11月17日、千葉県成田市の中台公園運動公園体育館で行われた女子レスリングワールドカップで日本が5連覇を達成した。B組1位の米国との決勝となる1位・2位決定戦は7-3で制し、本国開催の地の利を活かす形で優勝を果たした日本代表勢。通算11度目の優勝を果たしたことで、Tokyo2020(東京オリンピック)代表内定者、内定を目指す選手、代表を逃しながらも結果を出した選手は、それぞれの未来を向く。
東京五輪代表内定者は、それぞれ五輪を見据えながらも三者三様だった。
今大会、川井梨紗子(57キロ級)は、所属先の違う若い選手らにも声をかけるなど、9月の世界選手権のときよりも個人の立場よりも主将としての立場を優先。主将として何をすべきかを考えながら参加した。また、日本での国際試合というシチュエーションから「応援が日本語だから、オリンピックではどうなるのかなとワクワクした」と話し、自国開催の東京五輪への思いを馳せた。
川井の妹・友香子(62キロ級)は苦手とする力押しの米国選手を下しながらも、まだまだ練習が必要だと語り、五輪に向けてより完璧な状態を目指すという。
一方、五輪に向けて最も危機感を持って大会に臨んだのが、76キロ級の皆川博江だった。中国戦では2016年世界王者ゾウ・キアン、米国戦では本年度世界王者アデライン・グレイに敗れながらも、強豪との対戦での試行錯誤で収穫もあった。「勝ち方を考えれば勝てる」と前を向いた。
そして今大会は、川井梨沙子よりも下の世代の奮闘が日本の5連覇を下支えした。とくに50キロ級の須崎優衣は、米国戦ではテクニカルフォールの1本勝ちで圧勝。入江ゆき、登坂絵莉らによる三つ巴の女子50キロ代表争いを一歩リードする戦いぶりを見せた。「12月の天皇杯(全日本選手権)で勝ち、アジア選手権で代表を勝ち取りたい」と力強く宣言した。
68キロ級の松雪成葉は今大会、日本代表勢で唯一全3試合に出場。中国戦、米国戦では敗れたものの経験値を積んだことで後ろ向きな姿勢を見せることもなく、代表内定に影響する天皇杯で「チャンスがある限り狙っていきたい」と意気込んだ。
また、すでに向田真優が代表に内定している53キロ級の奥野春菜は「積極的に攻めればポイントを取れる」と自信を深め、代表を逃しながらも成長し続ける姿を今大会で証明した。