航も注目。日本が苦手とするつり輪で14点中盤を出すなど、着地と跳躍には定評がある。昨年の大会では橋本に次ぎ準優勝。今年こそ優勝を狙いたい。

■オリンピックを逃した選手、橋本や北園の同世代も虎視眈々

谷川航の弟である谷川翔は、2018年と2019年の大会を制覇。兄弟で2019年の世界選手権出場を達成したものの、肩の負傷が影響して、Tokyo2020の日本代表には手が届かなかった。万全を期して、再び世界のひのき舞台へ兄弟で出場を目指したい。

もちろん、橋本や北園と同世代たちも虎視眈々(たんたん)と代表の座を狙っている。その代表格が土井陵輔だ。第1回世界ジュニア体操競技選手権では北園らと団体優勝に貢献。正確で美しい演技が持ち味の土井がどこまで上位に食い込んでくるの注目したい。

■女子は世代交代が一気に進む予感

女子は世界選手権へ向けて、5人の代表枠を争うことになった。日本のエースとして引っ張ってきた村上茉愛は、昨年の世界選手権をもって現役引退。寺本明日香と畠田瞳は今大会が現役最後の試合となる。したがって、世代交代が一気に進む大会となりそうだ。

Tokyo2020出場組からは、団体メンバーの平岩優奈と、個人枠で出場し平均台で6位入賞を果たした芦川うららに注目したい。団体戦5位入賞に貢献した平岩は、昨年の世界選手権種目別床で8位入賞。これまで代表をけん引した選手が現役を退く中で、平岩にはこれからの日本女子体操界を引っ張ってもらいたい。今季から所属先も変更し、気持ちも新たにジャンプアップできるか。

芦川うららは、昨年の世界選手権種目別平均台で金メダルを獲得。日本女子選手の金メダルは2017年大会の村上以来3大会ぶりで、平均台では67年ぶりの快挙だった。4種目の総合力というよりは、スペシャリストとして挑むことになる。6月の全日本体操競技種目別選手権大会ではシード選手として出場を決めているが、まずは今大会でしっかりと結果を残しておきたい。

ほかには、2021年全国高校総体個人総合を57.400の高得点で優勝した宮田笙子や2位の曽根崎しずくといった若手の成長も著しい。突出した存在がいないため、今年は新エースの誕生に期待したい。混戦を制するのはいったいどの選手だろうか。

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