新しい競技が登場する! 空手は、2021年に開催される東京2020で観戦できる新競技のひとつだ。
そして日本は、世界で最も人気のあるスポーツの一つであるこの古武術の発祥の地でもある。
ここでは、オリンピックで空手を楽しむために知っておきたいキーポイントをご紹介する。
東京2020に出場するトップ空手家
2021年に開催される東京2020には、**「組手」に60名、「形」**に20名、計80名の選手が出場する。両部門とも男女同数ずつだ。
「形」の世界ランキングで上位を占めるのは男女ともにスペイン勢で、サンドラ・サンチェスとダミアン・キンテーロは優勝候補だ。
39歳のサンチェスは2018年の世界チャンピオンで、ヨーロッパでも5度王座に君臨している。国際大会で最も多くのメダルを獲得した空手家として記録に名を刻んだばかりだ。
そんな彼女を、世界空手連盟(WKF)は「史上最強」と称した。
それからもうひとつ。
サンドラは、スペインがロックダウンの間に自宅でワークアウトをした様子をオリンピックチャンネルで紹介している。
東京2020で彼女の最大のライバルとなるのは、自国の観衆のサポートを受ける**清水希容**だ。日本のスターは、2度の世界チャンピオン、そしてアジア女王に3度輝いている。
「形」の男子競技でも、喜友名諒とダミアン・キンテーロの、スペイン対日本の戦いになりそうだ。ともにオリンピック初代チャンピオン候補の筆頭に挙げられている。
喜友名は2018年と2016年の世界選手権の決勝でキンテーロを破っている。この2人の対決は、「形」の世界ではすでに定番だ。
**「組手」**では、東京2020では、男子、女子ともに3階級ずつ計6階級が行われる。
フランスからは、男子67kg級に世界チャンピオンのスティーブ・ダコスタ。パンアメリカン競技大会金メダリストのヴィニシウス・フィゲイラも出場する。
75kg級では、世界トップ3のラファエル・アガエフ(アゼルバイジャン)、バフマン・アスガリ(イラン)、ルイージ・ブサ(イタリア)が早々に出場権を獲得した。
75kg超級の世界ランキング1位で、欧州チャンピオンのウグル・アクタス(トルコ)も、有力な金メダル候補の一人だ。
女子55kg級で注目は**アンゼリカ・テリウガ**。ウクライナ出身の28歳は、現在世界ランキング1位。ヨーロッパチャンピオンに3度輝いている。
2018年の世界選手権で金メダルを獲得しているセルビアのジョバナ・プレコビッチは、東京でもその再演を狙っている。決勝でライバルとなりそうなのは中国のイン・シャオイェン。彼女もオリンピック出場権を手にしている。
61kg級では、世界チャンピオンのイリーナ・ザレツカ(アゼルバイジャン)に注目が集まっている。
東京2020での大会フォーマット
「形」と「組手」の2種目で、メダルを競い合う。
組手
男女それぞれ3つの重量クラスがあり、選手は1階級のみに出場できる。
2人の空手家が向かい合い、8メートル四方の競技場で3分の競技時間内に相手に打撃を与える。
「蹴り」「突き」「打ち」の技が、フォーム、パワー、コントロールなど良い形で決まると1点から3点を獲得。制限時間の3分以内に8ポイント差をつけるか、制限時間の終了時にポイントの多い者が勝者となる。
同点の場合は、先にポイントを獲得していた選手が勝者。
無得点の場合は審判の判定で決まる。
形
一番の違いは、競技者がお互いに向き合わないこと。選手は競技場に一人で立ち、「形(かた)」と呼ばれる演武を行う。
形は、仮想の敵に対する攻撃技と防御技を一連の流れとして組み合わせる。
世界空手連盟(WKF)が認定している102種類から空手家が選択した形を、観客、そして7人の審判の前で行う。
採点は、7人の審判のうち3人がつけた点数を足し、別の計算式に当てはめて勝敗を決定するポイント制。
東京2020での空手日程
空手競技が初めてオリンピックに登場するのは2021年8月5日。この日が初代オリンピックチャンピオンを決する3日間の幕開けとなる。
詳細スケジュール:
*時間はすべて日本標準時(JST)
2021年8月5日(木)
10:00 - 14:45
- 女子形予選
- 女子形ランキングラウンド
- 男子組手67kg級予選
17:00 - 21:40
- 女子組手55kg級予選
- 女子形3位決定戦
- 女子形決勝
- 男子組手67kg級準決勝
- 女子組手55kg級準決勝
- 男子組手67kg級決勝
- 女子組手55kg級決勝
- 女子形表彰式
- 男子組手67kg級表彰式
- 女子組手55kg級表彰式
2021年8月6日(金)
10:00 - 14:45
- 男子形予選
- 男子形ランキングラウンド
- 女子組手61kg級予選
17:00 - 21:40
- 男子組手75kg級予選
- 男子形3位決定戦
- 男子形決勝
- 女子組手61kg級準決勝
- 男子組手75kg級準決勝
- 女子組手61kg級決勝
- 男子組手75kg級決勝
- 男子形表彰式
- 女子組手61kg級表彰式
- 男子組手75kg級表彰式
2021年8月7日(土)
14:00 - 20:35
- 女子組手61kg超級予選
- 男子組手75kg超級予選
- 女子組手61kg超級準決勝
- 男子組手75kg超級準決勝
- 女子組手61kg超級決勝
- 男子組手75kg超級決勝
- 女子組手61kg超級表彰式
- 男子組手75kg超級表彰式
オリンピック競技としての歴史
リオ大会開催中の2016年8月3日、**129回目のIOC総会**で、東京2020にスポーツクライミング、サーフィン、スケートボード、空手の4つの競技を新たに加えることが承認された。
空手は、2018年にブエノスアイレスで開催されたユースオリンピックで実施され、アルゼンチンで好評を得た。
2024年のパリ大会の公式種目には含まれていない。
東京2020での会場
2021年に空手がオリンピックデビューを飾る場所は、日本武道館(英語では_Martial Arts Hall_)だ。柔道も同じ会場で行われる。
日本武道館は、柔道が正式種目として初めて実施された1964年のオリンピックで、この競技のために建設された。日本の武術の聖地であり、東京の中心地、千代田区に位置する。皇居からも近い。
ビートルズは1966年にここでコンサートを行った。彼らが日本武道館で演奏した最初のロックバンドだ。
その後、ABBA、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、レッド・ツェッペリン、エアロスミスなどのビッグネームがパフォーマンスを行ったこの場所に、世界トップレベルの空手家たちが集結する。