”モンスター”のニックネームで、世界中から注目を集めるプロボクサー・井上尚弥が、またしても歴史を塗り替えた!
12月26日に有明アリーナ(東京都江東区)で行われた「NTTドコモ Presents WBA・WBC・IBF・WBO世界スーパーバンタム級王座統一戦」において、WBC・WBOチャンピオンの井上は、WBA・IBFの王者であるマーロン・タパレス(フィリピン)と対戦し、10回ノックアウト(KO)で勝利を収め、史上2人目となる2階級での4団体統一に成功した。
(参考)
- WBC…世界ボクシング評議会
- WBO…世界ボクシング機構
- WBA…世界ボクシング協会
- IBF…国際ボクシング連盟
熱気ムンムンのフルハウスの会場で、この日のメインマッチのゴングが鳴り響く。
井上は序盤からアグレッシブに攻撃するも、タパレスの固いガードに阻まれる。しかし、4Rでロープ際にタパレスを追い詰めた機会を逃さず、井上が連打を浴びせると、この試合で初めてダウンを奪う。一方のタパレスも、試合中盤にアッパーを打ち込むなど、井上をリング際に追い込む場面も見せるが、パンチを止めない井上がゲームの主導権を握っていたのは明らかだった。
そして、10R。井上がリング中央からワンツーでタパレスをロープ際まで追い込み、さらに威力のある右ストレートを放つと、タパレスが2度目のダウンとなる。”ナイトメア(=悪夢)” と呼ばれるタパレスは、膝をついたまま立ち上がることができず、ここでKOの判断となり試合終了。井上の勝利が決まった。
井上は、2022年12月にバンタム級で日本人かつアジア人として、初めて4団体統一に成功している。
年が明けたばかりの2023年1月には、獲得したすべてのベルトを返上するとともに、スーパーバンタム級への階級変更を発表した。1度の開催延期を経て、7月には当時WBC・WBOの統一王者だったスティーブン・フルトン(アメリカ合衆国)を破り、井上は井岡一翔に次いで日本人としては2人目となる4階級制覇を達成した。
そして、今試合の勝利をもって、スーパーライト級およびウエルター級の4団体統一に成功しているテレンス・クロフォード(アメリカ)に次いで井上は、史上2人目となる2階級での4団体制覇という金字塔を、わずか1年足らずという短期間で打ち立てた。
英連邦などの諸国では、スポーツのボクシングとは全く関係のない「ボクシング・デー」という休日の26日、井上はまたしても歴史を塗り替え、その快挙を海外メディアも大きく取り上げている。
試合後のインタビューで、井上は自身の適正階級がスーパーバンタム級であることを認め、2024年以降も同階級での活動を継続することを宣言し、「もっと強い姿を見せられるように精進したい」、「みなさんが喜ぶ試合を実現していきたい」と、さらなる飛躍をファンの前で誓った。