世界野球ソフトボール連盟(WBSC)主催で4年に一度行われる「WBSCプレミア12」。世界ランク上位12カ国が集結したこの大会は、開催国・日本代表"侍ジャパン"の優勝で幕を閉じた。準優勝の韓国はアジア代表として、3位メキシコアメリカ大陸代表として東京五輪への出場権を獲得した。
スーパーラウンド第2戦でアメリカに敗れるも、立て直して首位で決勝へ
2018年の世界ランクで1位に君臨しながら、「侍ジャパン」は4年前の前回大会で悔しい3位に終わった。
雪辱を果たしたい今大会は、グループBのオープニングラウンド初戦でベネズエラ(世界ランク9位)と戦い、8−4の逆転勝利で白星スタートを切ると、翌日のプエルトリコ(同11位)戦でも4得点を奪って完封勝利を収めた。第3戦は難敵チャイニーズ・タイペイ(同4位)相手に8−1と圧倒して、3連勝でスーパーラウンド進出を決めた。
日本とともにスーパーラウンドへと駒を進めたのは6カ国。日本、メキシコ、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、韓国が決勝進出を懸けて争うことになった。オープニングラウンドでチャイニーズ・タイペイに勝利した日本は、1勝のアドバンテージでスーパーラウンドへ。
グループCを2位で突破したオーストラリアとの初戦は3回、4回に失点を許す。しかし、7回裏に7回裏に源田壮亮のピッチャーフィルダースチョイスで同点に追いつくと、8回裏に加点し、3−2の逆転勝利を収めた。
続く第2戦、野球大国アメリカとの一戦でも先制を許してしまう。その後、4回裏に浅村栄斗(ひでと/楽天)のライト前ヒットで一点を返しながら、失点。6回裏にも浅村の右中間ツーベースで加点したものの、再び失点する展開が続き、3−4で初黒星を喫してしまった。
しかし翌日のメキシコ戦では見事に立て直しに成功。鈴木誠也(広島)と近藤健介(日本ハム)のヒットで初回に2点を奪った。グループAを3戦全勝で1位突破してきた相手の攻撃を1点に抑えて3−1で白星をあげてみせた。他チームの結果により、日本は1試合を残して決勝進出を決める。
そして迎えたスーパーラウンド最終戦は因縁の日韓戦。翌日に行われる決勝戦と同カードということもあり、難しい位置づけの試合となるが、3回に侍ジャパンの打線が爆発する。坂本勇人(巨人)がツーベースを放つと、続く丸佳浩(巨人)がバンドに成功。鈴木、浅村、吉田正尚(オリックス)、會澤翼(広島)、菊池 涼介(広島)らが続き、打者一巡の集中打で6得点を挙げた。投手陣は先発の岸孝之(楽天)から田口麗斗(かずと/巨人)まで6人を継投させて追撃を凌ぎ、10-8で勝ちきって翌日の決勝に向けて弾みをつけた。
韓国との決勝戦では山田哲人が3ランホームランの活躍
決勝の相手は、前日と同じ韓国。この試合で先発を務めた山口俊(巨人)が1回表に2本塁打を浴びて3点を先制されたが、その裏に鈴木のツーベースで1点を返し、2回に山田哲人(ヤクルト)の3ランで逆転に成功する。7回には浅村のライト前ヒットによる追加点で突き放し、5−3で勝利をもぎ取った。
2009年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)以来、10年ぶりとなる世界一の座。4年前に準決勝で敗れた韓国にリベンジを果たしてのプレミア12初優勝ということもあり、東京ドームは歓喜に包まれた。
大会MVPには4番として打線を引っ張り、ホームラン3本、13打点の好成績を残した鈴木誠也が選出されている。稲葉篤紀監督は「よく頑張ってくれた選手のおかげです」とチームを称え、「来年のオリンピックでまた世界一をとれるよういい準備をしていきたい」と目標を新たにした。
攻守ともに穴のない韓国が東京五輪行きを決める
前回優勝国の韓国は、オープニングラウンドでオーストラリア、カナダ、キューバとともにグループCに入り、攻守にスキのない戦いを見せて3戦全勝。特に失点は3試合でわずか1と投手陣が抜群の安定感を誇った。
スーパーラウンド初戦では強敵アメリカに5−1と快勝した韓国だが、第2戦のチャイニーズ・タイペイ戦では相手の先発、張奕(ちょうやく、オリックス)の好投に苦しみ、0−7と完敗。しかしメキシコには7−3と鮮やかな逆転勝利を収めて見事に決勝進出を決めた。
決勝を含め、日本には2戦とも敗れたものの、スコアはいずれも僅差で接戦だった。準優勝に終わったものの、韓国はアジア・オセアニア地区の最上位となり、東京五輪への出場権はしっかりと手中に収めている。ヤン・ヒョンジョン、キム・グァンヒョン、パク・ジョンフンといった超強力な投手陣、国内リーグの本塁打王である4番のパク・ビョンホなどを擁する打線は、東京五輪で金メダルを狙えるだけの実力を持っている。
アメリカとの北米対決を制したメキシコが、東京五輪へのチケットを掴む
今大会は優勝を狙った日本以外の国々にとっても、重要な意味を持っていた。それは2020年の東京五輪の予選を兼ねていたからだ。
オリンピックに出場できるのは6チーム。大会前の時点で開催国の日本、そしてアフリカ・ヨーロッパ予選を勝ち抜いたイスラエルはすでに出場が決定していたが、今大会では日本を除くアジア・オセアニア地区と、アメリカ大陸のそれぞれで最上位となった2チームが出場権を得られることとなっていた。
前述のとおり、準優勝の韓国がアジア・オセアニア代表の座を獲得した。そしてアメリカ大陸代表となったのは、3位決定戦でアメリカに3−2でサヨナラ勝ちしたメキシコだった。残るは2枠。2020年3月にアメリカで行われるアメリカ大陸予選で1チーム、そして4月に台湾で行われるインターコンチネンタル予選で1チームが決まる。