今年のサッカーシーズンはクライマックスに入り、UEFAチャンピオンズリーグ2022/2023に残ったのは8チーム。
世界中の注目を集めるこの大会において、「パリオリンピック世代」の若き選手たちもチームの勝利を決定づける重要な役割を果たしてきた。
パリ2024オリンピックの男子サッカー競技で、各チームはオーバーエイジ枠(年齢制限をこえた出場枠)として3選手を招集することができるが、基本的には2001年1月1日以降に生まれた選手でチームが構成される。
4月11日に始まるUEFAチャンピオンズリーグ準々決勝を前に、パリ2024のピッチに立つ可能性のある若きスターたちを紹介しよう。
チャンピオンズリーグ2022/2023:ラウンド16で活躍した若手選手たち
クヴィチャ・クワラツヘリア
- 年齢:22歳
- 出身国:ジョージア
- 所属クラブ:ナポリ
- メモ:クワラツヘリアは今シーズンにチャンピオンズリーグ・デビューを果たした。ナポリはチーム史上初めてチャンピオンズリーグ準々決勝に進出。
クヴィチャ・クワラツヘリアが輝かなかった試合などあるだろうか。1アシストで終わった試合でも、彼はヒールでゴールをお膳立てするなど驚くべき活躍を見せている。
クヴァラドーナ(あるいはクヴァラヴァッジョ)の愛称で知られるクワラツヘリアは、今季ナポリに移籍し、デビューシーズンながら圧倒的な存在感を示している。そしてそのナポリも同様にセリエAで好調ぶりを見せている。
クワラツヘリアはセリエAで11ゴール、9アシストを記録し、ナポリは後続のチームに18ポイント差をつけて首位を独走。背番号77が加わってから、チームは完全にギアを入れ替えたように感じられる。
チャンピオンズリーグのラウンド16のアイントラハト・フランクフルト(ドイツ)戦で、彼はファーストレグ(第1戦)でPKに失敗したものの、バックヒールでジョバンニ・ディ・ロレンツォのゴールをアシストして2-0の勝利に貢献。まさにサッカーの天才のようなアシストを披露したのだった。
ジョージアはこれまでサッカーの主要な国際大会に出場したことがない。しかし、同国ではオリンピック出場権獲得にもつながるU-21欧州選手権が6月に行われる。ルーマニアと共同開催されるこの大会に、クワラツヘリアは参加するのだろうか? もし出場するとなれば、彼の存在はジョージア代表チームの勝算を高めることになるだけでなく、パリ2024オリンピック出場も見えてくることだろう。
ゴンサロ・ラモス
- 年齢:21歳
- 出身国:ポルトガル
- 所属クラブ:ベンフィカ
- メモ:ゴンサロ・ラモスはベンフィカの選手として初めて、UEFAチャンピオンズリーグのノックアウトステージで2得点をあげた。
2022年ワールドカップのラウンド16でポルトガルがスイスを破ったとき、ポルトガルの新たな希望を見たような印象を持った人は多いだろう。
クリスティアーノ・ロナウドが先発から外れ、代わりに登場した21歳のゴンサロ・ラモスは、代表選手として自身初のハットトリックを達成。チームは6-1の勝利をおさめた。
ベンフィカの若きフォワードとして注目されるラモスはワールドカップ以降も次々と得点を重ね、プリメイラ・リーガでは17ゴールを挙げている(4月現在のリーグ最多得点)。チャンピオンズリーグでは、ラウンド16のクラブ・ブルッヘ(ベルギー)戦のセカンドレグ(第2戦)で2点を挙げ、準々決勝進出を決定づける活躍を見せた。
マリック・ティアウ
- 年齢:21歳
- 出身国:ドイツ
- 所属クラブ:ACミラン
- メモ:チャンピオンズリーグのピッチにマリック・ティアウがいるとき、ACミランは相手にゴールを与えていない。
マリック・ティアウのチャンピオンズリーグ・デビュー戦は、ラウンド16でトッテナム・ホットスパー(イングランド)のハリー・ケインをマークした試合だった。今シーズンのプレミアリーグで22ゴールを挙げているケインだが、ACミランとの戦いで第1戦、第2戦ともにネットを揺らすことはなく、ティアウがいい仕事をしたことがうかがえる。
ミランにふさわしいセンターバックのディフェンダーとして、ティアウは同チームの準々決勝進出を可能にした。
