女子ゴルフ:注目は1998年&1999年生まれの「黄金世代」、日本勢は最強の韓国勢を破り表彰台に登れるか

日本勢の有力メダル候補は畑岡奈紗

東京五輪に出場する60名の選手は、2018年7月8日~2020年6月29日までの期間に算出されるオリンピックランキングをもとに決まる

これまでに2度オリンピックで実施されてきた女子ゴルフ。116年ぶりに行われたリオデジャネイロ五輪では野村敏京(はるきょう)が4位と、惜しくも表彰台入りを逃した。2020年の東京五輪では「黄金世代」と称される若手を中心に、日本女子ゴルフ界に初のメダルをもたらせるか。期待が高まる。

オリンピックでの開催は3度目

日本で初めて女子ゴルフのプロテストが行われたのは1967年。男子プロ第1号となる選手の誕生以来、実に50年近くが経ってからのことだった。「紳士のスポーツ」として知られるなど、一部の上流階級の男性のみが楽しめる競技として日本に上陸したものの、樋口久子や岡本綾子といった偉大な女性ゴルファーたちがその活躍によって歴史を紡ぎ、女子ゴルフ界の発展に貢献してきた。

女子ゴルフはオリンピックの舞台で2度実施されている。日本勢はいまだにメダルを持ち帰ることができていない。グリーン上の小さなカップを目がけてボールを打ち、いかに少ない回数で入れられるかを競うという極めてシンプルなルールだが、それだけに奥が深い。

正確で力強いショットを打つための筋力やバランス感覚はもちろん、ホールの状況に応じてさまざまなクラブを使い分ける判断力、ここぞという場面で決めきる集中力など、経験に基づいた技能が必要不可欠となる。審判員が立ち会わないことも、他の競技との大きな違いだ。「不正を犯す選手はいない」という大前提に基づき、選手たちにはマナーを重んじた誠実なプレーが求められている。

2020年の夏に迫った東京五輪に出場する60名の代表選手は、2018年7月8日~2020年6月29日までの期間に算出されるオリンピックランキングをもとに決まる。女子はロレックスランキングがベースとなっており、出場資格を得られるのは2020年6月30日時点で上位15位までの選手で、各国最大4名、16位以下は1カ国最大2名までというレギュレーションになっている。同時に、そのなかに有資格者がいなかった場合でも、5大陸ごとに1名の枠が確保されているほか、開催国枠として1名分も保証されている。

圧倒的な選手層を誇る韓国

1900年のパリ五輪以来、116年ぶりの女子ゴルフ開催となったリオデジャネイロ五輪の表彰式で流れたのは、韓国の国歌だった。

当時世界ランク2位だったパク・インビが7バーディ、2ボギーの通算「66」でフィニッシュし、通算16アンダーで金メダルを獲得してみせた。韓国勢は選手層が厚く、国際舞台でも名を上げている選手が多い強豪国で、リオ五輪では世界ランキング8位までに入っている4選手が出場を果たしハイレベルな戦いを見せつけた。2019年3月17日時点のロレックスランキングでも、15位までに5選手が名を連ねており、2020年の東京に向けても熾烈な代表争いが繰り広げられる。

現在世界1位のパク・ソンヒョンは、2016シーズン序盤戦で出場した3試合で3勝と、100パーセントの勝率をたたき出し、2017年の全米女子オープンでアメリカツアー初優勝を成し遂げた。4位のユ・ソヨンも2011年に21歳の若さで全米を制した実力者だ。2018年には日本女子オープン優勝を達成し、日本での知名度も上がっている。

4年前、銀メダルに輝いたニュージーランドのリディア・コは現在同ランク15位、銅メダルを首にかけた中国のフォン・シャンシャンは16位と、2大会連続のオリンピック出場を十分に狙える位置をキープしている。そのほか、60位までに17名がランクインするアメリカも、男子同様、多くのスター選手を絶えず送り出している。

畑岡奈紗、勝みなみ、小祝さくらなど若手に注目

リオデジャネイロで誰より悔しさを味わったのは、惜しくも4位に終わった野村敏京(はるきょう)だろう。日本女子初のオリンピックでの入賞という、大切な歴史をつくったのは間違いない。ただし、6バーディ、ボギーなしの「65」と最終日に追い上げを見せたものの、3位と1打差で涙をのんだ。

現在代表入りが最も有力視されているのは、世界ランク6位、2019年1月13日に20歳の誕生日を迎えたばかりの畑岡奈紗(はたおか・なさ)だ。2016年の日本女子オープンで国内女子メジャー史上初となるアマチュア優勝、最年少優勝と記録を打ち立てると、2018年にはウォルマートNWアーカンソー選手権を制覇。19歳162日という日本勢最年少でアメリカツアー初優勝を成し遂げるなど、その勢いはとどまるところを知らない。

畑岡だけでなく、現在の日本女子ゴルフ界を席巻しているのが1998年と1999年に生まれた「黄金世代」と呼ばれる若手選手たちだ。最新技術を駆使したギアの普及、外国人コーチの招へい、練習環境の改善、幼いころから大会への参加経験があることなどから、近年多くの優秀なゴルファーが続々と誕生している。畑岡の活躍に刺激を受け、同世代の勝みなみ、小祝さくら、松田鈴英(まつだ・れい)らが国内の賞金ランクでも上位に食い込む活躍を見せるなど、今後さらなるブレイクが期待される。さらに、オリンピック出場へ誰より強いこだわりを見せる成田美寿々、2年間のスランプを乗り越え復活を果たした比嘉真美子(ひが・まみこ)など、有力候補は尽きない。

日本ゴルフ協会はリオでの経験から東京五輪女子コーチを設置することを発表しており、会場となる霞ヶ関カンツリークラブを熟知し、メディア対応も得意な人物が就任する予定だ。強力なバックアップ体制を整え、日本女子ゴルフ界初のメダリスト誕生を狙う。女子ゴルファーの熱い夏は2020年8月5日(水)~8日(土)の4日間で繰り広げられる。

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