ショートトラック、2021/2022 注目ポイントは?

ショートトラックの今季開幕を告げたのは、先週末に北京2022の会場で行なわれたワールドカップ第1戦。オリンピックシーズンならではの出場枠をかけたトップスケーターたちの熱戦と、今シーズンの注目ポイントを押さえておこう!

1 執筆者 Marina Dmukhovskaya
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2021/2022シーズンのショートトラック・ワールドカップ初戦は、中国・北京で10月21日から24日の日程で行なわれた。アスリートだけでなく、ショートトラックのファンたちもこの日を長く待ち侘びていたことだろう。なぜなら、昨シーズンはCOVID−19による渡航制限により、多くのアジアの有望選手たちが国際大会に参加することができなかった。また、来年の北京2022のテストイベント兼ねて行なわれたこの初戦は、2年ぶりに開催されるワールドカップ大会となった。開幕まで100日を切った北京2022に向けて、多くのメダル候補選手がオリンピックと同じアイスリンクへ一堂に会し、ワクワクする戦いを見せてくれた。

シーズン幕開けの戦いを振り返りながら、今季の注目ポイントを紹介しよう。

女子の注目ポイント

ベテラン選手ともいえるイタリアの**アリアナ・フォンターナ**が、ワールドカップの氷上へ戻ってきた。フォンターナは、これまで4大会のオリンピックに連続出場し、平昌2018の女子500mで手にした金メダルを含めて獲得メダル総数は8個(金1、銀2、銅5)を数え、偉大なるスプリンターとしての地位を確立している。タイトルディフェンダーとして、北京2022のメダル有力候補のひとりだ。

ISU(国際スケート連盟)のインタビューで、「北京2022を目指して今も競技に出場していることを、15歳だった頃の自分自身へ伝えたら何と答えるでしょうか?」という質問に対して、フォンターナは「多分その子は、信じないでしょうね。だって、ソチのあとには引退しようって決めていたのに、今もこうして、ここにいることを自分自身でも驚いているのですから!」と答えている。

もうひとりの注目スケーターといえば、オランダの**スザンネ・シュルティング**だ。昨季の世界選手権で、すべての個人種目でメダルを獲得したことにより、今季オリンピックシーズンにおける彼女への期待はますます膨らんでいる。その期待通り、平昌2018で金メダルに輝いた女子1000mで、先日のワールドカップ初戦でも優勝する。ISUのインタビューで、シュルティングは「ワールドカップでは、これまでメダルをひとつしか獲れていなかったのですが、今日でふたつになりました。言うまでもなく、とてもハッピーです」と答えている。

これまでの戦績からも分かる通り、韓国の女子チームへの期待も大きい。それは、団体戦のリレー競技のみならず、個人種目も然りだ。先週末のワールドカップ初戦では、平昌2018女子1500mで優勝した**チェ・ミンジョン**をはじめ、イ・ユビンとキム・ジユが表彰台に上った。

中国の女子チームは、ワールドカップ最終日に、リレー2種目(女子3000m・混合2000m)でともに金メダルを獲得した。来年2月、オリンピックの団体戦では、地元開催のアドバンテージを活かして、韓国の最大のライバルになることは間違いない。

男子の注目ポイント

ハンガリーの**シャオリン・リュウシャオアン・リュウ**の兄弟は、平昌2018の男子5000mリレーで、歴史的な金メダルをもたらしたことにより、今季も目が離せない。あの快挙から4年、中国にルーツをもつリュウ兄弟は、もうひとつのホームである中国で開催される北京2022で、団体戦のタイトル防衛はもちろんのこと、個人種目でのメダルも狙っている。

Olympics.com のインタビューで、兄・シャオリンは第二の故郷である中国で、多くの中国人に会場でショートトラックを観戦してもらえることに期待を寄せており、「中国代表選手とレースで戦うことになっても、観客席の人たちは、僕たちのことを同じように応援してくれると思うよ。僕たちふたりとも、中国のファンが大好きなんだ」と答えている。そして、今季ワールドカップ初戦で、シャオリンは北京の氷の状態を確かめながら、男子500mで優勝を果たした。

また、ロシアの**セミョン・エリストラトフ**は、北京のワールドカップで、1500mで優勝、1000mでは2位と、立て続けに表彰台へ上った。インタビューでは、「緊張は誰でもしますが、もし緊張していないと言う人がいたら、おそらくその人は、2倍の緊張をしていると思います」と、緊張の度合いが勝負の行方を決めると語っている。

エリストラトフの憧れの存在、カナダのレジェンド選手**チャールズ・ハメリン**は、今年で37歳になるが、昨季の世界選手権で優勝。年齢にかかわらず、北京2022での活躍が期待される。

女子と同様に、韓国の男子チームも強豪で見逃せない。そのなかでも、平昌2018男子500mで銀メダルを獲得した**ファン・デホン**が、北京のワールドカップでは男子1000mで優勝した。

大会スケジュール

ワールドカップ

  • 第1戦 2021年10月21−24日 @北京(中国)
  • 第2戦 2021年10月28−31日 @名古屋(日本)
  • 第3戦 2021年11月18−21日 @デブレツェン(ハンガリー)
  • 第4戦 2021年11月25−28日 @ドルドレヒト(オランダ)

選手権

  • ISU欧州選手権 2022年1月14−16日 @ドレスデン(ドイツ)
  • ISU四大陸選手権 2022年1月14−16日 @ソルトレークシティ(アメリカ)
  • ISU世界選手権 2022年3月18−20日 @モントリオール(カナダ)

*日程・会場は変更の可能性あり

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