名古屋ウィメンズマラソン・有力ランナー紹介:東京五輪女子マラソン代表最後の枠を勝ち取るのは?

1 執筆者 渡辺文重
一山麻緒はMGCの時とは異なるメーカーのシューズを履くと見られている

Tokyo 2020(東京五輪)の女子マラソン日本代表選考レース、MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)ファイナルチャレンジの最終戦を兼ねる、名古屋ウィメンズマラソン2020が3月8日に開催される。マラソン日本代表最後の1枠を勝ち取るのは誰か、その展望を記す。

■名古屋ウィメンズマラソンとは?

ナゴヤドーム(愛知県名古屋市)発着。制限時間は7時間で、2019年大会の完走率は96.6パーセントと「初心者でも完走できる」マラソンとして知られる。またアップダウンが少ないため、エリートランナーにとっても好記録を狙えるレースとして知られている。2020年大会は新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の影響により、「一般の部」は中止(オンラインマラソンに代替)。「エリートの部」のみの開催となった。

http://womens-marathon.nagoya/news/20200220-1700/

■女子マラソン日本代表内定の条件は?

東京五輪における日本の女子マラソン出場枠(開催国枠)は「3」。そのうち「2」は、2018年から2019年にかけて開催された「MGCシリーズ」で結果を残したランナーだけが参加できるMGCで決定。2019年9月に東京で行われたMGCにより、1位の前田穂南(天満屋)と2位の鈴木亜由子(日本郵政グループ)が内定となった。残り1枠はMGCファイナルチャレンジ、2019年12月の第5回さいたま国際マラソン(埼玉県さいたま市)、2020年1月の第29回大阪国際女子マラソン大会(大阪府大阪市)、そして名古屋ウィメンズマラソン2020の3レースの結果により決定されることになる。

MGCファイナルチャレンジにおける残り1枠の決定方法は、「設定記録(2時間22分22秒)を上回り、最も速いタイムを出した選手」としている。設定記録を上回る選手がいなかった場合、MGCで3位となった小原怜(天満屋)が内定となるが、大阪国際で松田瑞生(ダイハツ)が2時間21分47秒で優勝。現時点で、最後の1枠に最も近い選手は松田となっている。

松田の記録した「2時間21分47秒」を上回る日本人選手が現れるか。それが名古屋ウィメンズマラソン2020における最大の注目ポイントになっている。

■名古屋ウィメンズマラソンで日本代表が決まる可能性は?

名古屋ウィメンズマラソンは好記録が期待されるレースで、MGCシリーズとなった2018年と2019年大会から、ワイルドカードを含めて9選手がMGC出場権を獲得(辞退・欠場含む)している。そのため「名古屋ウィメンズマラソン2020」で、東京五輪のマラソン日本代表を勝ち取るランナーが現れても不思議ではない。

名古屋ウィメンズマラソンでMGC出場権を獲得した選手

  • 関根花観(日本郵政グループ)2時間23分07秒/2018日本人1位
  • 岩出玲亜(アンダーアーマー)2時間26分28秒/2018日本人2位
  • 野上恵子(十八銀行)2時間26分33秒/2018日本人3位
  • 小原 怜(天満屋)2時間27分44秒/2018日本人5位 ※ワイルドカード
  • 福士 加代子(ワコール)2時間24分09秒/2019日本人2位
  • 上原美幸(第一生命グループ)2時間24分19秒/2019日本人3位
  • 前田彩里(ダイハツ)2時間25分25秒/2019日本人4位
  • 谷本観月(天満屋)2時間25分28秒/2019日本人5位
  • 池満綾乃(鹿児島銀行)2時間26分07秒/2019日本人6位

※ワイルドカードとは?詳細は→ワイルドカード(マラソングランドチャンピオンシップ公式サイト)

■名古屋ウィメンズマラソンの有力日本人ランナー

安藤友香(ワコール)

1994年3月16日生まれ、岐阜県出身、自己ベストは2時間21分36秒。松田の「2時間21分47秒」を上回る記録を出したレースは、初マラソンとなった2017年の名古屋ウィメンズ。3年前は“忍者走り”でも脚光を集めたが、トラックレースで鍛えた“スピード強化”が実を結ぶか。シューズはアディダス。

福士加代子(ワコール)

1982年3月25日生まれ、青森県出身、自己ベストは2時間22分17秒(2016、大阪国際女子)。日本を代表する陸上選手で、トラック競技の代表としてアテネ五輪、北京五輪、ロンドン五輪に出場。リオデジャネイロ五輪ではマラソンに出場(14位/日本人最上位)した。シューズはアディダス。

前田彩里(ダイハツ)

1991年11月7日生まれ、熊本県出身、自己ベストは2時間22分48秒(2015、名古屋ウィメンズ)。2015年の世界選手権にも出場した。その後、負傷に苦しむ時期が続いたものの、昨年の名古屋ウィメンズでMGC出場につながる好レースを展開。MGCは負傷欠場となったが、名古屋で復活なるか。シューズはアディダス。

岩出玲亜(アンダーアーマー)

1994年12月8日生まれ、三重県出身、自己ベストは2時間23分52秒(2019、名古屋ウィメンズ)。全国高校駅伝などで活躍し、ハーフマラソンやマラソンで、10代の日本最高記録を記録。練習の様子を投稿するなど、SNSを積極的に活用している。シューズはアンダーアーマー。

一山麻緒(ワコール)

1997年5月29日生まれ、鹿児島県出身、自己ベストの2時間24分33秒は、初マラソンの東京マラソン2019で記録した。その後、ロンドンマラソン2019にも出場して2時間27分27秒を記録。ワイルドカードでMGC出場を果たした。MGCではアディダスのシューズを履いていたが、名古屋ウィメンズではナイキを着用すると見られている。

名古屋ウィメンズマラソン海外招待競技者は?詳細は→名古屋ウィメンズマラソン招待選手発表:東京五輪代表最終切符をかけて福士加代子、一山麻緒らが出場

■参考:MGCの順位と記録

  1. 前田穂南(天満屋)2時間25分15秒
  2. 鈴木 亜由子(日本郵政グループ)2時間29分02秒
  3. 小原 怜(天満屋)2時間29分06秒
  4. 松田瑞生(ダイハツ)2時間29分51秒
  5. 野上恵子(十八銀行)2時間31分14秒
  6. 一山麻緒(ワコール)2時間32分30秒
  7. 福士 加代子(ワコール)2時間33分29秒
  8. 安藤友香(ワコール)2時間36分29秒
  9. 岩出玲亜(アンダーアーマー)2時間41分22秒
  • 棄権:上原美幸(第一生命グループ)
  • 欠場:関根花観(日本郵政グループ)
  • 欠場:前田彩里(ダイハツ)
  • 辞退:中野円花(ノーリツ)
  • 辞退:谷本観月(天満屋)
  • 辞退:池満綾乃(鹿児島銀行)
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