名所で競技観戦! パリ2024オリンピックの競技会場11選
世界中に名の知られるエッフェル塔やシャン・ド・マルス公園に始まり、驚きの美しさのタヒチ島チョープーにいたるまで、第33回オリンピック競技大会が開催されるパリ2024には、魅力ある競技会場がいっぱいだ。
過去のオリンピック競技大会は、開催都市の名高い施設や場所を見事に使用して、アスリートの素晴らしいパフォーマンスを演出してきた。
1960年のローマ・オリンピックのレスリング競技には、遺跡フォロ・ロマーノにある建物、マクセンティウスのバシリカが会場として使われた。シドニー2000では、有名なオペラハウスがトライアスロンのスタート会場になった。また、2004年のアテネ・オリンピックでは、古代オリンピックが開催された同じ場所を使って、多くの競技が行われ、まるで私たちを古代に連れ戻したかのようだった(マラソン競技は、マラトン市をスタートし、アテネのパナシナイコスタジアムがフィニッシュ地点となった。オリンピアの遺跡にある同スタジアムは、砲丸投げの会場にもなっている)。
今回、パリ2024オリンピック競技大会では、フランスの光の都パリの歴史的文化遺産が会場として用いられ、過去のアイコニックなオリンピック会場と同じように、大会の伝統に新たな彩りを添える。
世界中に名の知られるエッフェル塔、シャン・ド・マルス公園、驚きの美しさのタヒチ島チョープーなど、パリ2024の魅力ある11の競技会場を紹介しよう。
スタッド・ド・フランス
- パリ2024実施競技:陸上競技、7人制ラグビー
- 収容人数:77,083人
- 所在地:サン・ドニ
スタッド・ド・フランスは、フランスで最も有名なスタジアムと言ってよいだろう。1998年FIFA男子サッカーワールドカップのために建設され、その試合会場になったことでよく知られている。この時、レ・ブルー(フランス代表チーム)が、75,000人の観衆の前で決勝戦でブラジルを3-0で破り、自国開催のこのスタジアムで初優勝を飾った。
スタッド・ド・フランスは、フランス国内で最も大きなスタジアム。2000年、2006年、2022年のUEFAサッカー・チャンピオン・リーグ決勝戦、2016年UEFAサッカー欧州選手権(ユーロ2016)の7試合、2003年世界陸上競技選手権大会や1999年、2007年、そして来る2023年のラグビーワールドカップなどの数多くのスポーツイベントの会場となっている。サッカーとラグビーのワールドカップ決勝戦を両試合ともに開催した会場は世界にたった2つしかなく、スタッド・ド・フランスはそのひとつ(もうひとつは、日産スタジアムで知られる横浜国際総合競技場)。
パリ2024では、陸上競技と7人制ラグビーが開催される。また、ラグビー、サッカーのフランス代表チームの本拠地でもある。
スタッド・ローラン・ギャロス
- パリ2024実施競技:テニス、ボクシング
- 収容人数:34,000人
- 所在地:パリ
スタッド・ローラン・ギャロスは歴史のあるスタジアム。全仏オープンの会場として95年以上にわたるテニスの歴史の中に偉大なる瞬間を生み出した(1985年決勝戦におけるクリス・エバートとマルチナ・ナブラチロワの歴史的な戦いや、2005年、19歳のラファエル・ナダルが初出場で優勝を飾った快挙などが有名)。
スタッド・ローラン・ギャロスの名称は、フランス人飛行家、ローラン・ギャロスの名前に由来する。会場は、12ヘクタール(東京ドームの約2.5倍)を超えて広がり、18のクレイコートを備える。パリ2024では、コート・シモーヌ・マチューとコート・スザンヌ・ランランがテニス会場になり、コート・フィリップ・シャトリエではテニスとともにボクシングが行われる。
パルク・デ・プランス
- パリ2024実施競技:サッカー
- 収容人数:47,926人
- 所在地:パリ
サッカーの歴史の中で最も成功した国のひとつとして、フランスには偉大な歴史を積み重ねてきた素晴らしいスタジアムがいくつも存在する。そのひとつのパルク・デ・プランスは、モントリオール・オリンピック・スタジアムを手掛けたことで著名なフランスの建築家、ロジェ・タイリベールによって設計され、1972年に落成した。1974年以来、サッカークラブ、パリ・サンジェルマンの本拠地となっている。
同スタジアムは、パリジャン(パリ・サンジェルマンの愛称)の本拠地であることに加え、フランス国内のサッカーやラグビーの主要な試合会場のひとつとして、1998年のFIFAワールドカップやユーロ2016(UEFA欧州選手権)などの国際試合が開催されていることで知られる。
コンコルド広場
- パリ2024実施競技:BMXフリースタイル、スケートボード、ブレイキン、3×3 バスケットボール
- 収容人数:30,000人
- 所在地:パリ
コンコルド広場は、シャンゼリゼ通りの東端にある、パリで最も大きく、よく知られる市民広場のひとつ。
歴史を振り返ると、コンコルド広場は、フランス革命の中心的な場所だった。また、パリ万国博覧会(1900年)、現代産業装飾芸術国際博覧会(1925年)などの2つの国際展示会の入場口にあたる。第一次世界大戦終結の祝勝、第二次世界大戦時のパリの解放、1998年のFIFAワールドカップでのフランス代表チームの優勝など国家的祝典の会場となっている。
パリ2024では、歴史的なコンコルド広場は 、7月27日から8月10日までの間、アーバンスポーツ競技の夢の舞台となる。
スタッド・ヴェロドローム
- パリ2024実施競技:サッカー
- 収容人数:67,394人
- 所在地:マルセイユ
