卓球・パリ2024 日本代表メンバー6選手を一挙紹介!

執筆者 Chiaki Nishimura
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Table Tennis Team Japan Paris 2024
写真: Getty Images

7月26日にセーヌ川で予定されている開会式が間近に迫るパリ2024オリンピック

卓球競技において、日本は男女団体・男女シングルス・混合ダブルスでオリンピック出場枠を獲得し、2022年3月〜2024年1月の期間に行われた日本代表選考大会の成績をもとに、日本卓球協会は2月、日本代表選手を発表した(※)。6選手が日本代表選手としてパリに向かうことになる。

3年前に東京を舞台に熱い戦いが繰り広げられた東京オリンピックでは、初めて実施された卓球混合ダブルスで伊藤美誠(みま)&水谷隼(じゅん)が日本卓球界史上初の金メダルに輝き、伊藤は女子シングルスで銅メダルを獲得、日本女子初の快挙となった。さらには日本は女子団体で銀メダル、男子団体で銅メダルという輝かしい成績を収めた。

この流れを受け、さらなる飛躍を誓う選手たち。男女3人ずつの6選手を紹介しよう。

※オリンピック各国代表の編成に関しては国内オリンピック委員会(NOC)が責任を持っており、パリ2024への選手の参加は、選手が属するNOCがパリ2024代表選手団を選出することにより確定する。

卓球・女子日本代表

早田ひな

  • 生年月日:2000年7月7日(24歳)※年齢はパリオリンピック開会式(2024年7月26日)を基準とした。
  • 出身地:福岡県
  • オリンピック歴:東京2020はリザーブ(補欠)として帯同
  • 世界ランキング:女子シングルス最高4位(2023年10月)
  • 種目:女子シングルス・女子団体・混合ダブルス

東京2020で3つのメダルを手にした伊藤美誠(みま)や、平野美宇(みう)とともに2000年生まれの黄金世代の一角として卓球界を盛り上げてきた早田ひな。2022年3月の代表選考レース初戦で優勝して以降常に上位に立つと同時に、東京オリンピックからの3年間で、一躍日本卓球女子のエースへと成長。最終的には2位以下を大きく引き離してオリンピック代表の座を掴み取った。

理想のアスリート像はテニスのロジャー・フェデラーという早田は、167cmの身長(Tリーグのウェブサイトより)と長い手足を生かしたパワードライブが持ち味で、緩急を巧みに使う技術にも磨きをかけている。2023年の国際舞台では、強豪・中華人民共和国の東京2020女子シングルス金メダルのチェン・ムン(陳夢)やワン・イーディ(王艺迪)を相手に勝利をおさめ、ファンの心を熱くした。パリでの目標は「金メダル獲得」と力強く語る。

平野美宇

  • 生年月日:2000年4月14日(24歳)
  • 出身地:山梨県
  • オリンピック歴:リオ2016でリザーブとして帯同。東京2020団体戦銀メダル
  • 世界ランキング:女子シングルス最高5位(2017年11週)
  • 種目:女子シングルス・女子団体

伊藤との代表争いを制して初めてオリンピック女子シングルス日本代表の座を掴み取った平野美宇。3歳で卓球を始めたという平野は、幼い頃から注目を集め、14歳のときには2014年ワールドツアー・グランドファイナル女子ダブルスで伊藤とともに日本選手として初優勝。3年後のアジア選手権シングルスでは、準々決勝、準決勝、決勝と中国代表選手を次々と倒してアジアの頂点に。21年ぶりの快挙となった。

スピード感のある高速卓球を武器とし「ハリケーン」の異名を誇るが、スピードやコース、回転など打球の緩急を操るスキルを磨いてさらなる進化を遂げている。直近では、2023年7月に世界ランキング1位のスン・インシャ(孫穎莎)を倒したことでもファンの期待値を大きく高めた。代表候補選手が発表された2月の時点では「シングルスではまだメダルを獲れる位置にいない」と話していたものの、パリオリンピックでは、個人団体ともにメダル獲得を目指して、戦いの舞台に挑む。

張本美和

  • 生年月日:2008年6月16日(16歳)
  • 出身地:宮城県
  • オリンピック歴:オリンピック初代表
  • 世界ランキング:女子シングルス最高8位(2024年17週)
  • 種目:女子団体

女子シングルスの早田、平野に続き、団体戦のメンバーとして選出されたのが、男子のエース張本智和を兄に持つ張本美和だ。6月に16歳の誕生日を迎えるチーム最年少の張本は、オリンピックイヤー前年となった2023年に代表争いが激化する中、成長株として国内外の試合を通じて経験を重ね、年末の全農カップ(代表選考対象大会)で早田を破って初優勝を飾った。最終的には代表選考レースで早田、平野、伊藤に続く4位となり、女子シングルスの2枠には入らなかったが、団体戦のメンバーとして日本代表に選ばれた。

