びわ湖毎日マラソンプレビュー: 東京五輪男子マラソン最終選考レース…大迫傑の日本記録を破れるか

1 執筆者 渡辺文重
数々のレースで強さを見せてきた川内優輝もエントリー

2017年8月の北海道マラソンより開始したMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)シリーズ、2019年9月のMGCを経て、MGCファイナルチャレンジ最終戦・びわ湖毎日マラソンで、Tokyo 2020(東京五輪)日本代表が決定する。大迫傑の日本記録を突破できるか注目だ。

■第75回びわ湖毎日マラソン大会とは?

  • 日時:2020年3月8日(日)9時15分スタート
  • コース:日本陸連公認びわ湖毎日マラソンコース(皇子山陸上競技場-柳が崎-瀬田唐橋西詰-石山寺-瀬田川洗堰-瀬田唐橋東詰-県立漕艇場-新瀬田浄水場前折り返し-皇子山陸上競技場)

第75回びわ湖毎日マラソン大会コース紹介(大会公式サイト)

約300人によるエリートマラソンは、出場選手および競技役員や整理員など関係者にマスク、手洗いを推奨し、アルコール消毒薬を設置するなどして新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止に努めて実施。一方、室内で行うアワードセレモニー(表彰式)などは中止するとしている。また「沿道で選手の応援を予定されていた皆さまには自粛いただき、テレビなどで応援をいただきますようお願い申し上げます」としている。

テレビ放送予定(地上波デジタル放送)

2020年3月8日(日)9:00~ NHK教育テレビジョン(Eテレ)

■MGCファイナルチャレンジ最終戦としての見どころ

第75回びわ湖毎日マラソン大会は、東京五輪の男子マラソン日本代表選考レース・MGCファイナルチャレンジ第3戦(最終戦)を兼ねている。日本は東京五輪の男子マラソンで出場枠「3」得ているが、そのうち「2」枠は、2019年9月のMGCで決定した。

  • 中村匠吾(富士通)
  • 服部勇馬(トヨタ自動車)

そして「MGCファイナルチャレンジ」3レースで、設定記録(2時間5分49秒)を上回ることを条件に、最も記録の良かった選手が、最後の1枠に選ばれる。びわ湖毎日マラソン開始前の時点(3月1日)で、東京マラソン2020を2時間5分29秒(日本新記録)でフィニッシュした大迫傑(ナイキ)が、この条件を満たしている。

  • 第73回福岡国際マラソン(2019年12月1日)/設定記録突破選手なし
  • 東京マラソン2020(2020年3月1日)/大迫傑(2時間5分29秒)
  • 第75回びわ湖毎日マラソン(2020年3月8日)

びわ湖毎日マラソンで最後の1枠を獲得するためには、日本人トップでゴールすることはもちろん、2時間5分29秒を上回る記録を出す必要がある。びわ湖毎日マラソンにエントリーしていない“大迫傑との勝負”が、最大の焦点となる。

■びわ湖毎日マラソン招待選手…注目の有力ランナーは?

川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)

1987年3月5日生まれ、東京都出身。175センチ、62キロ。自己ベストは、びわ湖毎日マラソンに出場する日本人選手の中で最も速い2時間8分14秒となっている。世界陸上に4大会連続出場するなど、実績は抜群。日本記録を更新し、初のオリンピック出場を勝ち取るか。

野口拓也(コニカミノルタ)

1988年7月2日生まれ、宮城県出身。173センチ、56キロ。自己ベストは、2017年のゴールドコーストマラソン(オーストリア)で記録した2時間8分59秒で、出場日本人選手の中では2番目の記録となる。コニカミノルタの先輩・山本浩之との“共走”で日本記録の更新なるか。

大塚祥平(九電工)

1994年8月13日生まれ、大分県出身。170センチ、55キロ。駒澤大学在学時は、4年連続で箱根駅伝に出場し、4年時には5区で区間賞を獲得する。2018年の北海道マラソンでMGC出場権を獲得するも、MGC本戦は大迫傑に次ぐ4位フィニッシュだった。

鈴木健吾(富士通)

1995年6月11日生まれ、愛媛県出身。163センチ、47キロ。神奈川大学在学時に4年連続で箱根駅伝を経験。3年時には2区で区間賞に輝いたほか、4年時にはユニバーシアードのハーフマラソンで銅メダルを獲得している。MGCにはワイルドカードで出場し、7位でフィニッシュ。

海外招待選手(タイムは自己ベスト)

  • エバンス チェベト(ケニア)2:05:00
  • フィレックス ケモンゲス(ウガンダ)2:05:12
  • フィレックス キプロティチ (ケニア)2:05:33
  • サムエル ドゥング(ケニア)2:06:02
  • アブディ ナジーイ(オランダ)2:06:17
  • スティーブン モコカ(南アフリカ)2:07:40
  • サラエディーン ブナスル(モロッコ)2:07:52
  • アルフォンス フェリックス シンブ(タンザニア)2:08:27
  • ダーリス アヤラ(パラグアイ)2:10:27

国内招待選手(タイムは自己ベスト)

  • マチャリア ディラング(愛知製鋼/ケニア)2:07:53
  • ゼーン ロバートソン(スズキ浜松AC/ニュージーランド)2:08:19
  • 川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)2:08:14
  • マイケル ギザエ(スズキ浜松AC/ケニア)2:09:21
  • 荻野皓平(富士通)2:09:36
  • 大塚祥平(九電工)2:10:12
  • 野口拓也(コニカミノルタ)2:08:59
  • 鈴木健吾(富士通)2:10:21
  • 山本浩之(コニカミノルタ)2:09:12

■まとめ

日本人出場選手の自己ベスト記録、また過去の結果(大会記録は2011年、ケニアのウィルソン・キプサングが記録した2時間6分13秒)からも、びわ湖毎日マラソンで大迫傑の日本記録(2時間5分29秒)を突破することは困難だとされている。とくに琵琶湖北西から風が吹きやすく、後半の復路、南郷水産センターを超えた先からランナーにとって過酷な戦いとされる。

その一方で、大会1週間前の3月1日に行われた東京マラソン2020では、大迫を含め、多くのランナーが自己ベストを更新している。東京マラソンで日本人2位だった髙久龍(ヤクルト)は、2時間10分2秒から2時間6分45秒と大幅更新を達成。この背景には、ナイキの厚底シューズなど、シューズの技術進化なども挙げられており、びわ湖毎日マラソンでも驚くべき記録が出る可能性はある。

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