【東京オリンピック出場枠争い】レスリング: 2019年9月の世界選手権で出場権が概ね決定へ

男女合わせて288選手に東京五輪の出場枠が与えられる

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
伊調馨(左)と川井梨沙子(右)が東京五輪につながる世界選手権出場をかけてプレーオフで激突。金メダリスト同士の一戦に注目が集まる

東京五輪で実施されるレスリングの出場枠は、リオデジャネイロ五輪よりも狭き門となった。1階級16選手によって争われる。日本勢は、2019年9月に開催される世界選手権でメダルを獲得した選手に東京五輪への出場権が与えられることとなっており、代表の座をめぐって激しい戦いが繰り広げられている。

日本勢は男女1つずつの開催国枠を確保

東京五輪で実施されるレスリングは、男子フリースタイル、男子グレコローマンスタイル、女子フリースタイルの計3種目。フリースタイルは全身を攻撃と防御に使え、グレコローマンスタイルは腰から下を攻撃と防御に使うことが禁止されている。

出場選手数は、各種目とも96選手で、男女合わせて288選手。2016年のリオデジャネイロ五輪は計344人であったが、56人も少なくなり、出場枠はこれまで以上に「狭き門」となった。東京五輪では、1階級16選手によって戦いが繰り広げられる。

世界レスリング連合(UWW)は、2019年9月にカザフスタンで開催されるレスリング世界選手権において、東京五輪で実施する各階級の5位以内(計6人)の選手が所属する国・地域がオリンピック出場枠を獲得することを発表した。世界選手権後には、各大陸予選や世界オリンピック予選大会が行われ、残りのオリンピック出場枠が割り振られる。なお、日本が出場枠を獲得できなかった場合も、男女1つずつの開催国枠が確保されている。

日本勢は世界選手権でのメダル獲得で出場枠を獲得

日本レスリング協会は、東京五輪の日本代表選考について、男女ともに2019年の世界選手権でメダルを獲得した選手に出場権を与えることを決定した。同大会で5位となり、東京五輪出場枠を確保した選手については、同年12月に行われる天皇杯全日本レスリング選手権で優勝すれば代表内定となる。全日本選手権で優勝できなかった場合は、同大会の覇者と2者間で代表決定プレーオフを戦い、勝者がオリンピック派遣選手となる。

なお、世界選手権において出場枠を獲得できなかった階級については、2019年の全日本選手権優勝者がアジアオリンピック予選および世界オリンピック予選大会に臨む。

東京オリンピック出場内定選手(4月10日時点)

男子フリースタイル

  • 65kg級:乙黒拓斗
  • 74kg級:乙黒圭祐

男子グレゴーマン

  • 60kg級:文田健一郎
  • 77kg級:屋比久翔平

女子フリースタイル

  • 50kg級:須﨑優衣
  • 53kg級:向田真優
  • 57kg級:川井梨紗子
  • 62kg級:川井友香子
  • 68kg級:土性沙羅
  • 76kg級:皆川博恵

なお、日本代表選考の対象となる大会は以下のとおり。

日本代表選考対象大会

  • レスリング世界選手権(2019年9月14日~22日/開催地:カザフスタン・アスタナ)
  • 全日本レスリング選手権(2019年12月20日~23日/開催地:東京)
  • 東京五輪代表選考プレーオフ(全日本選手権後の1カ月以内に実施。代表選手が確定していない場合のみ開催)
  • アジアオリンピック予選(2020年3月27日~29日/開催地:未定)
  • オリンピック最終予選(2020年4月30日~5月3日/開催地:ブルガリア・ソフィア)

7月6日に世界選手権大会をかけたプレーオフを実施

東京五輪の出場権に直結する大会が2019年のレスリング世界選手権大会だ。この大会への出場切符は、以下の条件を満たした選手が獲得する(オリンピック階級のみ記載)。

レスリング世界選手権大会への出場条件

  • 2018年の全日本選手権と2019年の明治杯全日本選抜選手権の両方で優勝した選手
  • 2018年の全日本選手権と2019年の明治杯全日本選抜選手権の優勝者が異なる場合、2018年世界選手権大会のメダリストと合わせてプレーオフを戦った勝者

2019年6月13日~16日に開催された明治杯全日本選抜選手権の結果をふまえ、オリンピック実施18階級のうち、以下の12階級で世界選手権代表選手が内定した。残る6階級はプレーオフが行われる。

世界選手権の代表内定選手

男子フリースタイル

  • 高橋侑希(57キロ級)、高谷惣亮(86キロ級)、赤熊猶弥(97キロ級)

男子グレコローマン

  • 文田健一郎(60キロ級)、高橋昭五(67キロ級)、角雅人(87キロ級)、奈良勇太(97キロ級)、園田新(130キロ級)

女子フリースタイル

  • 向田真優(53キロ級)、川井友香子(62キロ級)、土性沙羅(68キロ級)、皆川博恵(76キロ級)

プレーオフの組み合わせ(7月6日開催:埼玉・和光市総合体育館)

男子フリースタイル

  • 65キロ級:乙黒拓斗vs樋口黎
  • 74キロ級:藤波勇飛vs奥井眞生
  • 125キロ級:荒木田進謙vs山本泰輝

男子グレコローマン

  • 77キロ級:小路直頌vs屋比久翔平

女子フリースタイル

  • 50キロ級:入江ゆきvs須﨑優衣
  • 57キロ級:伊調馨vs川井梨紗子

どの階級も代表争いは熾烈を極めるが、最も注目を集めるのは女子57キロ級だろう。リオデジャネイロまで4大会連続で金メダルを獲得している伊調馨と、同大会63キロ級金メダリストの川井梨沙子が、1枠しかない代表の座をめぐってプレーオフで激突する。

一方、女子50キロ級では、リオデジャネイロ五輪48キロ級金メダリストの登坂絵莉がプレーオフ進出を逃し、世界選手権への出場が断たれた。プレーオフは世界選手権2連覇中の須崎優衣と全日本選手権2連覇中の入江ゆきによって行われるが、どちらが勝利しても世界選手権でのメダル獲得が有力視されており、日本女子勢の選手層の厚さを示している。

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