IOC難民選手団の**ジャマル・アブデルマジ・イーサ・モハメド**(27)はオリンピック出場という夢を実現させた。
モハメドは8月3日に行われた男子5000m予選2組に出場し、18人中13位でゴールして自己ベストの13分42秒98を記録した。6日に予定されている決勝には進めなかったものの、彼は胸を張ってオリンピックスタジアムを後にした。
モハメドが身の危険を感じてスーダンを離れたのは11年前のことで、それ以前にスポーツの経験はない。陸上競技での目標は、世界中に広がる何百万人もの難民に勇気を与えること。モハメドは、まさにそれを達成した。
逆境を越えて強くなる
モハメドは2010年、戦争で荒廃したスーダンのダルフールを脱出。その7年前には、政府の支援する市民兵によって父親が殺された。彼は国境を越えてエジプトに渡り、最終的にはイスラエルに避難して、ワンルームアパートで7人の移民と生活を開始。故郷の難民キャンプにいる家族を支援するため、塗装工の職を見つけた。
「若いときに悲惨なことが起こり、今よりもはるかに大変なことを経験し、それを乗り越えてきた人を見ると、障害を乗り越えるのが容易になります。自分もきっと乗り越えられると思うのです」
ジャマール・アブデルマジ・イーサ・モハメド、Haaretzより
彼はイスラエルにある、恵まれない子供たちに機会を提供するスポーツクラブで自身の長距離走の素質を発見する。2017年にはIOC難民アスリート奨学金を得て、フルタイムでのトレーニングに励み、向上し続けた。そして2019年の世界クロスカントリー選手権に参加。その後、東京2020のIOC難民選手団に選ばれた。
代表に選ばれたことを知ったときの気持ちについてモハメドは、「驚きました。夢は叶うものです。信じられないほどの高揚感がありました」「僕は叫んで、『お前、よくやったな!』って自分に言ってやりました」とOlympics.comに語った。
モハメドは世界中の難民にインスピレーションを与える存在になることを志し、「諦めなければ、すべてが可能になる」ということを絶対に忘れてはいけないと語った。