日本はセーリングの全10種目で開催国枠を獲得した。順当ならば、日本からは最大15選手が出場可能となる。しかし、日本セーリング連盟は、五輪出場に相当する実力がない種目は出場を辞退する方針を発表。この方針により、2019年も日の丸セーラーズは、世界選手権などで、海外選手としのぎを削ることになる。
セーリング全10種目、種目ごとの出場枠は?
国際セーリング連盟は2018年4月、2020東京五輪に向けた予選方式を発表した。セーリングでは、五輪出場の権利を国として獲得する必要がある。この選考は、2018年8月に、デンマークのオーフスで開催されたセーリング・ワールド・チャンピオンシップ(SWC)からスタートした。2019年の世界選手権や各大陸予選により出場枠が確定する。そして、出場枠を得た国は、それぞれ代表の選考を行う。
日本は開催国枠として、男子5、女子4、混合1の全10種目で1つずつ出場権を与えられ、最大で男子8選手、女子7選手の出場が可能となっている。ただし、日本セーリング連盟は、出場国と同等の実力がない種目は、出場を見合わせると発表している。ちなみにリオデジャネイロ五輪では、7種目11選手が出場した。
東京五輪におけるセーリング10種目の出場艇数(選手数)は以下の通り。
男子
- RS:X級 25艇(25選手)
- レーザー級 35艇(35選手)
- フィン級 19艇(19選手)
- 470級 19艇(38選手)
- 49er級 19艇(38選手)
女子
- RS:X級 27艇(27選手)
- レーザーラジアル級 44艇(44選手)
- 470級 21艇(42選手)
- 49erFX級 21艇(42選手)
男女混合
- フォイリングナクラ17級 20艇(40選手)
実力のない種目は出場辞退の方針
日本代表を選考するのは、日本セーリング連盟およびオリンピック強化委員会だ。その基準は2018年12月に発表された「2020年東京オリンピック セーリング競技 日本代表選考要綱」に記されている。
第一条件は、ほかの出場国と同等の実力を持つことを示すこと。具体的には、選手が2019年のクラス別世界選手権で、五輪出場枠に相当する順位に入ることが条件だ。
2019年の世界選手権は、種目ごとに別々で行われる。男子レーザー級(35枠)と女子レーザーラジアル級(44枠)は、2019年7月に鳥取県の境港で開催され、男女470級(19/21枠)は8月に神奈川県の江の島で開催される。男女RS:X級(25/27枠)は9月にイタリアのトルボレで、男子49er級(19枠)、女子49erFX級(21枠)、フォイリングナクラ17級(20枠)は11月ニュージーランドのオークランドで開催される。フィン級(19枠)は12月にオーストラリアのメルボルンだ。
もし日本人選手が出場枠内の順位に入れなかった場合は、2020年のクラス別世界選手権(2020年2〜4月に開催予定)で、出場枠内の順位に入った最上位の日本人選手が、日本代表に推薦される。
日の丸セーラーズの五輪有力候補は
2019年クラス別世界選手権でのメダルを獲得した場合、日本代表への推薦を勝ち取ることができる。
この条件をクリアし出場が内定したのが、2018年、4年に一度のSWCで金メダルを獲得した女子470級の吉田愛・吉岡美帆ペア。五輪、SWCを通じて、日本人選手としてセーリングで金メダルを獲得する史上初の快挙を成し遂げた。また、同大会男子470級で、磯崎哲也・高柳彬ペアが銀メダルを獲得。470級は男女ともに、メダルが期待できる種目となっている。
なお、吉田・吉岡ペアと磯崎・高柳ペアは、2018年にインドネシアのジャカルタで開催されたアジア大会で、金メダルを獲得している。同大会では男子49er級の古谷信玄・八山慎司ペア、レーザーラジアル級の土居愛実も金メダルを獲得し、表彰台の頂点に上っている。
出場資格を得た国枠相当の実力がない限り、東京五輪への出場はできないという厳しい条件を突き付けられた選手たち。プライドを賭けた戦いがいよいよ本格化する。
東京オリンピック出場内定選手(12月9日時点)
男子
- 470級:岡田奎樹・外薗潤平ペア
- RS:X級:富澤慎
- レーザー級:南里研二
女子
- 470級:吉田愛・吉岡美帆ペア
- 49erFX級:山崎アンナ・髙野芹奈ペア
2019年8月2日から9日にかけて神奈川県・江の島ヨットハーバー沖で「470級世界選手権」が行われた。
その中で日本人ペアとして唯一、表彰台に上がったのが吉田愛・吉岡美帆ペア。銀メダルを獲得したことで日本セーリング連盟が定める東京五輪日本代表選考実施要項を満たし、日本代表に内定した。
これで女子470級の選考は終わり、男子レーザー級などの代表は今後のクラス別代表選考大会やセーリングワールドカップの結果で決まることになる。