夏季オリンピック陸上競技で通算8個の金メダルを獲得したジャマイカの英雄、ウサイン・ボルト氏。しかしウインタースポーツは経験がないと明かす。
「寒いのが苦手で、太陽が降り注ぐ場所の方が好きです。陸上競技以外のスポーツで本格的にやったことがあるのは、クリケットとサッカーくらい。冬季オリンピックには、あまり興味がないのですが、来月の北京五輪はぜひ観戦したいと思っています」
「北京は、自分にとって全てが変わるキッカケとなった場所です。自分が出場した大会は全て、細かいことまで克明に覚えています。その中でも、北京はいつまでも特別な思い出の地であり続けるでしょう。なぜなら、そこで全てが始まったからです。2008年の北京五輪は、30秒足らずで私の人生を激変させました。“鳥の巣”という通称を持つオリンピック競技場での観客と熱気は、言葉にできないほど素晴らしいものでした」
またジャマイカの名を世に広めた、あの映画についても語る。
「映画『クール・ランニング』(1993年)をキッカケに、ジャマイカのボブスレーチームは一躍有名になりました。あの映画は多くの人に影響を与え、平昌五輪では初めて、ジャマイカから女子ボブスレーチームが参加を果たしました。うれしいことに、彼女たちはボブスレーに『ミスター・クール・ボルト』というニックネームを付けてくれました。来月の北京五輪で何人のジャマイカ選手団が出場するのかは、まだ分かりませんが、彼ら、彼女らが何を感じるかは分かります。オリンピックスタジアムに足を踏み入れ、観客の熱狂を体感することほど素晴らしいことはありません」
北京五輪の成功を願うボルト氏は最後に、アスリートたちの健闘を祈った。
「残念なことに、私を含め、海外のファンは北京で観戦することが叶いません。でも重要なことは、オリンピックが予定通り開催されることです。アスリートはパンデミックという困難な状況下、トレーニングを積み重ねてきました。実は、いまの私は良き父親になることに専念しており、陸上競技との関わり方も変わってきました。違った形でのサポートをしているので、十分に走れないこと、トレーニングをできないことは寂しいと思っていません。でも、観客の熱気は恋しいです。北京でその熱気を生で体感できるアスリートたちがうらやましい。彼らの健闘を心から願ってやみません」