UWW(世界レスリング連合)主催の「レスリングU20世界選手権」がブルガリアの首都・ソフィアにて開催され、現地時間8月21日に全ての競技スケジュールを終えて、閉幕した。日本からは、パリ2024に向けて将来有望な男子17名、女子10名の合計27名が出場し、合計15のメダルを獲得するなど大活躍を見せた。
■男子フリースタイル
この種目には、日本より8名が出場した。なかでも、61kg級代表の西内悠人は、史上初めて現役高校3年生という年齢でU20世界選手権の頂点に輝いた。西内は、あばらを負傷した万全ではないコンディションで今大会に臨んでいたものの、決勝まで勝ち進み、最後の試合では劣勢からの逆転優勝を成し遂げた。
「(決勝では)4点以内の差なら逆転できると思っていた。後半勝負になると思っていたので焦りはなかった」
「背負うものは何もない、ポジティブな気持ちになれたことがよかった」
- 西内悠人・日本レスリング協会より
このほか男子フリースタイルでは、74kg級の神谷龍之介が銀メダル、65kg級の神谷龍之介が銅メダルを獲得している。
■女子
このU20選手権大会の女子のカテゴリーでは、実施された10の各階級にひとりずつ日本代表が出場し、金8、銅2という10名全員がメダル獲得という快挙を成し遂げた。
なかでも、59kg級の元木咲良、62kg級の尾﨑野乃香、68kg級の石井亜海の3選手は、本年(2022年)9月に開幕するシニア世界選手権(セルビア・ベルグラード)の代表にも選出されていることから、このU20世界選手権で頂点に輝いたことは意義深い収穫となり、かつ世界選手権やパリ2024に向けて新たなタイトル獲得に向けた大きなマイルストーンにもなった。
「優勝はできましたが、(2-2で勝った準決勝を含めて)初日は全試合とも内容的によくない試合でした。外国人は思ったより力が強く、焦ってしまって自分のレスリングが空回りしていました。それを知ることができたのが収穫です。来月のシニアの世界選手権に出るのに、こんな試合をしていては駄目だ、という危機感を感じました」
- 元木咲良・日本レスリング協会より
「今できることをやる、という気持ちで試合をしました。闘っていく中でコンディションを上げていけたのは、よかったことです。(決勝の相手となった、Tokyo2020インド代表選手は)けっこう仲のいい選手なんです。でも、試合は試合。何も考えずに勝つことだけを考えて闘いました。シニアの世界選手権は今回よりレベルが違ってくるので、今回の試合のようにいくとは思っていません。泥くさくても勝ちにいきたい。技術の修正、心の面など、できるだけのことをして臨みたい」
- 尾﨑野乃香・日本レスリング協会より
「(9月の)世界選手権で優勝したいと思っているので、『U20世界選手権での優勝は当然』と思う冷静な気落ちと、U20の世界一になれたうれしさとが、半々という状況です。世界選手権までの短い期間でも、やれることはたくさんあると思います。(世界選手権では)やってきたことを普通にやりたい」
- 石井亜海・日本レスリング協会より
本大会の女子日本代表のメダル成績は以下の通り。
金メダル
- 50kg級 伊藤海(早大)
- 55kg級 清岡もえ(育英大)
- 57kg級 屶網瑠夏(至学館大)
- 59kg級 元木咲良(育英大)
- 62kg級 尾﨑野乃香(慶大)
- 65kg級 吉武まひろ(日体大)
- 68kg級 石井亜海(育英大)
- 76kg級 茂呂綾乃(東京・安部学院高)
銅メダル
- 53kg級 木村彩夏(法大)
- 72kg級 新倉すみれ(神奈川大)
■男子グレコローマン
本大会の後半から最終日までに行われたこの種目には、日本より9名がエントリーした。金メダル獲得には至らなかったものの、55kg級の尾西大河と63kg級の丸山千恵蔵が銅メダルを獲得している。
U20世界選手権は全ての競技スケジュールを終え、閉幕。TEAM JAPANは、最終的に金9、銀1、銅5の合計15個のメダルを獲得した。
■代表選手
男子フリースタイル(8名)
- 61kg級 西内悠人(高知・高知南高)
- 65kg級 青柳善の輔(山梨学院大)
- 70kg級 髙橋海大(日体大)
- 74kg級 神谷龍之介(三重・いなべ総合学園高)
- 79kg級 清水大輔(明大)
- 92kg級 三浦哲史(拓大)
- 97kg級 濱田豊喜(中大)
- 125kg級 藤田龍星(日大)
女子(10名)
- 50kg級 伊藤海(早大)
- 53kg級 木村彩夏(法大)
- 55kg級 清岡もえ(育英大)
- 57kg級 屶網瑠夏(至学館大)
- 59kg級 元木咲良(育英大)
- 62kg級 尾﨑野乃香(慶大)
- 65kg級 吉武まひろ(日体大)
- 68kg級 石井亜海(育英大)
- 72kg級 新倉すみれ(神奈川大)
- 76kg級 茂呂綾乃(東京・安部学院高)
男子グレコローマン(9名)
- 55kg級 尾西大河(早大)
- 60kg級 五味虹登(育英大)
- 63kg級 丸山千恵蔵(日体大)
- 67kg級 豊田崚真(拓大)
- 72kg級 西田衛人(専大)
- 77kg級 堀北一咲望(日体大)
- 82kg級 山口蓮汰(神奈川大)
- 87kg級 岩井知史(明大)
- 97kg級 中原陸(大東大)