競泳女子でTokyo2020の個人メドレー2冠を達成したの大橋悠依が10月18日、東京都内で現役引退会見を行った。
現役最後のレースとなった9月の国民スポーツ大会から1カ月。約21年のキャリアを振り返り「充実していて大満足の水泳人生でした。好きなことをこんなに長く続けることができて、夢にも思っていなかったオリンピックの舞台で、2冠を達成することができて幸せな競泳人生でした」と語った。
大橋は2021年に開催されたオリンピックで、200m個人メドレー、400m個人メドレーの2種目で金メダルを獲得。「誰しもが夢見ることを達成できた」と振り返ったが、その後は大きな目標を達成したからこその苦しい時期もあったという。
「東京オリンピックの翌年、2022年は自分の感情が自分で把握できないくらい、感情が混乱していました。その中で世界選手権を迎えるというか、過ごすような形になってしまいました。それ以降も練習を途中で切り上げて部屋に帰ったり、1カ月、2カ月と泳がない時期もありました。そこが一番苦しかったです」
引退を決意したのは2023年の秋頃。パリ2024オリンピックを目指すにあたり、「冬の苦しい練習を乗り越えなければいけないのですが、冬を超えるのはあと1回だと思わないと、自分の心が持ちそうにない」と思ったことで引退を決めたと明かした。
パリ2024は200m個人メドレーに出場し、準決勝敗退で2度目のオリンピックを終えた。今後は指導者や普及活動として新たなキャリアを歩む。「幅広い世代の方に水泳の楽しさを知っていただくこと、イトマンスイミングスクール特別コーチとして所属選手の強化に尽力していくこと、競技人生で得た経験や知識を多くの方に伝えていくことができたらいいなと思っています」。今後の競泳界を担う後進たちに向けては「自分で限界を決めないでほしい。私自身も平井(伯昌)先生に『いける』と思ってもらえて今があるのですが、私自身はそういうふうには思えていませんでした。自分の限界を自分で決めず、いろいろな分野に挑戦しながらやりたいことを見つけてほしいと思います」とエールを送った。