3日間で3種目。総合馬術は人馬ともに体力と精神力が求められる過酷な競技
馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術で勝敗を決める
「総合馬術」は「馬術のトライアスロン」の異名を持つ。馬場馬術、クロスカントリー、障害馬術という様相の異なる3種目を3日間でこなす、タフな精神力と体力が求められる過酷な競技だ。最大の見どころは2日目のクロスカントリー。猛スピードで疾走する様は圧巻だ。
3種目をこなす「馬術のトライアスロン」
20メートル×60メートルのアリーナ内で、馬をいかに美しく、正確に演技させることができるかを競う「馬場馬術」。競技アリーナ内に設置されたさまざまな障害物を、順番どおりに乗り越えていく「障害馬術」。単独でも行われるこれらの2種目に、自然のなかにつくられた起伏に富むコースを疾走し、丸太や竹柵、生け垣といった障害物や水濠などをクリアしていく「クロスカントリー」。これら3種目で競われるのが「総合馬術」だ。
同一の人馬で3種目をこなさなければならないため「馬術のトライアスロン」とも呼ばれている。それだけ過酷な競技であり、欧州では高い人気を誇る。
総合馬術は3日間かけて行われ、初日に馬場馬術、2日目にクロスカントリー、3日目に障害馬術の順番となっている。異なる3種目を3日間で行わなければならないため、人馬ともに高い精神力と体力が必要になる。どの種目も減点法によって順位が決められ、3種目を終えた時点で減点数の最も少ない人馬が1位となる。
2020年の東京五輪では、馬場馬術と障害馬術は1964年の東京五輪でも使用された「馬事公苑」、クロスカントリーは東京都江東区青海3丁目に仮設される「海の森クロスカントリーコース」が主な会場となっている。
見せ場は迫力満点のクロスカントリー
総合馬術の最大の見せ場は、クロスカントリーだ。
コースの全長は約6キロにも及び、オリンピックのようなハイクラスの競技会の場合、障害物の数は40個から45個に至る。そのコースを、馬は分速570メートル、時速にして約34キロという速度で走り、制限時間内にゴールしなければならない。馬が障害物を乗り越えながら自然のなかをダイナミックに疾走していく姿は圧倒的な迫力を感じさせる。障害物を馬が拒否すると減点となり、タイミングが合わないと落馬や転倒の危険もある。落馬は失権の対象で、それ以降は走行を続けられないルールになっている。
クロスカントリーのコースは距離が短くて障害物の数が多いダイレクトルートと、障害物の数は少ないが距離が長く、時間がかかるロングルートが設定される。愛馬の特徴や状態を見ながら騎手がどちらのコースをセレクトするか、という部分も見どころの一つとなる。