ギャビン・ボッガー「全ては必然的に起こった」

1 執筆者 Annie Fast
Gavin Bottger OQS Shanghai
(2024 Getty Images)

カリフォルニア州オーシャンサイド出身、17歳のグーフィー・フッター(右足をボードの前に置く)のギャビン・ボッガーは、すでに10年以上のスケートボード経験がある。現在、ボッガーは世界スケートボードランキング(パーク)を急上昇中だ(6月7日時点で3位)。

16歳の時、彼はローマで開催された2023年WSTパーク世界選手権で初優勝を飾り、男子パークの世界タイトルを獲得した3人目のアメリカ合衆国代表のスケートボーダーとなった。また、今年の3月には、ワールドスケートボードツアー(WST)パーク・ドバイ大会で2位という好成績を収めている。

ボッガーは、5月に上海で行われたオリンピック予選シリーズ(OQS)第1戦上海大会の前に、これまでの大会での経験、競技への取り組みなどについてOlympics.comに語った。

ボッガーのオリンピック予選への道

ギャビン・ボッガーは、OQS上海大会前の男子パーク世界ランキングにおいて、東京2020ストリート種目銅メダリストでチームメイトのジャガー・イートンより上位にランクされていた(同大会で6位に終わった現在は3位、イートンは2位にランクされている)。

2022年12月、ボッガーは16人のスケートボード米国代表チームのメンバーに選出された。当時15歳の彼はすでに主要大会で好成績を収めており、2022年デュー・ツアー男子パークでは、東京2020パーク種目の金メダリスト、キーガン・パーマー(オーストラリア)らを破って優勝を果たしていた。

チームに選ばれた後、ボッガーの成績は飛躍的に向上した。彼はローマで開催された2023年WSTパーク世界選手権で優勝し、男子パーク種目の世界タイトルを手に入れた。ボッガーは、よき友人でもあるライバル、ルイジ・チニ(ブラジル)とテイト・カリュー(アメリカ合衆国)に囲まれて表彰台に立った。「優勝した時は言葉を失いました。出したいと思った言葉を出すことさえできませんでした。いっしょに育った2人とこの大きな大会で一緒に表彰台に立つなんて信じられません。とても楽しかったです」とボッガーは話した。

ボッガーは、さらにWSTパーク・ドバイ大会で準優勝し、この時点で世界ランキングのトップに上り詰めた。

ボッガーは、オリンピックへの道のりが意図的だったわけではないと言う。「確かにオリンピックへの意識はありますが、ワールドスケートに出て、オリンピック予選に出て、ただ競技を行っているだけです。全ては必然的に起こったのです」

競技では何がボッガーを駆り立てるのか?

穏やかに話すボッガーに、勝つための競争心がどこから来るのか尋ねたところ、「心の中で自分自身と戦っています。着地に最大限、集中しています」と話した。

ボッガーの世界選手権でのパフォーマンスは、この精神力が示された。彼は、「これが最後のランで、これが最後のトリックだとわかっていたから、とにかく着地しなければなりませんでした…。そして、うまくいったのです」と振り返った。

ボッガーは、最後のトリックは「アラウンドザワールド540トゥフェイキー」だったと説明した。彼はそれを完璧にこなした。アナウンサーは興奮し、観客は拍手喝さいを送り、競い合ったライバルたちからも称賛を受けた。

競技自体が彼のスケートボードにどのような影響を与えるかについて尋ねると、「もし競技でなければ、私はこれほど一貫して滑っていなかったと思います」とボッガーは話した。会場の観客からエネルギーを感じていると言うが、「競技に集中していると、周りのことがほとんど見えなくなってしまいます」と明かした。

僕は滑ることが好きなだけ

ボッガーは、スケートボードが盛んなカリフォルニア州ビスタに住んでいる。トレーニングするためのスケートパークはたくさんあるが、ボッガーにとっては特に意に介さない。

「僕にとって、スケートボードをすることは決してトレーニングではありません」とボッガーは言う。「僕はただ滑るだけで、コーチもいません。僕は滑ることが好きなだけで、オリンピックについてはあまり気にせずに滑ることを楽しんでいます」

ボッガーが主にスケートをするパークの1つは、ビスタにあるインドアのスケートパーク、カリフォルニア・トレーニング施設(CATF)だけだ。この施設は、米スケートボード連盟と提携しており、ジャガー・イートン、テイト・カリュー、トム・シャールブライス・ウェットスタイン、リアム・ペースらトップボーダーが滑っているのを見かけることは珍しくない。

ストリートを滑り続けるボッガー

パークの外では、ボッガーはストリートで滑っている。「ストリートこそ僕のスケートボードには重要です。それは僕が成長する中で経験してきたことであり、それこそが僕を育ててくれたスケートボードです。だからこそ、ストリートこそ自分がやりたいことなのです」とボッガーは話した。

ボッガーがストリートで経験したことは、パークでの彼のランで見ることができる。「確かにパークで役立っています」ストリートで障害物を見つけて滑る経験が、パークでのラインを描く際の創造力に役立っていると説明した。「友達と一緒にそこにいて、必ずしも滑るためのものではないところを滑ることは、本当にとても楽しいです」と、ボッガーはつけ加えた。

パーク種目に加え、いつかストリート種目にも出場するかと尋ねると、「まだ両方の種目に出たいかどうかはわかりません。ジャガー(イートン)を見ていると、まだまだたくさんのことを経験しなければならないと思うからです。でも、もし僕がストリートでも実力をつけることができたら、やってみるかもしれません」と、ボッガーは話した。

競技に向けてボッガーが考えること

競技に向けて、ボッガーはまず、パークのレイアウトを頭に描く。とはいえ、事前にどんなラインで滑るか具体的には考えていないと言う。

「会場に行けば、いつも違うものになります」と説明する。「僕はただベストを尽くして滑って、できるだけ早くパークを理解しようとするだけです」

ボッガーにとっての次の競技は、6月20日から23日までハンガリー・ブダペストで開催されるオリンピック予選シリーズ第2戦だ。全ては必然的に起こるか注目したい。

オリンピック予選シリーズ・ブダペストのライブ配信は?

6月20日から23日にハンガリー・ブダペストで開催されるオリンピック予選シリーズ第2戦の模様は、Olympics.comのOlympic Channnel、またはオリンピック公式アプリでライブ配信予定。

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