【プレイバック】アテネ五輪の野球日本代表は全員プロの「スター軍団」。病床の長嶋茂雄監督に銅メダルを届ける

2大会ぶりの表彰台入りは果たすも、オーストラリアに屈す

アテネ五輪の野球日本代表。上原浩治、黒田博樹、松坂大輔、城島健司、宮本慎也、高橋由伸、福留孝介などそうそうたるメンバーがそろっていた

2004年のアテネ五輪で金メダル獲得を使命に課した野球日本代表は、「全員プロ選手」という「ドリームチーム」で臨んだ。選手選考の制限、さらには長嶋茂雄監督が病に伏すという試練のなか、目標には届かなかったものの、2大会ぶりのメダル獲得という形で意地を示している。

オリンピック本番は選手選考の制限に監督不在

2000年のシドニー五輪で野球日本代表は、初めてプロ選手を含むメンバー構成で臨みながら、4大会続いていた表彰台入りの記録が途切れるという屈辱を味わった。その結果を受け、2004年のアテネ五輪に向けて巨人の終身名誉監督である長嶋茂雄氏を指揮官に据え、全員プロ選手という「長嶋ジャパン」を編成し、金メダル獲得を使命に課した。

松坂大輔、城島健司、福留孝介、小笠原道大(みちひろ)といった「スター軍団」でアジア地区予選を戦った日本は、全勝で堂々の1位通過。金メダル有力候補のアメリカが地区予選敗退を喫したことで、追い風ムードが漂ったかに思われた。

だが、思わぬ試練が待ち構えていた。オリンピック期間中も公式戦が行われる日本プロ野球球団の意向により、各球団から2名ずつと選手選考に制限がかけられた。さらに、長嶋監督が2004年3月に脳梗塞のため入院を余儀なくされ、結局、五輪では中畑清ヘッドコーチが指揮を執り、スタッフ、選手ともに万全とは言えない状態での戦いを強いられた。

3位決定戦で「長嶋ジャパン」が見せた意地

床に伏す長嶋監督に吉報を届けるべく、選手たちは奮闘した。予選リーグは6勝1敗でトップの成績。野球がオリンピックの正式種目になって以来、日本にとっては初めてのことで、最終的に今大会で金メダルを獲得することとなるキューバを相手にも、松坂の好投などにより6−3で勝利を収めた。

しかし、日本の前にオーストラリアが立ちはだかった。予選リーグで唯一、4−9で土をつけられたのに続き、準決勝でも0−1で敗戦。当時、阪神タイガースに所属していたジェフ・ウィリアムスをはじめとした投手陣に打線が抑え込まれた。3位決定戦ではカナダに11−2と大勝し、2大会ぶりのメダル獲得で「ドリームチーム」としての意地は見せたものの、悔しさの残る結果に終わった。

金メダルを獲得したのはキューバ。キューバは予選リーグを2位で通過し、準決勝のカナダ戦では8回に一挙6点を重ねて8-5と逆転勝利を収めた。オーストラリアとの決勝では、6回の4得点で大きく勝利を引き寄せ、見事2大会ぶり3度目の金メダルに輝いている。

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