第62回NHK杯体操が5月20日、東京都渋谷区の東京体育館で開幕する。19日は公式練習が行われ、翌日に迫った本番に向けて各選手が意気込みなどを語った。
■橋本大輝「ミスなく終わりたい」
今大会は世界体操競技選手権、アジア競技大会の日本代表選手を選考する場でもある。4月20日から23日まで、同会場で行われた第77回全日本体操個人総合選手権の点数を持ち越して争われる。男子トップは橋本大輝。全日本選手権2位の萱和磨に約1.7点差をつけて今大会に臨む。
全日本選手権は腰や足首の負傷を抱えながらも、Tokyo2020金メダリスト、世界選手権チャンピオンの実力を見せた。現在は「痛みはだいぶなくなってきました」「動けているなという感覚でした」と状態が上向いている様子。ただ「まだ完治している状態ではない」とし、「油断せずにケガなく終わりたい」とも語った。
世界選手権を制したことで、すでに代表内定済。その分、視線は今大会のその先に向いているようだ。
「自分の体操がしっかりとできれば、いい結果は自ずとついてくるというふうに、昨年から思うようになりました。今は連覇というモチベーションよりも、来年のパリに向けてどうやって戦っていくかという模索というか」
パリ2024の舞台を見据える中、万全ではない状態で本番を迎えることもあり得る。それを踏まえてか「ケガもありますけど、試合は待ってくれないので、どんな状況でもできる選手になりたい」と力強く語った。今大会では「ミスなく6種目の演技を終わりたい」と目標を掲げた。
■渡部葉月「プレッシャーは去年と違う」
王者の佇まいを感じさせる橋本と対照的に、全日本選手権女王の渡部葉月は追われる立場に慣れていないと率直に明かした。
「去年は追う側だったのが、追われる側になったので、プレッシャーは去年と全然違います。あまり調子が上がっていなくて。世界選手権の代表選考は僅差なので、不安や焦りが大きいという感じです」
昨年は補欠から繰り上がりで世界選手権に出場し、種目別平均台で金メダルを獲得するという快挙を成し遂げた。その平均台の調子が上がってこないという。「こんなに不安なのも初めてだし、不安だから何本もやるけど、それでもうまくいかなくて不安になるという悪循環で。調子が上がらないという焦りが多いです」。
世界選手権代表内定の条件は、NHK杯で4位以上に入ること。大会前の時点では渡部が106.963点で1番手に立ち、宮田笙子(106.797点)、岸里奈(106.764点)、深沢こころ(106.664点)と続く。5位は畠田千愛で105.498点。一つのミスで順位が入れ替わり得るというプレッシャーは計り知れない。それでも「しっかりと1位を守って代表に入りたい」と、昨年は逃した正式メンバー入りへ決意を語った。
「自分のやるべきことに集中したいです。どちらかというとDスコアよりもEスコアで戦う方だと思うので、大きなミスだけでなく、細かい減点もされないように、細かい部分まで意識して丁寧な演技をして、しっかりと1位を守って代表に入りたいと思います」
■放送予定
5月20日(土)女子競技
- 地上波:NHK Eテレ(14:00~)