10月のスケートアメリカから始まった今季のフィギュアスケート・グランプリ(GP)シリーズ。6戦を終えて出そろったトップ6選手・ペアによるGPファイナルが12月5日〜8日の日程でフランス・グラノーブルで始まる。
男子シングル、女子シングル、ペア、アイスダンスが行われ、女子シングルでは6枠のうち日本人スケーターが5枠を占める。その史上初の出来事に、日本人選手が表彰台に立つのかではなく、誰が立つのか、そして日本勢の表彰台独占となるのかが注目される。
出場資格を得たのは、世界選手権3連覇中の坂本花織、グランプリ2勝のアンバー・グレン(アメリカ合衆国)、北京オリンピック4位の樋口新葉、前回3位の吉田陽菜(はな)、そして日本勢でファイナル初出場となる19歳の千葉百音(ちば・もね)、20歳の松生理乃(まついけ・りの)。
カナダ大会そしてフィンランド大会で準優勝を飾った松生は、公式練習後の取材陣の質問に応え、「気持ちをしっかりリラックスさせて、自分が頑張ってきたご褒美だっていうイメージで演技できたらいいのかな」と語った。
松生理乃、アンバー・グレイは「ダイナミックだけど綺麗だし力強さもすごくある」
バンクーバー2010冬季オリンピックで銀メダルに輝いた浅田真央さんに憧れてフィギュアスケートに励んできた松生。昨シーズンのカナダ大会で初めてGPシリーズの表彰台に立ち、シニア5季目となる今シーズンのGPシリーズ2戦で準優勝を2度経験。GPシリーズ最終戦となった11月末の中華人民共和国大会の結果を受けて、待望のファイナル初出場を決めた。
ファイナルに出られると思っていなかったという松生は、「(中国大会が行われている最中に)練習してて、ちょうど終わった時間ぐらいにその結果が出て、(ジュニアの和田)薫子ちゃんが携帯を持ってきて、『一緒に行ける!』って言ってくれて、そこで知った」と、数週間前の興奮を振り返る。
「全然イメージしてなかったので、そこから時間もないし、体の準備も心の準備もすごいバタバタではあったんですけど、無事にここまで来ることができて嬉しいです」
今大会に向けては自身の強みでもあるスケーティングそしてショートの調整に時間をあててきたと松生は続ける。
「どの試合でもスケーティングを褒めていただくことが多いので、そこが自分の今強みになってるのかなって思うので、そこをもっと伸ばせるようにっていうのはもちろん練習してきたんですけど、グランプリ2戦ともショートでちょっとミスが出てしまっているので、それを今回はノーミスできるようにって思って、ショートもしっかり練習してきました」と胸を張る。
同日の公式練習で周囲の選手に圧倒されたと話す松生は、ファイナルの舞台に立つ選手の中でも特にアメリカ合衆国のアンバー・グレンの滑りに注目したという。
「どの選手も調子も良さそうですごいなって思って見てたんですけど、アンバー選手は一緒に滑るのが初めてだったので、特に結構見ちゃって。ジャンプとかもすごくダイナミックだけど綺麗だし力強さもすごくあって、自分とはタイプの違う選手なので、すごく圧倒されながら滑ってました」と続ける。
松生、そしてグレン、さらに日本選手4人が出場するファイナルの女子シングルは、5日(日本時間翌5:05)にショートプログラムが行われた後、7日(日本時間21:30)にフリースケーティングが予定されている。
「グランプリ(シリーズ)のときは、ファイナルをすごく意識していたわけではないんですけど、やっぱりその次がある試合なので、思うところも結構あったんですけど、今回はもうこの先はないので、気持ちをしっかりリラックスさせて、自分が頑張ってきたご褒美だっていうイメージで演技できたらいいのかなって思ってます」。