張本美和「オリンピックは夢の舞台」

執筆者 Olympics.com
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写真: ITTF&WTT

7月26日金曜に開会式が予定されているパリ2024オリンピックに向け、卓球界でもその準備が着々と進んでいる。15歳の張本美和は、「夢の舞台」に向けてさらなる飛躍を誓う。

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パリ2024オリンピック卓球シングルス日本代表選考レースの最初の大会が開かれた2022年3月。当時14歳だった張本美和は、将来の活躍が期待されるホープとしてすでに存在感を放っていた。

男子エースの張本智和の妹・美和は前年の世界ユース選手権U15の部で4冠を達成。パリ2024オリンピック代表選考の舞台に立っていた。

あれから2年、シニアの世界でも目を見張る活躍を見せ、選考レースを4位で終えた張本は、シングルス代表の早田ひな平野美宇(みう)に続き、「3人目」の日本代表候補予定メンバーに選出された。

2月5日に行われた代表候補予定選手発表当日の記者会見で、「選考会が始まった当初は、選んでいただけるとはまったく思っていなかった」と語った張本は、「最初は10位とか下の順位から始まり、最後は4位まで上がることができて、自分自身本当に成長できたというふうに実感しています」と率直な思いを語った。

張本美和、急成長した2023年

早田ひな、平野美宇、伊藤美誠(みま)といった2000年生まれの卓球・黄金世代。パリ2024日本代表選考でも話題の中心となった彼女たちから8年遅い2008年6月に生まれた張本美和は、国内選考レースが始まった2022年にシニアの国際大会に本格参戦するようになった。同年8月にチュニジアで行われたWTTコンテンダー・チュニスでは、兄・智和とペアを組み混合ダブルスで優勝、女子ダブルスでも長﨑美柚(みゆう)とのペアで3位に輝いた。

2023年に入ると3月のWTTスターコンテンダー・ゴア(インド)を皮切りに、数々の大会で決勝のステージに立ち、着実に経験を重ねてきた。9月に強豪国・中華人民共和国の杭州で行われたアジア競技大会では、地元ファンが見守る中、世界選手権で2度の優勝を誇るスン・インシャ(孫穎莎)&ワン・マンユ(王曼昱)を相手にゲームカウント3-1で勝利をおさめた

一時は世界ランキング女子シングルスで自己最高13位にまで上昇。世界ランキング上位16人が出場して行われる年間王者決定戦「WTTファイナルズ」では同1位のスンをフルセットまで追い詰める戦いを見せた。その姿に日本卓球界の頼もしい未来への期待に胸を膨らませる人も多かっただろう。

張本の成長は国内戦でも際立っていた。国内選考レースも終盤に差し掛かった2023年11月の全農CUP大阪大会で、張本はエース早田を破って優勝。続く最終戦では早田に軍配が上がったものの、15歳の張本は決勝にまで上り詰めたのだった。

中華人民共和国代表ペアを破った張本美和(左)&木原美悠ペア=2023年9月30日、アジア競技大会・杭州

張本美和「胸を張って戦えるように」

張本は自分の成長を実感しながらも、さらなる飛躍に向けた貪欲な姿勢が緩むことはない。

同記者会見の場で「(自分は)誰と戦っても絶対に勝てるというのを持っていない」と自己分析した張本は、「試合や練習をもっともっと頑張れば、パリオリンピックでもどんな状況、どんな場面になったとしても、自分自身しっかり乗り越えていけると思うので、たくさん試合をして課題を見つけて克服できたらいいなと思います」と前を向く。

世界と戦っていく上で「トップの選手たちのプレーを見て、自分に足りないものはどこかというのを見つめ直すことも大切」。「自分にもいいところはもちろんありますし、足りないところもまだまだたくさんあるので、そこをしっかり自分で分析して、改善していければ世界のトップの選手にも通用するものはある」。その口ぶりには、張本の芯の強さが垣間見える。

「オリンピックは自分にとって夢の舞台ですし、自分の夢そのもの」。こう語る張本は「パリオリンピックの舞台に立つときはしっかり胸を張って戦えるように、これから毎日1日1日自分を成長させて、パリオリンピックという舞台で自分のプレーをしっかり発揮して、平野選手、早田選手と一緒にメダルを目指して頑張りたいです」と胸を張った。

張本美和、シニア国際大会での主な成績

2022年以降のシニア国際大会での主な成績(表彰台)をまとめた。2024年2月現在。

2022年

  • 8月 WTTコンテンダー・チュニス(チュニジア) …女子シングルス2位、混合ダブルス優勝(ペア:張本智和、女子ダブルス3位(ペア:長﨑美柚)
  • 11月 WTT フィーダー デュッセルドルフⅢ(ドイツ) …女子シングルス3位

2023年

  • 3月 WTTスターコンテンダー・ゴア(インド)…女子シングルス3位、女子ダブルス優勝(ペア:長﨑美柚)、混合ダブルス準優勝(ペア:戸上隼輔)
  • 4月 WTTフィーダー・アンタルヤ(トルコ)…女子シングルス優勝、女子ダブルス優勝(ペア:安藤みなみ)
  • 4月 WTTスターコンテンダー・バンコク(タイ)…混合ダブルス3位(ペア:戸上隼輔)
  • 6月 WTTコンテンダー・チュニス(チュニジア)…女子シングルス優勝、女子ダブルス準優勝(ペア:木原美悠)
  • 8月 WTTコンテンダー・リマ(ペルー)…女子シングルス3位
  • 9月 アジア競技大会…女子ダブルス3位(ペア:木原美悠)、女子団体2位(メンバー:早田ひな、平野美宇、張本美和)
  • 10月 WTTコンテンダー・アンタルヤ(トルコ)…女子シングルス3位
  • 10月 WTTコンテンダー・マスカット(オマーン)…女子シングルス3位、混合ダブルス準優勝(ペア:松島輝空)