練習あるのみ:五輪史上初の空手優勝候補、喜友名諒
空手の発祥地沖縄出身にして、世界王者に3度輝いた日本のスターは、東京2020の空手男子の優勝候補筆頭。
東京2020オリンピックにおいて、日本には柔道の大野将平、バドミントンの桃田賢斗ら金メダル候補が揃っている。
その中でも、喜友名諒は最有力候補かもしれない。
今大会でオリンピックデビューを果たす空手で、近年圧倒的な成績を残している喜友名は、空手男子の形で金メダル最有力候補に挙げられている。
30歳の喜友名は、2019年に出場した国内外の大会すべてで優勝した。
プレミアリーグの5大会(パリ、ドバイ、ラバト、上海、東京)を総なめにし、アジア選手権でも4連覇を達成。そして2019年を全日本選手権8連覇で締めくくった。
もし新型コロナウイルスによる影響がなかったら、喜友名は昨年の6月に世界空手道選手権大会で4連覇を達成していたに違いない。
彼の成功の源にあるのは、日々欠かすことのない練習にある。喜友名は、中学生の時に師に当たる佐久本嗣男氏に、毎日の練習を約束した。
365日、休みはありません」と、喜友名は言う。
Olympic.orgにも「技術的な練習は毎日5、6時間、それを1週間ずっとやっています。それからフィジカル的な練習も、1日に1時間から2時間、やはり1週間やっています」と話している。
ポジティブ思考
レジェンド級の努力を続ける喜友名でさえ、世界が一変したパンデミックには動揺した。
オリンピックが2021年に開催が延期されると発表されてから1ヶ月が経った昨年4月に受けた東京スポーツとのインタビューで、彼は、昨年の3月24日の発表に心を乱したと語った。
「空手がオリンピック種目になると決まった4年前から、目標を2020年夏に設定して、プレミアリーグに臨んできました」
「がっかりしなかったとは言いません」
固い決意を持つ喜友名は、すぐに気持ちをポジティブに切り替えた。
コロナの影響により、2020年のスポーツ大会の大半が実施されなかったとはいえ、喜友名は成功を収めてきた日々に得られなかった休養を手にできた。
「大会中止ではなく、延期に決まって安心しました。まだオリンピックに出場するチャンスがあるということですからね」
「私の年齢、空手という競技の特性を考えれば、来年までに成長して、今の自分よりさらにレベルアップが可能と考えています」
「来年に向けて気持ち切り替えて、身体を整える」
「この2年は競技に専念してきましたから、適切なオフシーズン期間を取れていませんでした。ですが、今は休みを取ることができたので、自分の技術を見つめ直しています。これは本当に価値のある時間です」
すでに頭一つ抜け出ている喜友名との勝負でアップセットを狙うのは、イタリアのマッティア・ブサト、ベネズエラのアントニオ・ディアス、スペインのダミアン・クインテロ、トルコのアリ・ソフォーグルらで、優勝候補とともにオリンピック初の空手に出場する。
できる限りの努力
5歳から空手を始めた喜友名は、完璧な演武を追い求めるため、一切の妥協を許さない。
琉球舞踊をプログラムに取り入れ、形では見た目も重視されることからライオンや虎の目の動きも研究している。
もし喜友名がワールドゲームズ優勝に加えて、沖縄出身として初のオリンピック金メダルを獲得できれば、空手の発祥地である地元にとっても大変意味のある結果になる。
喜友名自身も、歴史に名を残したいと公言している。
「五輪で優勝すれば、空手初の金メダルになる」と、彼は今年の1月にリポーターに語った。
「空手の長い歴史に自分の名前を刻んで、新たな歴史をつくりたい」