四大陸フィギュアスケート選手権が2月6日に開幕! 3年ぶり出場の羽生結弦は気合十分。前回覇者の紀平梨花は高難度ジャンプ成功をめざす

ユースオリンピック金メダルの16歳、鍵山優真にも注目

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
全日本選手権のエキシビションで原点回帰ともとれる「SEIMEI」を舞った羽生結弦。3年ぶりの四大陸で何をつかむのか

国際スケート連盟(ISU)による四大陸フィギュアスケート選手権が2月6日(4日、5日は練習日)、韓国・ソウルで本格開幕する。男子、女子のシングル、そしてペアとアイスダンスが行われ、美しく熱い戦いが氷上で繰り広げられる。2017年以来の出場となる羽生結弦(はにゅう・ゆずる)、女子では連覇をめざす紀平梨花(きひら・りか)など、今大会も多くの日本勢がメダル争いに食い込んできそうだ。

アフリカ、アジア、アメリカ、オセアニアの選手が出場

四大陸フィギュアスケート選手権の「四大陸」とは、ヨーロッパを除くアフリカ、アジア、アメリカ、オセアニアを指す。1998−99年シーズンに第1回が開催され、以降、毎年1月、2月に各大陸の持ち回りで実施されている。

日本は過去、2000年と2013年の2大会でホスト国となっただけでなく、約20年に及ぶ大会の歴史のなかで数多くのメダルを獲得しており、女子シングルでは2003年、2013年、2018年に表彰台を日本勢が埋め尽くしたこともあった。

世界フィギュアスケート選手権やヨーロッパフィギュアスケート選手権などは、前年の成績によって翌年の参加枠が決まる一方、この四大陸フィギュアスケート選手権に参加するためには、当該シーズンと前シーズンの指定された大会で、ショートプログラムとフリースケーティングの両方で最低技術点をクリアしていることが前提となる。各国、種目ごとに最大3枠までの出場が認められている。

過去には出場選手としてエントリーしながらも、直前に辞退を発表するケースもあったが、国際スケート連盟(ISU)によるランキングの算出用ポイントとしてはヨーロッパ選手権と同等の国際大会とされており、注目度は年々上がっている。冬季オリンピックでメダルを狙うスター選手はもちろん、近年では若手の登竜門としての意味合いも強い。今回の四大陸選手権で一気にブレイクを果たし、名をあげる選手が誕生する可能性も十分にある。

宇野昌磨は欠場も、友野一希に期待

男子シングルでは、当初、2019年12月の全日本フィギュアスケート選手権で4連覇を達成した宇野昌磨と、同大会2位の羽生結弦が代表に選出されていた。

しかし、宇野は2020年3月にカナダで行われる世界フィギュアスケート選手権に照準を合わせるため、四大陸選手権の欠場を発表。前回大会覇者として連覇がかかっていたものの、年明けから練習拠点をスイスに移した。この一連の流れについて「地に足をつける意味でもまずは新たな環境に身を慣らし、世界選手権に向けてジャンプの精度の向上、プログラムの完成度を高めていきたい」と話している。

自ら辞退した宇野に代わって、同志社大学に在籍中の友野一希が選ばれた。全日本選手権では6位の結果を残した友野は突然めぐってきたチャンスにも動揺はなく、「表彰台を狙うくらいの気持ちで臨みたい」と志は高い。友野は「代打率」が高く、急きょ繰り上げにより大会に出場するのはこれで4度目となるだけに、これまでの経験が生きてくるはずだ。

女子シングルでは2018年には坂本花織が優勝し、前回大会では紀平梨花が女王となるなど、日本人選手が4連覇中。坂本は年明け早々に行われた日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)で、前半のショートプログラムで首位に立ちながら、逆転を許して2位に終わっただけに、過去に自分が優勝し、良いイメージのある四大陸選手権で勢いを取り戻したいところだろう。

2017年大会以来の出場となる羽生は意気込み十分、出るかクワッドアクセル

オリンピック2連覇中の絶対王者、羽生結弦がこの大会に出場するのは、平昌五輪のプレ大会だった2017年大会以来となる。2019年12月の全日本選手権ではフリーでのミスが響き、宇野に逆転優勝を許してしまった。羽生は今回、「一つのステップとして出たほうが自分としても成長できると感じたから」と、四大陸出場を自ら希望したという。

グランプリファイナル3連覇中で、羽生の目下最大のライバルであるネイサン・チェンは四大陸選手権に出場しないため、直接対決はなくなったものの、羽生自身は高みをめざし、まだ誰も成功したことのない4回転半(クワッドアクセル)ジャンプへの挑戦も示唆。「四大陸をどれだけ成長の場にできるか」と語るなど、すでに圧倒的な実績を残しながらも、さらなる高みに挑み続ける姿勢を貫いている。

冬季ユース五輪金メダルの次世代エースも参戦

全日本選手権で3位に入り、今回の出場権を獲得したジュニアの鍵山優真は、2003年5月5日生まれの16歳。「次世代エース」として世界的にも注目される逸材だ。閉幕したばかりのユース冬季五輪でも、ショートプログラム3位からの大逆転を見せ、金メダルに輝いた。4回転トウループ、3回転ループに加えて、体力的にきつい終盤にも3回転アクセルを見事に決める完璧な演技で観衆を魅了し、海外メディアから「氷上のプリンス」と絶賛された。四大陸選手権後は、3月の世界ジュニアフィギュアスケート選手権への出場も決まっており、さらなる飛躍が期待される。

大会連覇を狙う紀平梨花はグランプリファイナルに2年連続出場、全日本選手権でも初優勝を果たすなど好調を維持している。年明けからはアメリカでの合宿に臨み、4回転やトリプルアクセルなどジャンプ強化に注力中だ。2020年のテーマに「挑戦と安定」を掲げ、「高難度のジャンプに挑戦しながらも安定した演技」をめざす。

肉体改造に成功し、全日本選手権では200点超えの高得点で3年ぶりの表彰台となる2位に輝いた樋口新葉(わかば)も、大技成功に向けてトレーニングの真っただ中だ。「トリプルアクセルを今シーズン1回は成功させたい」と抱負を語り、「失敗しても成功しても(四大陸選手権で)入れるのが目標」と宣言している。

どの選手も見据えるのはさらなる高み。3月の世界選手権へ向けて、フィギュアスケーターたちの「熱き冬」は続いていく。

ISU四大陸フィギュアスケート選手権 日程・放送予定

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