バイアスロンの偉大なるライバルたち:ヨハネス・ティングネス・ベー vs ストラ・ホルム・ラグレッド

北京2022冬季オリンピックのバイアスロンは、ベテラン選手ベーと、期待の新星ラグレッドが繰り広げるノルウェー人同士のライバル対決に注目が集まっている。そして、友人関係にもあるふたりが、同じチームで戦う団体戦でのノルウェーの活躍からも目が離せない

文: Ilya Yashynin
写真: 2018 Getty Images

昨シーズン(2020/2021)の男子バイアスロンは、誰もがそわそわするように見守っていた。なぜなら、絶対的王者が不在で、何が起こるのか、誰が勝つのか、まったく予想できなかったからだ。

ワールドカップ総合優勝を7季連続で果たしていたフランスのマルタン・フールカデが、2020年春に引退を発表し、新たなスターの誕生をドキドキしながら待っていたのだ。

その候補にあがっていたのが、フールカデと互角の争いを繰り広げていたノルウェーのヨハネス・ティングネス・ベーであり、大方は彼の一強と見ていた。

しかしながら、それに待ったをかけたのは、同じくノルウェーの若手バイアスリート、ストラ・ホルム・ラグレッドだった。昨季に繰り広げられた、ノルウェー人同士の偉大なライバル対決とその友情に迫る。

新参者

昨シーズン最初のレースで、ベーとラグレッドは直接対決をする。ラグレッドは、20のターゲット中その全てを的中させ、インディビジュアル種目で優勝する。ひとつだけ的を外したベーとは、およそ20秒の差をつけていた。

ラグレッドにとって、このレースは5度目の出場となるワールドカップで、周囲の評価もそこまで高くはなかった。というのも、バイアスロンでは、番狂わせがよく起こるため、ラグレッドの勝利もそのひとつと見られていた。しかし、それは誤りだった。最終的に、ラグレッドはシーズン全体で7勝をあげ、それには世界選手権での個人2種目の優勝を含んでいる。さらに、スロベニアで行なわれた大会では、1大会だけで4個の金メダルを獲得し、レジェンドと呼ばれた偉大な選手たちが成し遂げてきた快挙を、いとも容易く達成したのだった。

一方のべーは、パシュートの銅メダル、ラグレッドと共に出場したリレー競技で団体金メダルを獲得したのみで、世界選手権では思うような個人成績を残せずにいた。しかしながら、ワールドカップ総合成績で第1位となり、優勝者に与えられるクリスタルグローブのトロフィーをその手中に収め、存在感を見せつけた。

長所と短所

ラグレッドの強みは、92.6%の精度を誇る射撃能力にある。

「以前は、僕がストラ(・ラグレッド)のために射撃を指導していたのに、今では彼に射撃のことについてアドバイスを求めることがあるよ」と、ベーが話す。

課題の残った昨季を経て、ベーは今、射撃のトレーニングに注力している。2021年5月、家族とともに、オスロから90km離れたコングスヴィンゲルへ引っ越し、自宅の裏庭に建設した彼専用のシューティング施設で、その射撃技術に磨きをかけている。一方のラグレッドは、オフシーズンの間、クロスカントリースキーのスピード強化に重点を置いてトレーニングしていた。

「ヨハネス(・ベー)には、天性のスピードがある。なにか、特別なトレーニングしている様子もない。その点は、本当に彼を羨ましく思います」と、ラグレッドはベテラン選手を称える。

とてもいい関係

先週末(11月23日)より、今シーズン(2021/2022)のバイアスロンの戦いがついに始まった。その初戦ではラグレッドが優勝、ベーも次戦での返り咲きに向けて余念がない。ふたりの対決はこれからも続き、そのクライマックスは北京2022のオリンピックの舞台になることだろう。

タイトル獲得を目指して激しい戦いを繰り広げるライバル関係でありながら、ベーとラグレッドのふたりは、よく一緒に雪上にいる場面を見かける。

「射撃エリアやホテルの廊下で、フールカデと鉢合わせになった時は、雰囲気はそんなによくなかったけれど、ストラの場合は真逆だね。共に戦うアスリートとして、特に同じチームで戦うこともあるから、とてもいい関係だとハッピーに思うよ」と、ベーが話す。

ベーにとって、北京2022は3度目のオリンピックとなる。ソチ2014では思うような結果が残せなかったけれども、平昌2018では、金メダル1個と銀メダル2個を獲得した。

そして、ラグレッドにとっては、北京2022が初のオリンピック出場となる。世界タイトルを獲得した新星がどんなパフォーマンスを北京で見せるのか、今から楽しみで仕方がない。

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