身体能力が高く、1対1の駆け引きも巧みで、空中戦も得意とする彼は、先発メンバーに名を連ねて以降、その場所を維持している。
彼はU-21ドイツ代表のキャプテンで、2年前の欧州選手権ではチームを優勝に導いている。
ジャマル・ムシアラ
- 年齢:20歳
- 出身国:ドイツ
- 所属クラブ:バイエルン・ミュンヘン
- メモ:ジャマル・ムシアラは、ブンデスリーガとチャンピオンズリーグで合計11ゴール、10アシストを記録。両方の統計で2桁の数字を記録しているバイエルンの選手は彼ひとり。
ティアウとは対照的に、ジャマル・ムシアラは前回(2021年)のU-21欧州選手権に出場していない。バイエルンの神童とされるムシアラがドイツのシャツを着たのは、シニア代表のシャツ1枚だけである。
シュトゥットガルト出身でミッドフィルダーの彼は、19歳ながらも経験豊富な同僚たちがうらやむほどの成熟を遂げた。
ブンデスリーガでは自身初の2桁得点を達成。チャンピオンズリーグでは左サイドでパリ・サンジェルマンを苦しめ、同チームは勝利をバイエルンに譲ることとなった。
エドゥアルド・カマヴィンガ
- 年齢:20歳
- 出身国:フランス
- 所属クラブ:レアル・マドリード
- メモ:リヴァプール戦において、カマヴィンガはタックル(タックル成功率100%)とセットアップ(ロングボールの精度100%)の両方で完璧といえるパフォーマンスでチームに貢献した。
エドゥアルド・カマヴィンガはレアル・マドリーになくてはならない存在だ。
かつてレアルマドリードには、中盤に最強の「CMK」が存在していた。「CMK」とは中盤の3選手、カゼミロ・モドリッチ・クロースの頭文字をとった言葉である。しかしカゼミロが移籍した今でも、彼らはこの言葉を使うことができる。なぜならカマヴィンガがいるからだ。
チャンピオンズリーグのラウンド16でリヴァプールと対戦した際、カマヴィンガは主役級の活躍を見せてチームは5-2(第1戦)で勝利を収めた。
フランスで開催される次のオリンピックで、2002年生まれの彼はキリアン・エムバペとともにピッチに立ち、優勝候補の一角として注目されることだろう。
チャンピオンズリーグ2022/23 準々決勝の対戦表と日程
UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝の抽選が3月17日に行われ、組み合わせが発表された。
- レアル・マドリード(スペイン)vs チェルシー(イングランド)
- ベンフィカ(ポルトガル)vs インテル(イタリア)
- マンチェスター・シティ(イングランド)vs バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)
- ACミラン(イタリア)vs ナポリ(イタリア)
日程は以下の通り。キックオフは日本時間翌朝4時。
2023年4月11日(火)
- ベンフィカ vs インテル(エスタディオ・ダ・ルス)
- マンチェスター・シティ vs バイエルン・ミュンヘン(エティハド・スタジアム)
2023年4月12日(水)
- レアル・マドリード vs チェルシー(サンティアゴ・ベルナベウスタジアム)
- ACミラン vs ナポリ(スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ)
2023年4月18日(火)
- チェルシー vs レアル・マドリード(スタンフォード・ブリッジ・スタジアム)
- ナポリ vs ACミラン(スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ)
2023年4月19日(水)
- インテル vs ベンフィカ(スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ)
- バイエルン・ミュンヘン vs マンチェスター・シティ(アリアンツ・アレーナ)
チャンピオンズリーグ準々決勝の後、準決勝が5月9日、10日、16日、17日に予定され、決勝は6月10日にトルコ・イスタンブールのアタテュルク・オリンピヤト・スタジアムで行われる。