張本の活躍は国際舞台でも注目を集め、2024年4月のワールドカップでは史上最年少で銅メダルを獲得。シニアデビューを果たした2022年には、624位(2022年11週)だったシングルス世界ランキングが、2024年17週には8位にまで駆け上がったことからもその飛躍ぶりを知ることができる。兄ゆずりの「チキータ」(バックハンド技術のひとつでボールに横回転や上回転をかけて返球する打法)を武器に、中国トップ選手を相手に善戦。K-POPが好きと話す若きスターは、尊敬する兄と共に初のオリンピックを迎える。

卓球・男子日本代表

張本智和

  • 生年月日:2003年6月27日(21歳)
  • 出身地:宮城県
  • オリンピック歴:東京2020団体戦銅メダル
  • 世界ランキング:男子シングルス最高2位(2022年52週)
  • 種目:男子シングルス・男子団体・混合ダブルス

東京2020オリンピック混合ダブルスで伊藤美誠とともに金メダルを獲得した水谷隼(じゅん)が大会後に引退し、その後を継ぐかのようにエースへと名乗り出たのが水谷よりも14歳若い張本智和だ。2歳のときからラケットを握っていたという張本は、数々の最年少記録を塗り替え、国際卓球連盟(ITTF)主催の2018年ワールドツアーグランドファイナルでは、世界最年少15歳172日で表彰台の頂点に立った。

バックハンド全般を得意とする張本は、2022年にシングルス世界ランキングで2位にまでのぼり詰めたが、20歳を迎えた2023年は自身も認める「我慢の1年」。2023年9月のアジア選手権では初戦で敗退し、同月に行われたアジア競技大会では、メダルまであと1歩に迫った準々決勝で3ゲームを先取するも足を痛めて逆転負けを喫した。だが今年に入って迎えた全日本選手権で6年ぶりに日本一に輝き、ワールドカップでは妹・美和とともにシングルスで銅メダルを獲得。パリに向けて調子を上げていくことが期待される。

張本は早田とともにオリンピック混合ダブルスの出場枠を手にしている。この種目では前回の東京オリンピックで伊藤&水谷のふたりが金メダルを獲得。日本のペアが再び表彰台の頂点に立つかにも注目が集まる。

戸上隼輔

  • 生年月日:2001年8月24日(22歳)
  • 出身地:三重県
  • オリンピック歴:オリンピック初代表
  • 世界ランキング:男子シングルス最高21位(2024年19週)
  • 種目:男子シングルス・男子団体

2月の全日本選手権では張本に勝利を譲ったものの、2022年、2023年と2連覇を達成しているのが、戸上隼輔(しゅんすけ)。代表選考レースで2位となり男子シングルスの代表に選出された。

男子メンバーの中では他の2人よりも2つ上の22歳。高速のスウィングで次々と強打を繰り出す攻撃的なスタイルで知られる戸上は、大のプロレス好きとして有名で、アントニオ猪木さんの名台詞「元気ですかー」と叫ぶマイクパフォーマンスを時に披露する。

2月のワールドカップでは準々決勝でオリンピック男子シングルス2連覇のマ・ロン(中国)に敗れたものの、世界ランキングでは自己最高の21位。「迷わず行けよ」の言葉を胸に、パリ2024オリンピックでの金メダルに向けて突き進む。

篠塚大登

  • 生年月日:2003年12月23日(20歳)
  • 出身地:愛知県
  • オリンピック歴:オリンピック初代表
  • 世界ランキング:男子シングルス最高26位(2023年29週)
  • 種目:男子団体

張本智和と同じ2003年生まれの篠塚大登(ひろと)は、代表選考ランキングで3位となり、男子シングルスには届かなかったものの、団体戦のメンバーとして選出された。

子どもの頃から張本の存在の大きさを目の当たりにしてきたという篠塚は、左利きのオールラウンダーとして定評があり、国際大会では2022年にWTTフィーダー・フリーモント(アメリカ合衆国)、WTTコンテンデー・ノバゴリツァ(スロベニア)で2勝。世界ランキングを一気にかけあがったが、昨年は腰痛に悩まされるなど苦戦。一時は20位台だった世界ランキングも、年末には100位近くまで沈んだ。しかし、3枠目争いの相手となった17歳の松島輝空(そら)と全日本選手権で直接対決して篠塚が勝利したことなどが考慮され、代表の座を掴み取った。パリまでの期間にさらなる飛躍を誓う。

パリ2024オリンピック卓球日本代表メンバー

女子3選手

  • 早田ひな(はやた・ひな)…女子シングルス・女子団体・混合ダブルス
  • 平野美宇(ひらの・みう)…女子シングルス・女子団体
  • 張本美和(はりもと・みわ)…女子団体

男子3人選手

  • 張本智和(はりもと・ともかず)…男子シングルス・男子団体・混合ダブルス
  • 戸上隼輔(とがみ・しゅんすけ)…男子シングルス・男子団体
  • 篠塚大登(しのづか・ひろと)…男子団体