Tokyo2020(東京オリンピック)でメダル獲得が期待されている卓球女子団体日本代表。王者・中国をはじめ、日本のメダル獲得に向けて熾烈な戦いが予想されるライバル国を紹介する。
※本文中の、世界ランキングは、6月1日時点
◆大本命は中国、メダル争いはアジア中心の戦い
団体戦は16チームが出場してメダル獲得を争う。試合方式は第1試合がダブルス、第2~5試合がシングルスで、3試合を先取したチームが勝利となる。
日本は、世界ランキング3位の伊藤美誠、10位の石川佳純、12位の平野美宇の3名が代表。五輪は伊藤が2回目、石川が3回目、平野が初出場だ。チームの世界ランキングは2位で、決勝まで中国と当たらないドロー(組み合わせ)となる。
金メダル最有力候補はチームの世界ランキングは1位の中国。1988年ソウル五輪から女子種目(シングルス、ダブルス、団体戦)の金メダル16個のうち、15個を獲得しており、世界選手権では、1975年以降、団体戦の優勝を逃したのは2回のみと、男子以上に圧倒的な強さを誇っている。
代表選手も発表され、世界ランキング1位の陳夢(チェン・ムン)、2位の孫穎莎(スン・イーシャ)。そして、7位で現世界王者の劉詩文(リウ・シーウェン)が選ばれ。2019年ワールドカップ団体戦決勝の日本戦に出場した3名が代表となった。
盤石のメンバーだが、あえて懸念点を探すとすると、陳夢と孫穎莎はオリンピック初出場となる。加えて世界選手権の団体戦でも、主力として出場した経験はない。オリンピックという特別な舞台で、プレッシャーをコントロールして実力を発揮できるか。また、唯一オリンピック出場経験のある劉詩文は30歳。全盛期の圧倒的なスピードを誇る卓球を今大会でも見せることができるか。
◆日本と対戦が予想されるその他の強豪チーム
日本女子は、決勝で中国に勝利して金メダルを獲得することが最大の目標だが、メダル獲得に向けてライバルは多い。
【ドイツ】
2016年リオ五輪団体戦では、準決勝で日本に勝利し銀メダル。リオ五輪からメンバーは変わっていないが、エースのハン・インは粘り強く、日本のTリーグでも活躍している。ペトリッサ・ゾルヤ/シャン・シャオナのダブルスも強く、準決勝で日本と対戦する可能性は大いにある。
【香港】
2018年世界選手権団体ベスト4。エースで世界ランキング15位の杜凱栞は、日本選手とも対等に戦える実力を持っている。世界ランキング29位の蘇慧音(スー・ワイヤムミニー)は、2018年世界選手権団体準決勝で、リオ五輪金メダルの丁寧(ディン・ニン/中国)に3-0のストレート勝ちを収めており、爆発力のある選手だ。
【チャイニーズタイペイ(台湾)】
2019年ワールドカップ団体戦ベスト4。世界ランキング8位の鄭怡静(チェン・イージン)は、中国選手とも互角に戦える実力者で、長年日本選手のライバルとして活躍している。陳思羽、鄭先知も地力があり、侮れない存在である。
【シンガポール】
2012年ロンドン五輪銅メダルのフォン・ティエンウェイがエース。シンガポールは、2010年世界選手権の決勝で中国を破り優勝をしており、決勝でエースとして2勝したのが、フォン・ティエンウェイだ。2番手は世界ランキング47位のユ・モンユ。3番手のリン・イエを含め、全員が日本のTリーグでプレーしており、日本の卓球ファンにとってはお馴染みのチームである。
【韓国】
2019年ワールドカップ団体戦準決勝の日本戦に出場したチョン・ジヒ、シン・ユビン、チェ・ヒョジュが代表となった。日本戦では1試合目のダブルスにて、チョン・ジヒ/シン・ユビン ペアが、石川/平野ペアに勝利。2試合目のチェ・ヒョジュは伊藤に対し、2-3で惜しくも敗戦するも大いに苦しめた。注目は2004年生まれのシン・ユビン。韓国の天才卓球少女と呼ばれており、物凄いポテンシャルを持っている。大会期間中にも急激に成長する可能性があり、要注意の選手である。
◆順当に行けば、日本は決勝で中国と対戦か
日本のオーダーはエースの伊藤がシングルスに2試合。石川と平野がダブルスとシングルスに出場すると予想。伊藤は中国人選手を除き世界ランキングでは上位につける。2試合とも確実に勝利することが期待される。
石川/平野ペアも試合を重ねるごとに、コンビネーションは良くなっており、シングルスでの実力も世界トップレベルである。日本が実力を出せば、決勝進出の確率は高いと予想される。
決勝で対戦が予想される中国に対して、日本選手はいずれも圧倒的に分が悪い。しかし、シングルスやダブルスの国際大会で勝利した経験はあり、特に伊藤は、2018年世界選手権団体決勝の第1試合で、劉詩文に勝利している。世界選手権の決勝で中国選手に勝利した経験は大きく、3選手ともに「中国にも十分に勝つチャンスがある」というメンタルで試合に臨めるはずだ。
五輪史上最もレベルが高い日本代表。中国は過去の五輪と比較すると、僅かながら懸念点がある。伊藤、石川、平野は、今まで日本卓球界の歴史を変えてきた選手だ。自国開催というホームアドバンテージを最大限に活かすことが出来れば、五輪の歴史も変えることが出来ると信じている。