Tokyo 2020(東京五輪)では、メダル獲得が期待されている卓球男子日本代表。王者中国以外に、メダル獲得に向けて、熾烈な戦いが予想されるライバル国を紹介する。
■団体戦のライバル国は中国、ドイツ、韓国
団体戦は16チームが出場、メダル獲得を争う。試合方式は、第1試合がダブルス、第2~5試合がシングルス。3試合を先取したチームが勝利となる。
日本は世界ランキング4位の張本智和、17位の丹羽孝希、18位の水谷隼、計3名が代表。張本がシングルス2試合。丹羽と水谷がダブルスとシングルスに出場すると予想されている。
金メダル最有力候補は中国。2008年北京五輪から団体戦が採用され、2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪と3連覇中。世界選手権でも2001年以降、9連覇中。さらに決勝のスコアは3-0か3-1と、一度も接戦とならずに連覇を続け、卓球界で圧倒的な強さを誇っている。
世界ランキングも1位が樊振東、2位に許昕、3位がリオ金メダルの馬龍と上位を独占しており、この3名が代表に選ばれた。過去の実績、ランキングを踏まえると中国の優勝の確率は極めて高い。中国が頭一つ抜けている中、日本のメダル獲得のライバルとなるのがドイツ、韓国である。
ドイツは北京で銀メダル、ロンドンとリオで銅メダル。韓国は北京で銅メダル、ロンドンで銀メダルを獲得している。つまり、ドイツと韓国に中国と日本を含めたこの4チームしか、団体戦でメダルは獲得していない。
ドイツの代表メンバーは世界ランキング9位のドミトリ・オフチャロフ、11位のティモ・ボル、16位のパトリック・フランチスカと欧州最強とも言える布陣。ボルとオフチャロフは北京五輪からの団体メンバーで、実績経験ともに十分。
フランチスカは五輪未経験だが、ボルとのダブルスは相性が良く、2019年ITTFワールドツアー中国OPでは、世界王者の中国ペアに勝利し、優勝した実績もある。爆発力のあるオフチャロフがシングルス2試合、ボルとフランチスカのダブルスは、日本にとってかなりの強敵となる。
韓国は世界ランキング12位の張禹珍、13位の鄭栄植、22位の李尚洙の3名が代表。張禹珍がシングルス2試合、長年ペアを組んでいる鄭栄植と李尚洙がダブルスのオーダーと予想される。
2018年世界選手権では鄭栄植が張本、水谷に勝利し、このメンバーの韓国に日本は敗戦している。1試合目のダブルスに実績のある鄭栄植/李尚洙ペアを置ける韓国は強い。
東京五輪でも、世界ランキング通りに行くと中国、日本、ドイツ、韓国が準決勝で戦うことになる。準々決勝で対戦が予想されるチームも世界ランクほどの実力差は無く、熾烈な戦いが予想される。
■日本と対戦が予想される、そのほかの強豪チーム
・スウェーデン:2019年世界選手権2位、世界ランク8位のマティアス・ファルクがおり、2018年世界選手権ベスト4
・チャイニーズタイペイ:中国が最も警戒する選手の1人、世界ランキング6位の林昀儒がエース。2013年世界選手権ダブルス優勝の荘智淵/陳建安ペアが支える
・ブラジル:世界ランキング7位ウーゴ・カルデラノが絶対的なエース。2018年世界選手権ベスト8
・ポルトガル:世界ランキング25位のマルコス・フレイタスを中心に、3選手ともにレベルが高い。2014年ヨーロッパ王者
・フランス:2019年世界選手権で許昕を破ってベスト8に入ったシモン・ゴジを中心に、2016年ヨーロッパ王者エマニュエル・ルベッソンが脇を固める
■日本のメダル獲得のカギはダブルス
第1試合のダブルスには、丹羽/水谷の左利き同士のペアが予想される。ダブルスは動きが重なりにくい、右利きと左利きのペアが有利で、同じ利き手同士のペアは不利と言われている。
しかし、2000年シドニー五輪では左利き同士のジャン=フィリップ・ガシアン/パトリック・シーラ(フランス)が男子ダブルスで、銅メダルを獲得しており、実力者同士のペアであれば十分に勝つことが可能だ。
また、東京五輪までに国際大会は開催されないこととなっているが、丹羽/水谷ペアは過去に2019年に1試合しかペアを組んでいないため、情報が少なく、対戦相手としては対策をしにくい状況となっている。
丹羽は松平健太、吉村真晴とのペアで、水谷は岸川聖也とのペアで2回、世界選手権で銅メダルを獲得しており、ともにダブルスがうまい選手である。不利と言われる左利き同士のダブルスだが、丹羽、水谷の実力があれば、地元開催の利点を活かし、しっかり調整してくれるはずだ。
ダブルスで勝利できれば、第2試合の張本へのプレッシャーも軽減される。張本がしっかりと実力を発揮すれば、シングルスで2試合勝利を収める確率も上がる。
東京五輪開催まで2カ月半。丹羽/水谷ペアがどこまでコンビネーションを高められるか。長年日本を支えてきた2人のサウスポーに期待したい。