日本プロサッカーリーグ1部・2022明治安田生命J1リーグが2月18日に開幕を迎える。パリ2024はすでに2年後に迫っており、“パリ世代”にとっては重要なシーズンとなるだろう。昨夏の東京2020には国内から12選手が日本代表に選出。パリ2024も同様に多くの選手がJリーグから選ばれることが予想される。本稿では2022年シーズンのJ1開幕を前に、“パリ世代”の注目選手を4名をピックアップ。ポジションや経歴、プレースタイルを紹介していく。
■荒木遼太郎
- ポジション:MF
- 所属:鹿島アントラーズ
東福岡高校から2020年に常勝軍団・鹿島アントラーズに加入し、プロ1年目から26試合に出場したアタッカー。プロ2年目となった2021年シーズンは攻撃の軸として躍動し、36試合10得点という立派な成績を残した。10代の選手が2桁ゴールを記録するのは、1994年の城彰二(元日本代表)以来27年ぶりの快挙だった。
ゴールに向かっていくアグレッシブな姿勢やシュートの積極性、正確性が魅力の攻撃的MFだが、ポジショニングも素晴らしく、サッカーIQの高さを感じさせる。相手の選手間やライン間、いわゆる中間ポジションに立ち位置を取り、パスを呼び込むプレーも見事なのだ。
鹿島では26番、13番、そして今シーズンから10番を背負う。しかし、名門クラブの10番をまとう姿をいつまで見られるかは分からない。近い将来、ヨーロッパに旅立ってもおかしくないからだ。鹿島のOBであり、パリ2024日本代表チームの指揮官に就任した大岩剛監督も、荒木遼太郎を攻撃の中心として考えているに違いない。
■田中聡
- ポジション:MF
- 所属:湘南ベルマーレ
遠藤航(現日本代表)や齊藤未月(元U-23日本代表)を輩出した湘南ベルマーレのアカデミー出身らしく、走れて、闘えて、ボールを奪い取れるボランチだ。トップチームデビューを飾ったのは、湘南U-18に所属していた高校3年時の2020年シーズン。身長174cmながら高い対人能力を買われて3バックの左に抜擢され、主力としてリーグ戦17試合に出場した。
アンカー(中盤の底)にコンバートされた2021年シーズンは、大黒柱としてリーグ戦36試合に出場。もともと物おじしないタイプだが、中心選手としての自覚も備わってきた。
守備におけるプレーは文句の付けようがなく、目下の課題は攻撃面だろう。ゲームをコントロールすることや、攻撃のビルドアップにもっと絡みたい。左足の一発を秘めているだけに、ミドルシュートも武器にしたいところだ。今シーズンの湘南ではインサイドハーフにもチャレンジする予定。田中聡のプレーの幅が広がることは、そのままパリ2024日本代表チームの戦い方の幅が広がることを意味している。
■鈴木彩艶
- ポジション:GK
- 所属:浦和レッズ
この世代の絶対的な守護神だ。浦和レッズユースに所属していた高校3年時からトップチームに帯同し、ルーキーだった21年シーズンには、元日本代表GKの西川周作からポジションを奪った時期もあるほどだ。身長190cmの恵まれた体格を生かした伸びのあるセーブやハイボール対応はもちろん、ビルドアップにおけるキックに磨きをかけるなど、総合力が極めて高い。
昨年はひとつ上の世代である東京2020のメンバーに“飛び級”として選出された。出場することは叶わなかったが、メダルを逃した先輩たちから「パリは頼んだぞ」と声をかけられ、奮起している。
将来の夢は、浦和のリーグ優勝に貢献して海を渡り、イングランドのプレミアリーグでプレーすること。浦和でポジションを争う西川も「ジャンプ力、身体能力、体付き……。僕にないものを持っている。あと、すごく真面目」と太鼓判を押すポテンシャルの持ち主だ。まずは浦和での定位置奪還が目標となる。
■細谷真大
- ポジション:FW
- 所属:柏レイソル
パリ世代のエース候補として、細谷真大を挙げないわけにはいかない。ドリブル突破とシュートへの意欲が高いストライカーで、柏レイソルU-18所属だった2019年シーズンに天皇杯でゴールをマーク。プロ2年目となった2021年シーズンは28試合3得点の数字を残した。
これまでは年代別代表とは縁がなかったが、21年10月に行われたAFC(アジアサッカー連盟)U23アジアカップウズベキスタン2022予選で代表に選出されると、カンボジア戦、香港戦で1ゴールずつをマーク。「国歌斉唱を聞いて代表なんだなと感じた。覚悟ができた」と国を背負うことへの責任も生まれている。
現在はポストプレーの精度向上に取り組んでおり、得意ではなかった1トップとしてのプレーに磨きを掛けている。2月11日に行われたジェフユナイテッド千葉とのプレシーズンマッチでスタメン起用されたのは、ネルシーニョ監督の期待の表れだろう。2トップを組んだ新外国籍選手のドウグラスの決勝ゴールをアシストし、期待に応えてみせた。今季の目標は2桁ゴール。パスを呼び込む動きに磨きを掛けて、目標を達成したい。