東京2020で、空手は華々しいオリンピックデビューを飾った。
フェリアル・アブデルアジズは、世界ランキング1位のイリーナ・ザレツカ(アゼルバイジャン)を破り、オリンピックで金メダルを獲得した初のエジプト人女子選手となった。
スペインの形の達人たちにとっては、複雑な結果となった。
サンドラ・サンチェスは崇高な演技で審査員を魅了したが、男子では、同胞のダミアン・キンテロは長年のライバルである日本の喜友名諒に敗れて優勝を逃した。
ここでは、最も印象的な瞬間を振り返り、組手と形のメダリストや、東京での空手のハイライトやリプレイの視聴方法も紹介する。
東京2020 空手トップ5の瞬間
オリンピック初登場の空手の注目トピックスを振り返ろう
1:喜友名諒が形で金
沖縄県出身の喜友名諒が、スペインのダミアン・キンテロを破り、祖国と、この競技にとって歴史的なメダルを獲得した。そしてなにより空手は、沖縄発祥のスポーツだ。
3度世界チャンピオンに輝いている喜友名は、28.72という完璧なスコアを出し、2018年2月から続く無敗記録を更新した。
「母にも表彰台の頂上からの景色を見てもらい、オリンピックで金メダルを取るという約束を守ったことを伝えたかった」
亡き母の写真を手にメダルセレモニーに臨んだ喜友名は、そう語った。
2:不屈の王者、サンドラ・サンチェス
形のもう一人のスター選手は、年齢を感じさせないサンドラ・サンチェスだ。彼女はこの競技で史上初の女性オリンピックチャンピオンとなった。
それにより、39歳のサンチェスは、ヨーロッパ、世界、そしてオリンピックのチャンピオンに君臨。さらにスペインで最年長のオリンピック金メダリストとなった。
2014年以来、空手界のトップシリーズで無類の強さを誇っているサンチェス。彼女の勢いは、今後も衰える気配はない。
3:エジプト初のオリンピック王者となったフェリアル・アブデルアジズ
フェリアル・アブデルアジズは、東京2020の空手で最大の番狂わせを演じた。
第8シードのアブデルアジズは、女子組手61kg超級の決勝で、世界ランキング1位のイリーナ・ザレツカ(アゼルバイジャン)を2-0で破った。
これはアブデルアジズのキャリアにとって、2018年の世界選手権での銅メダル、2019年のアフリカ大会での銀メダルに続く最大の勝利となった。
彼女のこの勝利は、母国で大きな意味を持つ。彼女は、今回のオリンピックでエジプト唯一の金メダリストであり、同国で初の女性オリンピックチャンピオンになった。
4:ヨバナ・プレコビッチが歴史的なメダル獲得
もう一人の傑出したメダリストは、セルビアの女子選手として2人目のオリンピック金メダリストとなったヨバナ・プレコビッチだ。
2018年の世界チャンピオンである彼女は、女子組手61kg級の決勝で、中国の尹笑言を下した。
「このためにたくさんの努力をしてきたので、とても嬉しくて、感情的になりました」
「審判を見ていなかったので、後ろを振り返ってみたら、私が金メダルを取ったのだとわかりました」
5:サジャド・ガンジザテのドラマチックな勝利
イランのサジャド・ガンジザテは、ノックアウトされて気を失った。しかし男子組手75kg超級で金メダルを獲得したのは彼だった。
タレグ・ハメディ(サウジアラビア)は4対1でリードしていたが、強烈な蹴りがはまると、相手は畳の上にくずれ落ちた。その結果ハメディは失格となり、タイトルはガンジザテの手に渡った。
「この金メダルを獲得できたことはとても嬉しい。けれど、このような形になったことは残念だ」とハメディは語った。
その他の注目トピックス
空手がついにオリンピック種目となった東京2020は、この競技にとって、夢が実現した大会となった。そして多くの選手たちが、ここで多くの新たな体験をした。
フランス人空手家3兄弟の一人、ステバン・ダ・コスタは、男子組手67kg級の決勝でトルコのエライ・サムダンを破り、この種目で初の金メダリストとなった。
また、女子55kg級の組手で金メダルを獲得したブルガリアのイベト・ゴラノバは、北京2008以来初めて、同国のオリンピックチャンピオンとなった。
「ゴリラ」の愛称で親しまれているイタリアのルイジ・ブーザは、男子組手75kg超級の決勝で、アゼルバイジャンのラファエル・アガイエフとの激戦を制した。
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空手の次の大会は?
世界選手権が今年の11月16から21日までドバイで開催される。
東京2020 空手の全メダルリスト
女子形
金:サンドラ・サンチェス(スペイン)
銀:清水希容(日本)
銅:劉慕裳(香港)
銅:ビビアナ・ボッタロ(イタリア)
男子組手-67kg級
金:ステバン・ダ・コスタ(フランス)
銀:エライ・サムダン(トルコ)
銅:ダルハン・アサディロフ(カザフスタン)
銅:アブデル・ラハマン・マサトファ(ヨルダン)
女子組手-55kg級
金:イベト・ゴラノバ(ブルガリア)
銀:アンジェリカ・テルリウガ(ウクライナ)
銅:ベッティナ・プランク(オーストリア)
銅:文姿雲(台湾)
男子形
金:喜友名諒(日本)
銀:ダミアン・キンテロ(スペイン)
銅:アリ・ソフオウル(トルコ)
銅:アリエル・トレスグティエレス(アメリカ)
女子組手-61kg級
金:ヨバナ・プレコビッチ(セルビア)
銀:尹笑言(中国)
銅:メルべ・チョバン(トルコ)
銅:ギアナ・ロトフィ(エジプト)
男子組手-75kg級
金:ルイジ・ ブーザ(イタリア)
銀:ラファエル・アガイエフ(アゼルバイジャン)
銅:スタニフラフ・ホルナ(ウクライナ)
銅:カーロイ・ガボル・ハールシュパタキ(ハンガリー)
女子組手61kg超級
金:フェリアル・アブデルアジズ(エジプト)
銀:イリーナ・ザレツカ(アゼルバイジャン)
銅:ソフィア・ベルルツェワ(カザフスタン)
銅:龔莉(中国)
男子組手75kg超級
金:サジャド・ガンジザテ(イラン)
銀:タレグ・ハメディ(サウジアラビア)
銅:荒賀龍太郎(日本)
銅:ウウル・アクタシュ(トルコ)