【東京オリンピック出場枠争い】スケートボード:冬季五輪銀メダリスト・平野歩夢も参戦し、激化する代表争いは注目必至

ストリート部門での金メダル候補と目される堀米雄斗

東京五輪のスケートボード競技は2種目で競われる。ひとつは街中にある階段や手すり、縁石やベンチなどを模した直線的なセクションを配したコースで技を競う「ストリート」。もうひとつは皿や椀のような複雑な形をした窪地状のコースの「パーク」だ。

男女とも出場定員は計40人。その内訳は、参加資格枠38人、開催国枠2人となっている。各国・地域ごとの選手の定員は、男女とも種目ごとに最大3人。日本は男女のストリート、パークで1枠ずつの開催国枠(計4人)をすでに獲得している。出場権はまず、2019年9月にメキシコシティで開催予定の世界選手権で、各種目の上位3人に無条件で与えられる。残りは2019年1月から2020年5月末の国際大会までの成績をもとにした世界ランキングの上位者が得ることになっている。

大一番の世界選手権

これまでスケートボードに世界ランキングは存在しなかった。しかし、東京五輪で正式競技として採用されたことで、オリンピックのスケートボードを管轄するワールドスケートは、東京五輪に向けてランキング(オリンピック世界スケートボードランキング「OWSR」)を新設した。このOWSRは、世界選手権やワールドスケート認定大会での成績を数値化して合計したものだ。2020年東京五輪への出場権がかかった試合は以下の通り。

  1. 世界選手権大会(2019年9月、メキシコ・メキシコシティ)
    女ともこの大会の各種目で上位3位に入れば、東京五輪の出場権が無条件で与えられる。日本はすでに開催国枠が1人分確保されているので、この大会で2人が上位3位に食い込めば、その時点で五輪出場3枠が埋まることになる。

  2. ワールドスケート認定の各種大会
    1の世界選手権大会で選ばれた各種目3人と、日本(開催国枠)の1人を除く、残る16人(全64人)は、2019年1月から 2020 年 5月末の間のOWSRで上位者を選抜する。

その認定大会とは、

  • 世界選手権大会
  • プロツアー
  • 5スター大会
  • 大陸別選手権大会
  • 国内選手権大会

の5つだ。

正式に決まっているものは、まだ少ないが、プロツアーの「ストリートリーグスケートボーディング(SLS)」は第1戦が5月に英国のロンドンで行われた。第2戦は7月に米国のロサンゼルスで行われる予定だ。

ポイントは、大会ごとに総ポイント数の上限を設定したうえで、各選手の予選結果(上位 32 選手)と、決勝結果(上位 12 選手)の両方において、大会ごとの最終順位に基づいて付与される。2019シーズン(2019年1月1日~同年9月 15日)に獲得したポイント上位3つの合計と、2020シーズン(2019年9月16日~2020 年5月31日)に獲得した上位6つの合計が合算され、OWSR の最終順位が確定。同点の場合、2020シーズンの獲得ポイントの中で、次に高い獲得ポイントを比べて優劣をつける。

日本人選手の出場枠/開催国枠争いの状況、選考大会への出場権獲得状況

日本人選手は開催国枠として、OWSRで1位の選手が東京五輪に出場できる。2019年6月5日時点、日本ローラースポーツ連盟が日本代表候補となる強化指定選手・強化指定候補選手として選んでいるのは以下の選手たちだ。

〈男子・ストリート〉 堀米雄斗、白井空良、青木勇貴斗、池田大亮、山下京之助

〈男子・パーク〉 平野歩夢、永原悠路、笹岡建介

〈女子・ストリート〉 藤沢虹々可、中山楓奈、織田夢海

〈女子・パーク〉 西村碧莉、中村貴咲、開心那、四十住さくら、岡本碧優、小川希花

各種目でOWSR1位の選手が開催国枠で“イチ抜け”となり、残る2席を残りの選手で争うことになる

スケートボードは男女ともに、ストリートとパークの発祥地でもあるアメリカが、圧倒的な強さを誇っている。スペイン、フランス、ドイツ、スウェーデン、チェコなどのヨーロッパ、さらに、ブラジル、オーストラリアも力をつけている。ただ、選手の年齢層は10歳代後半から20歳代と、若くて実力のある選手が、次々と台頭してくることが予想され、また、初めてオリンピック競技に採用されることもあり、どこの国が出てきても、不思議ではない状況だ。

メダルを狙える若手が続々と台頭し、二刀流選手も登場

2017年5月、スペインのバルセロナで行われたSLSで、日本人初の3位となった堀米雄斗は、2018年にSLS3大会で3連続優勝。日本人選手の存在感を世界に見せつけたことから、東京五輪の金メダル候補の一角と目されている。だが、2019年5月のロンドンSLSではミスを連発し、9位敗退となった。そのため、危機感を募らせてもおり、国内での代表争いを含め、五輪本番までの再調整期間にある。

2019年1月、ブラジルのリオデジャネイロで開催された世界選手権兼2018年SLS最終戦で準決勝に残り、今季のSLS出場権を手にした池田大亮は、ストリートとパークの“二刀流”でW五輪出場を狙う。

さらに、スノーボード男子ハーフパイプで五輪2大会連続銀メダルの平野歩夢も、スケートボードでの五輪出場を目指し、冬季五輪との“二刀流”に挑戦。2019年5月の日本選手権のパーク部門に初出場で優勝し、強化指定選手候補になると、五輪予選対象となるデュー・ツアーでも準々決勝に進出。同じく二刀流で夏季五輪金メダルを狙うショーン・ホワイトとの対決に向けて、代表権獲得に近づいている。

一方の女子は、2014~2016年にアメリカの複数の大会で入賞経験のある中村貴咲が、パークで金メダルを目指す。2019年1月、ブラジルのリオデジャネイロで開催された世界選手権兼2018年SLS最終戦で優勝した西村碧莉も絶好調だ。

堀米、中村、西村のほか、同大会で好成績を挙げた池田大亮、織田夢海、伊佐風椰は、9月のメキシコシティでの世界選手権全戦で予選を免除され、準決勝からの出場となる。スノーボード銀メダリストの平野歩夢の“二刀流”挑戦など、近年、日本勢の活躍はめざましく、世界との差を着実に縮めているといえるだろう。

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