息を呑むような高速スピードで、急勾配のコースを滑り抜けるエキサイティングな冬のスポーツのひとつである、ボブスレーのワールドカップが、いよいよ今日(11月19日)から開幕する。なんといっても、今シーズン(2021/2022)は、**北京2022**を控えていることもあり、例年以上にその熱気は高まっている。
何が起こるのか全く見当もつかないなか、ひとつだけ確かなことがある。それは、瞬きする時間もないくらい、アスリートたちの超人的パフォーマンスから目が離せないということ!
ワールドカップ開幕戦を前に、今季の注目選手とポイントを、おさらいしておこう!
男子の注目ポイント
男子ボブスレーには、今、現役でレジェンドと称されるアスリートがいることを、誰もが疑わない。それは、ドイツの**フランチェスコ・フリードリヒ**だ。
遡るは2015年、まだフリードリヒの名前が世に知られていない頃、彼のコーチがインタビューでこんな言葉を残している。
「100年に1人の逸材を目撃することになる」
そして、この言葉が現実となる。
フリードリヒは、世界選手権の2人乗り競技で7年連続(2015−2021)で優勝し、4人乗り競技では3季連続(2019−2021)で表彰台に上っている。現在までに、10個の金メダル獲得という驚異的な記録を、自ら更新し続けている。
Francesco FRIEDRICH
国別でみても、ドイツの強さは別格だ。昨季(2020/2021)の世界選手権2人乗りでは、表彰台すべてがドイツ人ペアで独占されており、北京2022でもドイツの活躍が期待される。
昨シーズンのワールドカップ4人乗りでは、ドイツチームが4度の優勝を果たし、その圧倒的な強さを見せつけた。
当然ながら、他のチームも黙っていない。オーストリアは銀メダル4個を獲得、カナダは銀メダル1個と銅メダル2個を獲得して、強敵ドイツを追いかける。
北京2022の見所をあげるなら、平昌2018男子4人乗りで金メダルに輝いたドイツが、タイトルを連覇できるかに注目だ。また2人乗りでは、平昌2018でカナダの**ジャスティン・クリップスとアレクサンダー・コパチ**のペアが、同タイムの成績によって、ドイツチームと同時金メダルを獲得したことは記憶に新しい。このペアによって、北京2022では、ドイツの牙城を崩すサプライズな展開が待っているかもしれない。
女子の注目ポイント
男子と違って、女子は予測が本当に難しい。
2度のオリンピックチャンピオンに輝くアメリカの**ケイリー・ハンフリーズが、2021年世界選手権で金メダルを獲得した。夏のオリンピックにも出場経験のあるロロ・ジョーンズ**とペアになって戦う女子2人乗りだけでなく、北京2022で新種目として初めて行なわれる、女子モノボブの初代王者となって、2個の金メダルをその首にかけるかもしれない。
そんなベテラン選手を阻もうとしているのが、ドイツの**キム・カリツキだ。2020年の世界ジュニア選手権で優勝し、過去2回の世界選手権で2度の銀メダルに輝くカリツキは、アン=クリスティン・ストラック**とペアを組んで挑んだ昨シーズン世界選手権の2人乗りで、わずか0.35秒アメリカチームに及ばなかった。また、カリツキは、昨季ワールドカップで表彰台に6回(優勝1回)上り、総合成績では2位という成績を収め、北京2022メダル候補として、その期待を一気に上昇させている。
昨シーズンのワールドカップ女子2人乗りで、総合優勝を果たしたのが、オーストリアの**カトリン・バイエル**だ。シーズン中は、安定した強さを見せ、獲得ポイントは1506となり、オーストリア人として初の総合優勝の快挙を達成した。
平昌2018女子2人乗りの金メダリスト、マリアマ・ヤマンカ(ドイツ)も忘れてはいけない。世界タイトルを2度制覇(2017・2019)し、ヨーロッパ選手権でも2017年に王者となっている。
このほかにも、リレハンメル2016冬季ユースオリンピックの女子モノボブで優勝し、ヨーロッパ選手権を2度制覇している**ローラ・ノルテ**(ドイツ)にも注目だ。ノルテは、2021年世界選手権で女子モノボブと2人乗りの2種目で、ともに銅メダルを獲得した。北京2022でオリンピック初出場を目指しながら、かつメダルにも近い存在として、その成長著しい才能に、世界の視線が集まっている。
大会スケジュール
2021年
- 11月19-21日 インスブルック(オーストリア): WC
- 11月27-28日 インスブルック(オーストリア): WC
- 12月4-5日 アルテンベルグ(ドイツ): WC
- 12月11-12日 ヴィンターベルク(ドイツ): WC
- 12月18-19日 アルテンベルグ(ドイツ): WC
2022年
- 1月1-2日 スィグルダ(ラトビア): WC
- 1月8-9日 ヴィンターベルク(ドイツ): WC
- 1月15-16日 サン・モリッツ(スイス): WC
- 2月4-20日 北京2022冬季オリンピック大会(中国)
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