国際女性デー2022: 北京2022パラリンピアンのシニ・ピー、2つの側面からサステナビリティーのあり方に変化を
フィンランドの雪道からIPCの女性スポーツ委員会まで、シニ・ピーは持続可能性と女性の障がい者のための道を切り拓く活動に従事している。
北京2022パラノルディックスキーヤー、**シニ・ピー**は、変革のための提唱を決して止めない。
29歳のフィンランド人はパラアスリートとしての立場を活用し、より良い、より平等な世界を追求するために障がい者の権利、男女平等、気候変動などの問題に光を当てる。
今年の**国際女性デー(IWD)**のテーマ「持続可能な明日のための今日の男女平等」に沿って、すべての人にとってより持続可能な未来を確保するため、気候変動問題に取り組む注目のアスリートを紹介する。
フィンランド北部の町ロヴァニエミで育ったピーの家の窓から外に目をやると、10月以降はいつもウィンターワンダーランドが広がっていた。
パラリンピックに3度出場しているピーは、幼い頃、歩けるようになったくらいからスキーに親しんだ。交通事故で脊髄を損傷した後、たとえ楽しみ方が変わったとしても、彼女のアウトドアへの愛情は決して衰えることはなかった。
「父親と一緒に狩りをしたり、スキーに行ったりして、基本的にいつも外で生活しながら育つと、それが自分の一部になって、必要なものになるんです」と、彼女はParalympic.orgのインタビューで語っている。
「私はずっとスキーをやってきました。外に出るのが大好きで、車いす生活になってからはそれができなくなりました。車いすでは外に出るのが難しく、特に自然の中に出るのが難しいのですが、初めてシットスキーを手にしたとき、それがまた可能になったことに気づきました」
2012年にパラノルディックスキーを始めると、周囲の環境と再びつながることができるようになった。幼い頃に親しんだ雪の森に戻った喜びは、すぐにスポーツの成績に反映されていった。
同年、フィンランド代表として国際大会デビューを果たし、2年後の**ソチ2014パラリンピック**に出場。
しかし、季節が進むにつれて、フィンランド出身の彼女は環境の変化に気づくこととなる。かつては雪がたくさん降っていた冬が、ほとんど降らなくなったのだ。ラップランド大学で政治学を専攻し、北極圏に住む人々の現実や、先住民にとっての環境の重要性に目を向けたとき、ピーは自分や、自分の住むコミュニティの人々が気候変動の現実を生きていることを理解した。
「雪の少ない冬が続き、今年は12月までまともにスキーができませんでした」と、ピーはParalympic.orgに語る。
「スキーコースがオープンしましたが、天然の雪が降り始めた時期は遅くて、それに驚いています。子供の頃を思い出すと、冬はとても長かったですからね。こうした変化を目にしてきました。南部の方の変化はより劇的です」
パラアスリートとして世界中を転戦するピーは、自分のライフスタイルが気候変動にどのような影響を及ぼしているのかに疑問を持った。
「冬季競技のアスリートにとって、気候変動は切実な問題です。雪が降らなければ、レースは中止か延期になります」と、彼女はLapland Student Magazineに話す。
「しかし、環境に配慮しながらスポーツをする方法はあります」
「衣類は長く使うことができ、リサイクルも可能です」とピーは説明する。「新しいそりの製造にリサイクル素材を使用することも検討しました。可能な限り電車で移動し、テクノロジーを活用するようにしています。例えば、最近のミーティングのほとんどは、Skypeを使って便利に行われています」。
ピーは、アウトドア気候変動対策チャリティ団体の「プロテクト・アワ・ウィンターズ(Protect Our Winters/POW)」に参加し、気候変動対策にさらに力を注いでいる。この団体は、気候変動に対するシステムソリューションを実現するため、人々が効果的な気候変動擁護者となることを支援している。
アンバサダーとしてこのチャリティーに参加しているピーは、パラリンピックのプラットフォームとPOWの活動を組み合わせることで、私たちの世界が直面している最も差し迫った問題のひとつについて、人々の理解が深まるよう働きかけている。
そして、すでに彼女の声は届き始めている。
P&G、IPC、国際オリンピック委員会の共同イニシアチブである「Athlete for Good」プログラムとして、北京2022に出場するアスリートから5人が表彰され、ピーはそのひとりに選ばれた。
シットスキーヤーの彼女には40万米ドルが贈られる予定で、それはPOWの教育プログラム発展のために使われる。
持続可能な世界の実現に向けたピーの闘いは、パラスキー選手がこれまで行ってきた擁護活動の多くと結びついている。
また、気候変動キャンペーンに加え、障がい者の権利、特に女性の権利の促進にも大きく関わっている。
平昌2018では、ピーはファン・ヨンデ功績賞を受賞した2人のアスリートのうちのひとりだった。この賞は、男女を問わず、大会の精神とパラリンピックの価値観を最もよく表しているアスリートに与えられる。
フィンランド国内パラリンピック委員会における初の選手会設立に貢献したことが評価され、受賞に至った。ピーの功績により、男女を問わずフィンランドのパラアスリートは、パラリンピックムーブメントに声を届け、その未来を形作ることが可能になった。
ピーは、アスリート委員会の委員であると同時に、IPCのスポーツにおける女性委員会のメンバーでもある。同委員会は、パラリンピック競技における女性の参加率が低いという懸念のもと、パラリンピックスポーツにおける男女平等の問題についてIPCに助言を与えるために設立された。
ピーを含む6人の選出されたメンバーが年に一度集まり、女性パラアスリートにとって参入障壁となる問題から、参加者全体を増やすための政策や取り組みなど、ジェンダーに関する様々な問題について議論している。
彼女はトレーニングや競技の合間に彼女は多忙な日々を送っているが、本人が望んでいることでもある。
「女性障がい者のための機会に関する理解度を高める活動は、私にとって重要なことです」と、彼女はLapland Student Magazineに語っている。「私にとってのスポーツは、変化をもたらし、私の声を届けることができる方法なのです」。