サッカーのブラジル代表チームは、ペレ、ガリンシャ、ジャイルジーニョ、ロナウド、ロナウジーニョといった選手たちが、その技術、才能、ゴールセンスでワールドカップを沸かせてきた。
ブラジルはワールドカップで5度優勝しており、代表チームのジャージの胸に輝く5つの星がその勝利を示している。
1958年に初優勝し、5度目の優勝となったのは2002年。彼らが最後に男子サッカー界の頂点に立って20年が過ぎようとしている今、ブラジルの多くのファンが彼らの優勝を待ち望んでいる。
Olympics.comでは、FIFAワールドカップの歴史におけるブラジルの5つの勝利を振り返ってみたい。
1958年ワールドカップ:ブラジルの初優勝
1958年のワールドカップ・スウェーデン大会は、ブラジルのレジェンド、ペレが国際舞台で圧倒的な輝きを放った大会として多くの人の記憶に残っている。
当時まだ17歳だったにもかかわらず史上最高の選手と称されたペレは、準々決勝のウェールズ戦(1-0)で決勝点を挙げ、準決勝のフランス戦(5-2)ではハットトリックを達成し、ワールドカップ決勝への道を切り開くことになった。
決勝では、開催国のスウェーデンと対戦し、ペレとババの2ゴールとマリオ・ザガロの1ゴールで5点を奪い、ブラジルはワールドカップ初優勝を飾った。
ハンガリーの伝説的な選手フェレンツ・プスカシュさんは「歴史上最も偉大な選手はディ・ステファノである。私はペレを選手として分類することを拒否する。彼はその上にいたのだ」と称えた。
1962年ワールドカップ:ヒーロー不在、2連覇の偉業
チリで行われた1962年のワールドカップでは、人々は再び偉大なペレの活躍を見ようと熱狂した。しかし、グループリーグで負傷した21歳のペレは、残りの試合に出場することはなかった。
準決勝でガリンシャが退場処分となったため、決勝は彼をも欠いての戦いになるかと思われたが、ブラジルの首相の呼びかけにより、FIFAが才能あふれるウインガーであるガリンシャの出場を認めることになった。
チェコスロバキア代表との決勝では、15分にヨゼフ・マソプストの先制点を許したが、そのわずか2分後にアマリウドが同点を決めると試合は振り出しに戻る。
しかし69分にジトが相手ゴールを割り、78分にはババが追加点をあげ、最終的に試合は3-1でブラジルの勝利となった。
1970年ワールドカップ:ペレの叫び
1966年のワールドカップ・イングランド大会ではグループリーグ敗退となり、屈辱的な経験をしたブラジル代表は、1970年のメキシコ・ワールドカップに戻ってきた。
だが、ワールドカップ初優勝から12年、偉大なるペレのパフォーマンスを疑問視する声や、ブラジルとペレの偉大な時代は終わったという声も少なからずあった。
しかし、ペレ、ジャイルジーニョ、カルロス・アウベルトといった伝説の選手が名を連ね、史上最高のチームとなったブラジル代表は、決勝でイタリアに4-1で勝利し、ワールドカップ4大会で3度目のトロフィーを掲げたのである。
チームメイトのリベリーノは、この大会でのペレについてFIFAにこう語っている。
「彼は終わったとみんなは言うけれど、僕たちが世界チャンピオンになったとき、彼はドレッシングルームに入って3回叫んだんだ。死んでいない。死んでいない。死んでいない。今でも胸が熱くなるよ。彼は間違いなく、歴史上最も偉大な選手だ」
1994年ワールドカップ:PK戦でのブラジルの勝利
3度の優勝を誇ったブラジルだが、1994年のワールドカップでは優勝から24年間も遠ざかった状態で大会に臨んでいた。
しかし、ロマーリオ、 ベベット、ドゥンガといった名選手に率いられたブラジル代表は、5勝1分けという大会記録で決勝トーナメントに進出した。
イタリアとの決勝戦は、FIFA史上唯一、延長戦でもノーゴールとなり、PK戦で世界王者が決定することとなった。
両者とも最初のPKを外したが、ブラジルはその後3連続得点(ロマーリオ、ブランコ、ドゥンガ)。イタリアのロベルト・バッジョが自国の最後のキックを外したのを受け、ブラジル・サポーターは歓喜に沸いた。
チームのパフォーマンスに対する批判を受けていたブラジル代表のカルロス・アルベルト・パレイラ監督は、4度目の優勝を飾った後、フランク・シナトラの台詞を引用。「I did it my way」とコメントし、「そして最後まで、変化することなく、屈することなく、やり遂げたんだ」と続けた。
2002年ワールドカップ:ブラジル5度目の勝利、優勝回数トップに
2002年のワールドカップでは、ロナウド、リバウド、ロナウジーニョ、カカといった恐るべき攻撃陣に加え、キャプテンのカフーやロベルト・カルロスなど、多くのスター選手を擁する伝説的なチームで大会に臨んだ。
ワールドカップ決勝でフランスに敗れてから4年、ブラジルはリベンジに燃えていた。ルイス・フェリペ・スコラーリ監督率いるブラジル代表は、グループリーグで3勝11ゴールをあげ、決勝トーナメントでベルギー、イングランド、トルコを破り、ドイツとの決勝戦に臨んだ。
8ゴールを挙げ、大会の得点王となったロナウドは、決勝戦でも圧倒的な活躍でブラジルに5度目の優勝をもたらした。
ブラジルがワールドカップで優勝したのは日本と大韓民国の共同開催となったこの大会が最後だ。カタール大会でブラジルは20年ぶりにトロフィーを掲げることができるだろうか?