フィギュア・ジュニアグランプリファイナル2022:島田麻央、ルーカス・ブルサードなど注目の5選手を紹介

2024年1月に行われる江原道ユースオリンピックまであと1年。フィギュアスケート界でこれから注目すべき選手は誰なのか? Olympics.comではジュニアグランプリファイナルに合わせ、5人の若手選手を紹介する。

1 執筆者 Olympics.com
Shimada Mao (JPN)
(ISU (2022) - courtesy of International Skating Union (ISU))

フィギュアスケート界は、次期冬季オリンピックのミラノ・コルティナ2026に向けた新たな4年が始まったが、およそ1年後には大韓民国の江原道でユースオリンピックが予定され、未来のフィギュア界を担う若手選手が輝く舞台となる。

今週末(12月8日~10日)には、ジュニアのトップスケーターたちが、シニアのグランプリファイナルと同時に開催されるジュニアグランプリファイナルでトップの座を競い合う。会場となるのはイタリア・トリノのパラベラ。

今シーズンはシングルス王者のイリア・マリニンイザボー・レヴィトなど、多くの若手選手がシニアに移行。また、ロシアは国際スケート連盟(ISU)から参加を許されておらず、同国のトップスケーターは国際大会に出場していない。

これからの活躍が期待される選手は誰なのか? 数多くの選手が挙げられるがここではその一部を紹介しよう!

ルーカス・ブルサード 16歳(アメリカ合衆国)

マリニンがシニアに移行したが、アメリカ合衆国にはルーカス・ブルサードがいる。ルクセンブルクで生まれアメリカ合衆国の代表選手として活躍するブルサードは、シアトルをホームタウンとしており、ポーランドとイタリアでのジュニアグランプリシリーズで優勝し、今季の男子シングルスで唯一2勝を挙げた選手だ。

背中の負傷により、前回の世界ジュニア選手権を欠場したが、今シーズン彼は優れたパフォーマンスを見せている。トリノでは技術的な難易度を上げる考えで、「4回転トウループをプログラムに入れられるかどうかを見極めるつもり」と、シーズン2勝目を挙げた第7戦のイタリア大会後に語った。

ダリン・ホウジャーコリー・マーティンに師事するブルサードは、今シーズン、ジュニアグランプリ以外の主要舞台ではまだ滑っていない。そんな彼がどんな滑りを見せるのかは興味深い。

アメリカ合衆国の選手としてはもうひとり、18歳のロバート・ヤンポルスキーも、ジュニアグランプリファイナルに出場する。

中村俊介 17歳(日本)

今季2勝に近かった選手が中村俊介。10月のイタリア・エーニャのウルトアリーナで行われた第7戦で、中村は0.13点差でブルサードに敗れ、2位となった。

17歳の中村はフィギュアスケートが盛んな日本のジュニアランキングをゆっくりと上昇し、今年の全日本フィギュアスケートジュニア選手権では、5度目の出場で4位に終わった。中村は、濱田美栄コーチや佐藤洸彬コーチから指導を仰ぎ、振付師のキャシー・リードトム・ディクソンといった著名な人物が振り付けを担当する。

日本からは中村のほか、片伊勢武アミン吉岡希がトリノのリンクに立つ。わずか1年前にジュニアで活躍した三浦佳生は、マリンや他のシニアスケーターと同様、シニアのグランプリファイナルに登場する。

島田麻央 14歳(日本)

今シーズン、島田麻央が叩き出した217.68点というスコアはジュニア最高得点というだけでなく、シニア女子を含めて今季トップのスコアだ。

14歳の島田は、4回転トウループやトリプルアクセルなどのビッグジャンプをルーティーンに組み込み、ここ数年、注目を集めてきた。また、彼女の名前「まお」はフィギュア界では非常に有名な名前だ。オリンピックメダリストであり、世界選手権も制した浅田真央さんのファンだった母親が、娘に「まお」の名前を与えたのである。

全日本ジュニアでは2連覇中で、今月末にはシニアの全日本フィギュア選手権でデビューする予定で、世界女王の坂本花織との戦いに挑むことになる。

島田は今シーズン、チェコとポーランドで行われたグランプリシリーズで優勝し、2勝をあげた。

吉田陽菜 17歳(日本)

吉田陽菜は島田と同様、今シーズンのグランプリシリーズで2勝をあげた。中井亜美と合わせてジュニアグランプリファイナル出場女子6人のうち半分を日本勢が占めることになった(残り半分は大韓民国の3選手)。

吉田は、ジャンプのレパートリーの中でもトリプルアクセルを武器に持ち、2020年と2021年の全日本ジュニア選手権ではそれぞれ3位、2位の成績で表彰台に立った。前出の中村俊介とコーチングチームを共有し、ローリー・ニコルが振り付けを手掛ける。

日本選手3人目の中井亜美も負けじとジャンプのレパートリーにトリプルアクセルを入れて、トリノの舞台に立つ。

シン・ジア 14歳(大韓民国)

島田と吉田(そして中村)が日本フィギュアスケートの潜在能力を国際舞台で示す存在とすれば、シン・ジアは大韓民国から押し寄せる若いスケーターの新しい波の一部であるといえるだろう。彼女はトップレベルにのぼりつつある。

世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得した14歳のシンは、2022年の世界ジュニア選手権の男女シングルスのメダリストの中で唯一、ジュニアにとどまった選手である。

同じく大韓民国出身のキム・チェヨンクォン・ミンソルもジュニアグランプリファイナルに出場する予定で、女子シングルスは日本勢と大韓民国勢が等しくファイナル進出を果たしている。

今季はブノワ・リショーがフリースケートの振り付けを担当したのに対し、シンはショートプログラムを自分自身で担当。過去のシーズンでは両プログラムを自分で振り付けしている。彼女は2021年の国内のジュニア選手権を制し、2022年はシニアの国内選手権でキム・イェリムユ・ヨンといったトップスケーターらと戦い、4位に入賞した。

上の写真で、バンクーバー2010の金メダリストのキム・ユナさんと一緒に写っているのがシンだ。

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