名古屋ウィメンズマラソン パリ2024オリンピック代表の1枠をかけて日本記録に挑む注目の女子選手

執筆者 Hirotaka Hikoi
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写真: GETTY IMAGES

パリ2024マラソン女子日本代表の1枠をかけたMGCファイナルチャレンジ最終戦となる名古屋ウィメンズマラソン2024が3月10日に開催される。ここでは注目の女子日本選手を紹介しよう。

名古屋ウィメンズマラソン2024は、3月10日(日)9時10分にナゴヤドームをスタートする。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ファイナルチャレンジ最終戦にあたる今大会では、パリ2024オリンピックマラソン女子日本代表の1枠をかけ、選手たちが最後のチャンスに望みをかける。

パリ2024のマラソン競技開催(男子8月10日・女子同11日)まで5か月。2023年10月のMGC日本代表選手選考競技会で、女子は1位の鈴木優花と2位の一山麻緒、男子は1位の小山直城、2位の赤﨑暁(あきら)が代表に内定している。その後、残り1枠の獲得を目指して、男子選手はファイナルチャレンジの福岡国際、大阪、東京マラソンの全3戦で、設定記録(2時間5分50秒)を破り日本人最上位を目指したが、該当者がいなかったためMGCで3位に入った大迫傑(すぐる)が日本代表に内定した。これで男子は内定者が出そろった。

一方女子は、今年1月28日のMGCファイナルチャレンジ、大阪国際女子マラソンで、前田穂南(ほなみ)が女子の設定記録(2時間21分41秒)を大きく上回るマラソン女子日本記録(2時間18分59秒)を樹立して日本人最上位となり、代表枠獲得に王手をかけている。

東京2020の代表枠をかけた選考会では、2019年9月のMGCで4位だった松田瑞生が翌年1月のファイナルチャレンジ大阪国際女子マラソンで2時間21分47秒の好記録をマークし、当時の設定記録2時間22分22秒を上回って優勝。3枠目の代表内定に大きく詰め寄った。しかし、同3月の名古屋ウィメンズマラソンで、一山が松田の記録を破って優勝したため一山が代表に内定した。

今大会では、前田の日本記録を上回って日本人最上位にならなければパリ2024の代表枠を獲得することはできない。新たな日本記録が生まれるのか。東京2020の時のような大波乱は起こるのか。女子日本代表の1枠をかけたラストチャンスにかける選手たちの大挑戦に注目だ。

以下、注目の女子日本選手を紹介しよう。

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鈴木亜由子:オリンピック3大会出場の夢

自己ベスト:2時間21分52秒(2023年名古屋ウィメンズマラソン)

昨年3月の名古屋ウィメンズマラソンで自己ベストをマークして日本人1位(総合2位)となった東京2020マラソン代表の鈴木亜由子リオ2016の女子5000m代表でもある鈴木は、今大会でパリ2024のマラソン代表枠を獲得しオリンピック3大会連続出場の夢を追い続けている。

東京2020出場をかけた2019年MGCでは、2位に入り代表に即内定した鈴木だったが、昨年のMGCでは12位に終わった。フィニッシュ後に雨の中を呆然と立ちすくむ姿が記憶に残る。その悔しさをばねに、2月にはアメリカ合衆国で高地トレーニングを積んできたという。夢に向かって32歳、地元出身の鈴木が挑む。

安藤友香:今度は「マラソン」でオリンピック出場を目指す

自己ベスト:2時間21分36秒(2017年名古屋ウィメンズマラソン)

安藤友香のもつ日本歴代8位にあたる自己ベストは、日本選手の中で最もよいタイムだ。しかも、2022年名古屋ウィメンズマラソンで日本人1位(総合3位)、2020年は同2位と同大会とは相性がよさそうだ。東京2020では10000mに出場している安藤だが、マラソンでオリンピックに出場する夢がある。昨年のMGCでは9位に終わったが、ここで一気に巻き返しを図る。

加世田梨花:若い力で日本記録を狙う

自己ベスト:2時間21分55秒(2022年ベルリンマラソンン)

昨年8月の世界陸上ブダペスト大会で19位だった加世田梨花は、そこからわずか2か月もない後のMGCで4位に入り健闘した。今大会には初めての出場となるが、25歳の若さには誰も予想することのできない潜在力があるはずだ。それによって日本記録を破ることは決して夢ではない。世界の舞台を経験し、今度はパリでオリンピック初出場を狙う。

その他の注目選手

昨年の大阪マラソンで2時間23分8秒の自己ベストを叩き出し、日本人1位(総合3位)に入った25歳の渡邉桃子にも注目だ。また、昨年のアジア競技大会(中華人民共和国・杭州)の女子マラソンで5位に入賞した23歳の大西ひかり(自己ベスト2時間25分54秒/2022年ベルリンマラソン)にも期待したい。

日本記録を上回るタイムでフィニッシュを目指しパリ2024の代表枠を手繰り寄せるには、ペースメーカーをうまく活用しながら、攻めの強い気持ちで臨む必要があるだろう。日本記録を上回る自己ベスト(2時間18分11秒)を持つ2022年世界陸上オレゴン大会の覇者、ゴティトム・ゲブレシラシエ(エチオピア)に食らいついて走る覚悟と、パリの舞台への強い思いがあればそれは決して不可能ではない。

なお、出場が予定されていた国内招待選手のうち、MGC3位の細田あいは故障のため欠場となっている。