丹羽孝希:幼少期から卓球の天才と呼ばれて|土台にあるのは父との猛練習の日々【アスリートの原点】

プレッシャーをはねのけ、三度目のオリンピックへ

1 執筆者 オリンピックチャンネル編集部
三度目のオリンピック出場を決めた丹羽孝希

2012年、17歳でオリンピック初出場。2016年のリオデジャネイロ五輪団体戦では、日本男子史上初となる銀メダル獲得に貢献した。「天才少年」と呼ばれた丹羽孝希(にわ・こうき)だが、26歳で迎える2021年のTokyo 2020(東京五輪)出場内定への道は厳しいものだった。あるインタビューでは「引退」も頭をよぎったと吐露する丹羽。しかし、卓球への情熱が消えることはなかった。

卓球経験者の父と毎日4時間の練習

丹羽孝希は1994年10月10日、北海道苫小牧市で誕生。父は卓球経験者で大会の常連選手だった。

父の影響を受け、丹羽は7歳の時に姉とともに卓球クラブ「苫小牧ジュニア」に通い始める。最初はラリーが続くと楽しい程度の感覚しかなかったが、小学2年生で大会に初出場すると、歯が立たない悔しさを味わう。自分が取り組んでいる卓球というスポーツがいかに奥深く、難しい競技であるかを思い知った。

すると父の指導にも熱が入り、夕方から3~4時間の猛練習という日々が始まった。集中力と忍耐力が求められる過酷な内容だったが、丹羽は決して休もうとしなかった。その様子を見て、姉は「本当に卓球が大好きなんだ」と振り返る。寝る直前まで壁当て。時には1人で体育館に出向き、サーブのトレーニングを積んだという。

こうした努力が実り、全国大会でも上位に名を連ねるようになる。11歳でU-18日本代表に選出。国際舞台で経験を積み、トップレベルの選手たちから刺激を受け、向上心に火がついた。小学6年生以下の大会・全日本選手権ホープスで優勝を果たしたこともあり、多くの強豪校からスカウトを受けるが、父との相談の結果、名門・青森山田中学高等学校への進学を選ぶ。

高校3年生で出場したロンドン五輪が大きな財産に

親元を離れて始まった寮生活。丹羽は寂しさを感じると同時に、必ず結果を出さなければと気を引き締める。

同学年の吉田雅己、町飛鳥(ともに現・岡山リベッツ)と切磋琢磨し、2009年3月には東京卓球選手権大会でシングルスを制覇。国内シニア大会初優勝を達成する。その翌月には世界卓球選手権個人戦に14歳6カ月の日本史上最年少で出場。さらに勝利を挙げると、その名は全国へと広まる。2011年には世界ジュニア卓球選手権のシングルス優勝。日本人で2人目となる快挙だった。

2012年、高校3年生で迎えたロンドン五輪の団体戦に出場。初のオリンピックは準々決勝敗退となったが、この経験が4年後の団体戦でのメダル獲得へとつながる。翌年1月には、全日本卓球選手権を制覇。日本のエース・水谷隼との決勝を制しての初戴冠だった。明治大学へ進んだ丹羽は、ドイツ・ブンデスリーガにも挑戦し、技を磨いた。二度目のオリンピックとなったリオデジャネイロ大会は、中国に敗れたものの団体戦で銀メダルを獲得。ここに丹羽の貢献があったことは疑いの余地はない。

順調な選手生活を送ってきた丹羽だが、3度目の五輪出場を目指す過程で、成長著しい若手・張本智和の突き上げを受ける。来る東京五輪、男子シングルスの出場枠は「2」。そのうちの1枠は、早々に張本が確実視される。残り1枠を先輩・水谷と争う日々。丹羽は幾度となくプレッシャーに押しつぶされそうになったと振り返るが、そうした丹羽を救ったのは、映画鑑賞であったり、テーマパークであったり、アイドルの歌だったり競技外の余暇だった。

こうして重圧をはねのけ、東京五輪の男子シングルス出場内定を勝ち取った丹羽。2020年10月2日には入籍を発表した。公私ともに充実。2021年の東京五輪でもプレッシャーをはねのけ、金色の輝きを狙う。

選手プロフィール

  • 丹羽孝希(にわ・こうき)
  • 卓球選手
  • 生年月日:1994年10月10日
  • 出身地:北海道苫小牧市
  • 身長/体重:162センチ/51キロ
  • 出身校:苫小牧緑(北海道)→青森山田中(青森)→青森山田高(青森)→明治大(東京)
  • 所属:スヴェンソン
  • オリンピックの経験:ロンドン五輪男子卓球団体ベスト8、リオデジャネイロ五輪男子卓球団体銀メダル
  • ツイッター(Twitter):丹羽孝希 KOKI NIWA(@1010niwa)

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