【アルペンスキー】パンテュローとオーデルマットのドラマチックな戦い

アルペンスキー・ワールドカップがいよいよ今週末より開幕する。北京2022メダル候補として注目される、フランスのベテラン選手・パンテュローと、スイスの新星・オーデルマットによる昨シーズンの激戦を振り返る

文: Emma Hingant
写真: 2021 Getty Images

ついに、この時がやってきた。

明日(10月23日)よりオーストリア・ゼルデンで、FISアルペンスキー・ワールドカップ(2021/2022)が開幕する。

昨シーズンは、オリンピックメダルを3個獲得しているフランスのベテラン選手アレクシ・パンテュローが、最後まで見逃すことのできなかった激戦を制して、初の総合優勝を果たした。また、その総合優勝を成し遂げた者だけに与えられるクリスタルグローブのトロフィーをフランスに持ち帰ったのは、1996/1997シーズンに優勝したリュック・アルファン以来、実に24年ぶりのことだった。

そして、パンテュローとの激闘のライバルとなったのが、スイスの新星マルコ・オーデルマットだ。パンテュローにポイントで僅かに及ばず、総合2位となったオーデルマットは、北京2022のオリンピック初出場だけでなく、表彰台に上ることも狙っている。

今季の新たなドラマと、開幕まで4ヶ月を切った北京オリンピックを前に、世紀のライバル対決となった昨季の激戦を、いま一度振り返ってみよう。

プロフィールと戦績

アレクシ・パンテュロー

  • 生年月日:1991年3月20日
  • 出身地:フランス・ムティエ(サヴォア)
  • 所属:CS Courchevel

オリンピック成績 :

  • ソチ2014:銅メダル(ジャイアントスラローム)
  • 平昌2018:銀メダル(アルペンコンバインド)、銅メダル(ジャイアントスラローム)

世界選手権 成績 :

  • 2015年:銅メダル(ジャイアントスラローム)
  • 2017年:金メダル(団体戦)
  • 2019年:金メダル(アルペンコンバインド)、銅メダル(ジャイアントスラローム)
  • 2021年:銀メダル(アルペンコンバインド)、銅メダル(スーパーG)

ワールドカップ成績 :

  • 2021年総合優勝(クリスタルグローブ獲得)
  • 5個の種目別グローブ獲得:2021年(ジャイアントスラローム)、2016・2017・2019・2020年(アルペンコンバインド)

2020/2021ワールドカップ :

  • 獲得ポイント:1260
  • 優勝:5回
  • メダル:9個(金5、銅4)

マルコ・オーデルマット

  • 生年月日:1997年10月8日
  • 出身地: スイス・ブオク(ニトヴァルデン)
  • 所属:SC Veysonnaz Mont-Rouge

世界ジュニア選手権 成績 :

  • 2016年:金メダル(ジャイアントスラローム)、銅メダル(スーパーG)
  • 2018年:金メダル5個(ダウンヒル、スーパーG、ジャイアントスラローム、アルペンコンバインド、団体戦)

ワールドカップ成績 :

  • 2021年総合成績 第2位
  • 2021年種目別 銀メダル2個獲得(ジャイアントスラローム、スーパーG)

2020/2021 ワールドカップ :

  • 獲得ポイント:1093
  • 優勝:3回
  • メダル:9個(金3、銀3、銅3)

昨季の振り返り

2019/2020シーズンの前半となる2019年12月、オーデルマットはFISワールドカップ(アメリカ・ビーバークリーク、スーパーG)で初優勝し、その名をメディアで賑わせ始めていた。2020年2月には、日本・苗場でのワールドカップ(スーパーG)でも、銀メダルを獲得している。一方のパンテュローは、2019/2020シーズンを総合2位で終わっていたため、翌2020/2021シーズンでは、その雪辱を果たすことに心血を注いでいた。

昨シーズンは合計35のワールドカップ大会が行なわれ、両選手共にメダル9個を獲得。そのうち、オーデルマットは金3個(ジャイアントスラローム2回、スーパーG1回)で、パンテュローは金5個(ジャイアントスラローム4回、パラレル1回)と上回る。また、2019/2020シーズン総合優勝のアレクサンデル・オーモット・キルデ(ノルウェー)が、2021年1月に怪我により途中離脱したため、特にジャイアントスラロームでは、オーデルマットとパンテュローのライバル対決がより鮮明となった。大方の予想は、パンテュローが優勢と見ていた。

ドラマのような結末

しかしながら、オーデルマットも負けていなかった。2021年2月後半、オーデルマットがランキングで上位となり、パンテュローは期待されたような成績を残せずにいた。

2021年3月、オーストリア・ザールバッハヒンターグレムで開催されたワールドカップ(スーパーG)で、オーデルマットが優勝。続くスロベニアのクランスカ・ゴーラの大会(ジャイアントスラローム)でも、金メダルに輝く。この成績により、オーデルマットはポイントの差を、ジャイアントスラローム(種目別)で25もつけて1位に躍り出る。さらに、総合成績では暫定1位のパンテュローとの差を31にまで縮めた。

ワールドカップ大会も残すところ、あと2戦。

大きなプレッシャーと不安を払拭するためにも、パンテュローは1回でいいので、優勝することが必要だった。そして、オーデルマットにとって馴染みのある、スイス・レンツァーハイデの雪上でそれが成し遂げられた。悪天候により、スーパーGのレースがキャンセルとなったため、オーデルマットはポイントを加算する機会を失ってしまう。

こうして、2021年3月20日、まさに自分の誕生日に、パンテュローはジャイアントスラロームで優勝、オーデルマットが11位に沈んだため、総合成績でもパンテュローの優勝が確定した。

あまりにもドラマチックなエンディングで幕を閉じた昨季を経て、2021/2022シーズンが、いよいよ幕を開けようとしている。それだけでなく、今シーズンは北京オリンピックも控えている。いったい、どんな戦いのドラマが待っているのだろう。

互いを称え合うパンテュローとオーデルマット=スイス・レンツァーハイデ
写真: Christophe Pallot/Agence Zoom/Getty Images

昨季振り返りの言葉

オーデルマット

「アレクシは明らかに強く、僕は彼に追いつくことができなかった。彼は、ふたつのグローブを受け取るにふさわしい最高の選手だよ」RTS

「アレクシのおかげで、たくさんのことを学んだよ。彼はいつだってスキーのことばかり考えている。そして、どんな壁でも乗り越える方法を、自分の力で見つけている」Ouest-France

パンテュロー

「シャモニー大会の後(317ポイント差で暫定1位になった時)、誰もが今季の結果は決まったと思っていました。僕自身もそうでした。まだ、シーズンの途中だったのに。だけど(オーデルマットの猛追によって)これまでに感じたことのないプレッシャーに襲われました。クランスカ・ゴーラの大会までずっと、この不安は大きくなっていくばかりでした」L’Équipe

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