近代五種は、東京2020で終盤に終了した競技のひとつだが、待つだけの甲斐があったと思える熱戦が展開された。
イギリス勢が男女ともに優勝し、ジョゼフ・チューンは歴史に名を刻んだ。
そしてチョン・ウンテは、韓国にこの競技で初めてのメダルをもたらした。エジプトの新星アハマド・エルガンディは、この競技の未来が明るいことを象徴した。
ここでは最も印象的な瞬間やメダルを振り返り、3年後のパリ2024を展望する。
東京2020 近代五種 トップ5の瞬間
注目トピックスを振り返ろう:
1:ケート・フレンチがイギリスで史上2番目の近代五種チャンピオンに
リオ2016で5位に終わったフレンチは、東京2020ではメダルを獲る、と意を決していた。
そして30歳の彼女はその目標を見事に達成。他の選手を圧倒して女子の金メダルを手に入れた。
レーザーランで22本のショットのうちわずか2本しかミスしなかったフレンチは、他の選手に差をつけてゴールラインへと進んでいった。
イギリス人女性では、シドニー2020で優勝したステファニー・クック以来の優勝となった。
2:韓国初の近代五種メダリスト誕生
チョン・ウンテが、韓国に歴史的な瞬間をもたらした。
26歳のウンテは男子レースで3位に入賞し、韓国で初めて、近代五種のオリンピックメダルを獲得した。
チームメイトのチョン・ジンハは4位で惜しくもメダルには届かなかったが、韓国の近代五種競技は活気に満ちている。
3:近代五種界のスーパーマムたち
東京大会では、出産したばかりの選手が復帰する競技が多くみられたが、近代五種もそのひとつ。
そのうちの一人、ベラルーシのアナスタシア・プロコペンコは、カイロで開催された2021年の世界選手権で優勝して好調を維持していたが、東京でのメダル獲得は叶わなかった。
リトアニアのラウラ・アサダウスカイテも、ロンドン2012でオリンピック王者になった時のフォームを再現しようと挑んだ。
しかし、ケート・フレンチの鮮烈なパフォーマンスを抑えきれず、2位で銀メダルを獲得した。
4:エジプトの新星
21歳のアハメド・エルガンディには、近代五種での明るい未来が待っている。
2021年の世界選手権で銅メダルを獲得した彼にとって、表彰台は十分達成可能な目標だった。
イギリスのジョゼフ・チューンと接近戦を繰り広げると、最終的にはチューンが勝負を制したが、エルガンディは銀メダルを手に入れた。
エルガンディのメダル獲得は、この競技ではエジプト初、そして東京2020では、エジプトにとって銅メダル以外の最初のメダルと、記念すべきものとなった。
まるでエルガンディの明るい未来と、彼が持つ能力を示唆するかのようだ。
5:ジョゼフ・チューンがイギリスチームに歴史を刻む
女子のケート・フレンチの成功に続き、ジョゼフ・チューンも歴史に名を刻んだ。
26歳のチューンは、最後のレースをチャンピオンらしい成熟した姿勢で走りきると、エルガンディの猛追を振り切って金メダルを獲得した。
近代五種競技でオリンピックタイトルを獲得したイギリス男子選手は彼が初めてだ。
リオ大会での10位から目覚ましい飛躍と遂げたチューンの活躍により、イギリス勢による近代五種競技のダブル優勝が達成された。
最後に
フレンチとチューン、2人のイギリス勢の優勝がヘッドラインを独占した。この競技でイギリス勢がオリンピックタイトルを手にしたのは、この2人が2番目と3番目だ。
近代五種競技の強化に力を注いできた韓国の尽力も報われた。チョン・ウンテとチョン・ジンハの2人はともに各種目でポテンシャルを発揮。メダルを獲得したのはチョン・ウンテ一人だけだったが、韓国が今後もこの競技の注目国であることを証明した。
ハロー・パリ2024
ディフェンディング・チャンピオンとして臨むイギリス勢に注目が集まる。
また、昨年出産を経験したため東京大会には出場しなかったリオ2016の金メダリスト、クロエ・エスポジート(オーストラリア)も、復帰に意欲的だという。
新進気鋭のエジプトのアハメド・エルガンディは、今大会でも優勝者のジョゼフ・チューンを最終種目まで追い詰めた。次の大会では、一歩先を狙っていることだろう。
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近代五種の次の大会は?
この大会に出場した選手の多くは、2022年に中国の廈門市で開催される世界選手権でふたたび顔を合わせる。
この大会での結果は、パリ2024での表彰台争いを占うものとなりそうだ。
東京2020 近代五種の全メダルリスト
女子
金:ケート・フレンチ(イギリス)
銀:ラウラ・アサダウスカイテ(リトアニア)
銅:シャルロタ・コバチ(ハンガリー)
男子
金:ジョゼフ・チューン(イギリス)
銀:アハメド・エルゲンディ(エジプト)
銅:チョン・ウンテ(韓国)