【体操】天皇杯・第76回全日本個人総合選手権:男子は橋本大輝が盤石の演技で連覇達成、女子は9年ぶりの高校生女王が誕生

文: マンティー・チダ
写真: Getty Images

体操天皇杯 第76回全日本体操個人総合選手権は4月23日に女子決勝、24日に男子決勝を行った。男子はTokyo2020個人総合金メダルの橋本大輝が昨年大会に続き連覇。女子は笠原有彩が制して9年ぶりの高校生女王誕生となった。

■橋本大輝が鉄棒で圧巻の演技、大技リューキン成功

男子は予選を1位通過した橋本大輝が、2日間合計で2位以下に3点近く離す圧勝で大会連覇を飾った。

特に決勝の演技では、4種目目の跳馬から一気にエンジン全開。高難度のロペスを鮮やかに決め、14.966を叩き出して2位以下を突き放すと、予選では失敗していた平行棒も14.733で乗り切り、最終種目の鉄棒では序盤に大技、F難度のリューキンが成功。続けてカッシーナ、コールマン、トカチェフと手放し技を全て決めると、着地も完璧に止めて15.433と高得点をマークして連覇を達成した。

「リューキンが成功したのはすごくうれしかった」と橋本は喜び、「半年前から力を入れてきた」という着地も最後の鉄棒でピタリと止めて「やっと鉄棒で着地が止まった」と安堵する。

いまから半年前と言えば、Tokyo2020後の2021年10月に行われたFIG(国際体操連盟)世界選手権。橋本は個人総合で6種目合計87.964点を獲得したが、優勝した張博恒(チャン・ボヘン/中華人民共和国)にわずか0.017点及ばず2位。橋本は「着地1本の差で敗れた」と着地に課題を持って取り組んでいた。

世界選手権金メダルを逃した悔しさから「どんなに小さな一歩でも、どんなに難度の低い技でも、着地を絶対に止めていいイメージを作る」ことを橋本は肝に銘じていた。「平行棒は惜しくも止まりませんでしたが、最後の鉄棒では疲れ切ったところでやり切れた」と自身の成長を認める。

そして、橋本はあらためて「6種目全体の安定感」を課題に挙げる。特にあん馬は、予選、決勝を通してミスもあって点数が伸びなかった。「あん馬は安定感がないので修正したい」とした橋本。あん馬の精度が上がってくれば盤石だろう。

■安定した演技の神本雄介、Eスコアが持ち味の土井陵輔がともに初の表彰台

27歳の神本雄介と、「まさか3位に入れるとは」と発言した土井陵輔が、ともに初めて個人総合の表彰台へ立った。

神本はつり輪、平行棒、鉄棒で高得点を獲得。2日間通してもミスなく演技をやり切った。「シンプルにミスを出さない、着地を止める」ことにこだわって、Eスコアを伸ばすことに成功。水鳥寿思男子体操強化本部長も「2日間通して一番安定した演技ができていた。今年はなくてはならない存在になるのかも」と神本のさらなる成長に期待した。

土井は決勝の6種目全てで、Eスコア8.5点以上を叩き出していた。「ジュニアの頃から基礎練習を徹底していた」と話す土井は、自分の演技へ集中することに専念し、第1回世界ジュニア体操競技選手権大会で、ともに団体の優勝メンバーとなった北園丈琉や岡慎之助を上回る3位でフィニッシュ。「これからはメンタル強化が課題」と口にした土井は、NHK杯でもしっかり自分の演技をやり切りたい。

■女子は笠原有彩が9年ぶりの高校生女王も得点面で不安を残す

女子は高校3年生の笠原有彩が、安定した演技を見せて初優勝を成し遂げた。Tokyo2020日本代表で今大会の決勝に勝ち残ってきたのが、種目別平均台で出場した芦川うららのみで、総合力では分がある笠原らが初優勝を懸けて臨んだ個人総合だった。

平均台では優勝を争っていた宮田笙子と、予選1位通過の山田千遥がともにミス。ここでミスなく演技を終えた笠原がトップに立つと、ゆかでは着地で踏ん張って後続を振り切った。

「ゆかはもともとあまり得意ではないので、取りあえず最後までミスなく乗り切ろうという気持ちでした。着地で危ないところがありましたけど、思っていたよりは点数が出たのでほっとした」と笠原は心境を明かす。

田中光女子体操強化本部長も「トータルでミスがないという強さと、美しい体操が持ち味」と笠原を評価。「美しい体操の笠原とパワーや元気が持ち味の宮田といった個性がきっちりかみ合って、日本チームのカラーを示していければ」と高校3年生コンビを中心とした編成に期待を寄せた。

だが「世界と戦うためには54点をコンスタントに出していかないといけない」と田中強化本部長は得点面で課題を提示。優勝した笠原が今大会2日間平均で獲得したのが53.115。田中強化本部長の計算では、あと1点をどこかで稼がなければならない。世代交代をしながら強化を進める日本女子体操、今後のレベルアップが待たれる。

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