2024年5月6日に東京ドーム(東京都文京区)にて、プロボクシングの世界主要4団体となる世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)、国際ボクシング連盟(IBF)、世界ボクシング機構(WBO)の世界スーパーバンタム級タイトルマッチが行われ、 “モンスター” こと井上尚弥が、挑戦者であるルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKO(テクニカルノックアウト)で破り、日本人初となる4団体統一王者としての防衛に成功した。
東京ドームでのボクシングイベントの開催は、1990年以来34年ぶりのことで、会場は40,000人以上の観客によるフルハウスのなか行われた。
第1ラウンド、積極的に攻めてくるネリが、様子をうかがっていた井上へ距離を詰めた瞬間にフックを決める。井上はその場に倒れてダウン。井上が少し驚いた様子の表情を見せるなど、予想外の展開に会場がどよめく。立ち上がった井上へ一気に攻め入るネリに対し、終盤に笑顔の余裕も見せた井上は、つづく第2ラウンドで左フックを決めて、すぐさまダウンを奪い返す強さで応戦する。
その後のラウンドでも優勢に試合を運ぶ井上は、フェイントプレーからストレートやボディを決めるなど、ネリを翻弄。一方のネリも、不敵な笑みを浮かべながら井上の攻撃を凌ぎ、接近戦で仕掛ける。
第6ラウンドに入ると、積極的に近づいてくるネリに対し、ボディで攻める井上はネリをリング際に追い詰める。一瞬の隙を見極めた井上が、ネリの顔面にストレートを決めて再びダウンを奪う。ネリは苦しそうな表情でマウスピースを外し、立ち上がれない様子を見せる。そして次の瞬間、井上のTKO勝利を知らせるゴングが鳴り響き、会場のボルテージが一気に上がった。この結果、井上は日本人としては初となる4団体統一王者としての防衛に成功した。
TKO勝利を果たした井上の、試合終了直後のインタビュー内でのコメントは、以下の通り。
「みなさん、こんなにも多くお集まりいただきありがとうございました。ここ東京ドームで34年ぶりの日本人のメインイベント。自分自身すごくプレッシャーがあったんですけど、こうしてみなさんの力が僕のパワーになりました。本当にありがとうございました」
「(ネリを)倒した瞬間というのは、いつになく最高の気持ちですけど…みなさん、1ラウンド目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか(笑)」
「最高の試合をしていきたいと思いますので、今後とも期待してください」
そして、インタビューの最後には、井上からサプライズも。
2024年9月ごろに、現在WBO、IBFスーパーバンダム級1位のサム・グッドマン(オーストラリア)との対戦実現に向けて交渉していくことを発表し、ネリとの試合観戦で来日していたグッドマン本人とリング上で握手を交わすなど、激闘を終えたばかりとは思えないファンサービスで、ドームに溢れる大きな歓声に応じた。
このほか、このボクシングイベントでは、尚弥の弟である井上拓真がWBA世界バンタム級タイトルマッチで石田匠と対戦し、フルラウンドの末に判定(3−0)勝利して、2度目の防衛に成功している。また、世界戦デビューとなったバンダム級の武居由樹が、WBO王者のジェイソン・マロニー(オーストラリア)を同じくフルラウンドの戦い後の判定(3−0)の末、世界チャンピオンに輝いている。