スタッド・ヴェロドロームは、マルセイユ市内にある2つのオリンピック会場のひとつ(マルセイユ・マリーナではセーリング競技が開催される)。パリ2024では、サッカー競技の舞台になる。
スタッド・ヴェロドロームは、1937年に建設されて以来、マルセイユのプロサッカーチーム、オリンピック・マルセイユの本拠地である。同スタジアムでは、20世紀前半以降、フランス代表チームの試合や、フランスが主催する多くの国際試合が開催されている。1938年、1998年のFIFAワールドカップ、1984年、2016年のUEFA欧州選手権(ユーロ2016)や2007年ラグビーワールドカップなどの舞台となった。
グラン・パレ
- パリ2024実施競技:フェンシング、テコンドー
- 収容人数:8,000人
- 所在地:パリ
シャンゼリゼ通り近くにあるグラン・パレは、パリの中心にある大規模な建造物。1900年のパリ万国博覧会のために建設されたこの建造物は、ガラス屋根を持つ「身廊」が世界的に知られており、フランス文化省によって歴史的文化財に指定されている。
今日、グラン・パレは、博物館、美術館、展示会場、コンサートホール、スポーツイベントの会場として運営されている。2010年にはフェンシング世界選手権の舞台にもなった。また、グラン・パレは、2024年夏季オリンピックの招致プロモーションのひとつとして、2017年のツール・ド・フランスの最終ステージで使われ、サイクリストたちはグラン・パレからシャンゼリゼ通りに走り抜けた。
シャン・ド・マルス・アリーナ&エッフェル塔スタジアム
- パリ2024実施競技:柔道、レスリング、ビーチバレーボール
- 収容人数:8,356人(シャン・ド・マルス・アリーナ)/12,860人(エッフェル塔スタジアム)
- 所在地:パリ
シャン・ド・マルス公園は、北西のエッフェル塔と南東のエコール・ミリテール(パリにある軍事訓練用複合施設)の間に横たわる、世界で最もよく知られている市民公園のひとつ。芝地は、過去にはフランス軍の訓練場や行進の練習場として使われていたが、2024年は3つのオリンピック競技の舞台となる。
シャン・ド・マルス・アリーナは、エコール・ミリテールの向かい側に建設された10,000平方メートルの規模の仮設会場。パリ2024では、柔道とレスリングが開催される。また、ビーチバレーボールのアスリートにとっては、間違いなく、最高の背景の中で試合を行うことになるだろう。ビーチバレーボールは、パリの「鉄の女」と呼ばれる、エッフェル塔のすぐそばの野外スタジアムで実施される。
アンヴァリッド
- パリ2024実施競技:アーチェリー
- 収容人数:8,000人
- 所在地:パリ
エスプラネード・デ・アンヴァリッドは、オテル・デ・ザンヴァリッド(通称アンヴァリッド)の北側の広大な芝地。ナポレオンの眠るアンヴァリッドは、フランスの軍事史に関連する建造物群である。ルイ14世が統治していた1687年に建設され、博物館と記念像、建物の本来の目的である退役軍人のための軍病院または療養所が知られている。皇帝ナポレオン・ボナパルトの墓は、ドーム教会の中に設けられている。
2024年、この歴史的な場所は、アーチェリー競技の会場となり、マラソン競技のフィニッシュラインがランナーを待ち受ける。
ヴェルサイユ宮殿
- パリ2024実施競技:馬術、近代五種
- 収容人数:15,000人~40,000人(競技によって異なる)
- 所在地:ヴェルサイユ
ヴェルサイユ城の名称でも知られているヴェルサイユ宮殿は、ルイ14世の宮廷であり、フランス革命までフランス王室の本拠地だった。1883年、ヴェルサイユ宮殿は、国立博物館として市民に公開され、1979年にはフランス国内で最初となるユネスコ世界遺産として登録された。
庭園に近接するグラン・カナルの西にある遊歩道、エトワールロイヤルの周りに屋外仮設アリーナが設けられ、馬場馬術、障害馬術、総合馬術、また近代五種(フェンシング・ランキングラウンドを除く)の舞台となる。
チョープー
- パリ2024実施競技:サーフィン
- 収容人数:600人
- 所在地:タヒチ島チョープー
チョープーは、南太平洋に浮かぶフランス領ポリネシアの島(フランスの海外準県)、タヒチの南西海岸の村。島の驚きの美しさもさることながら、チョープーは世界で最も壮観な波乗りの舞台のひとつとして有名だ。
チョープーをサーフィン競技の会場に選んだことは、パリ2024の構想にあるフランス全土に広がる競技大会、フランス海外領土とそのコミュニティのオリンピック参加を実現するものとなる。
スタッド・イヴ・デュ・マノワール
- パリ2024実施競技:ホッケー
- 収容人数:15,000人
- 所在地:コロンブ
スタッド・イヴ・デュ・マノワール(イヴ・デュ・マノワール・スタジアム)は、パリ2024の競技会場の中でも特別な場所だ。
これまでのフランスのオリンピックの歴史の中で、2度のオリンピックにわたり会場となるただひとつのスタジアムである。1907年に落成し、1924年に開催されたパリ・オリンピックのために改修され、大会のメイン会場として、陸上競技をはじめ、自転車競技、馬術、体操競技、テニス、サッカー、ラグビー、近代五種(ランニングとフェンシング)が開催されている。また、スタッド・イヴ・デュ・マノワールでは、1938年のFIFAワールドカップの決勝戦が行われた。この時、イタリアがハンガリーを4-2で下し、2度目の優勝を飾った。
今日、ラグビー、サッカー、陸上競技の会場として使用されているスタッド・イヴ・デュ・マノワールは、パリ2024ではホッケーの舞台になる。