Tokyo2020(東京五輪)日本代表選考会を兼ねる第97回日本選手権水泳競技大会・競泳競技「ジャパンスイム2021」は4月5日、競技3日目を迎えた。この日は男子100m背泳ぎ決勝が行われ、入江陵介(イトマン東進)が派遣標準記録を上回る53秒13で優勝、五輪内定を決めた。
東京五輪の派遣標準記録は、世界水泳2019光州の決勝進出タイムが基準。世界水泳の男子100m背泳ぎ6位の入江にとって難しい設定ではなく、自身が持つ日本記録(52秒24)も視野に入れていたという。そうしたこともあり、タイムに関しては「正直、納得していない」と口にした。
■準決勝の結果がもたらしたプレッシャー
伏線は前日に行われた同種目準決勝にあった。準決勝は全体1位だったものの記録は53秒40。派遣標準記録と同タイムだった。
「いまいちハマっていないという気持ちがあった。準決勝はもう少し速いタイムで泳ぎたかったが派遣標準記録と同タイムだったため、ヤバいなという変な気持ちになってしまった。自分自身でプレッシャーを与えてしまった。日本新記録を視野に入れていたので、正直、タイムには納得していません。ただ通過点としては、いろいろな不安と向き合った中で内定を取れたことは良かったと思います」
自分自身に必要以上のプレッシャーを与えてしまった。そう振り返った入江だが「強化自体はうまく行っていた」と自信をのぞかせる。100mで東京五輪の日本代表に内定したことで「男子200m背泳ぎの方は気楽に行ける」と語った入江。「あす(6日)は空くので、もう一度大きな泳ぎを取り戻して頑張りたい」と7日から行われる男子200m背泳ぎに向け、意気込んだ。
■自分の経験を若い世代に伝えることが役目
18歳で北京五輪に初出場し、ロンドン五輪では男子100m背泳ぎで銅メダル、男子200m背泳ぎと男子4×100mメドレーリレーで銀メダルを獲得。リオデジャネイロ五輪でも3種目で入賞を果たした入江。東京五輪は31歳で迎えることになり「平均年齢を上げてしまう」とおどけながらも、若手の躍進に触れて「本当に誇らしい」と目を細める。
「大会初日から若い選手が東京五輪に内定している。女子400m自由形では2人が内定するなど、最近ではなかったことが起きている。素晴らしいチームを作り上げていけると思う。平均年齢を上げてしまうと思いますが、自分自身の経験などを若い世代に伝えていくことが僕の役目だと思っています」
また、女子400mメドレーリレー(バタフライ)の派遣標準記録を突破した池江璃花子(ルネサンス/日本大学)について聞かれると「レースは見られませんでしたが、電光掲示板で見ていて、本当に驚きと、うれしさと、本当にここまで頑張ったねと思いました」と回答。そして「まだまだ油断できない部分はあると思うので、本当に体調最優先に頑張ってほしい。メディアの皆さんも、あまり盛り上げすぎないでくれると、うれしいかな」と気遣いを見せた。