**コルビー・スティーブンソン**にとって、毎年5月8日は “人生を祝う日” だ。
なぜなら彼は、2016年5月8日に遭遇した自動車事故で、幸運にも命拾いをしたからだ。その彼が、銀メダルを首にかけて北京2022を後にすることができるとは。
スティーブンソンは、初開催となった男子フリースタイルスキー・ビッグエアで見事な演技を披露し、金メダルを獲得したノルウェーの21歳、**バーク・ルートに次いで銀メダルを手にした。スウェーデンの30歳のベテラン、ヘンリク・ハーロウ**は銅メダルを獲得した。
Olympics.comは、ユタ州パークシティ出身の彼に、彼の偉業について話を伺った。
「肩を痛めて2018年のオリンピックに出られなかった時は、心が折れそうだった。仲間たちの演技を見るのは僕の人生の中で興味深い体験ではあったけれど、実際にこの場所に来て、オリンピックチームに入れたことは、それ自体がものすごく名誉なことだと感じる」
「ビッグエアは通常、僕が得意としている種目ではなくて、これまで表彰台に上ったこともなかった。だから表彰台をそれほど期待していたわけではなかったけれど、新しいトリックを使っていたし、うまく決められればチャンスがあるとわかっていたから、ただそのことに集中したんだ」
「新しいトリックは、ジャパングラブを使ったノーズバター16。あのトリックでジャパングラブでやるのはたぶん僕が初めてだから、ものすごくワクワクしたよ。映画のワンシーンのような感じだった。今、自分が雲の上にいるような気がする。他にどう説明したらいいのかわからない。自分にとってこれが初めてのビッグエアでの表彰台で、それがオリンピックで実現したんだからね。アメージングだ!」
“あれを生き延びることができたなら、どんなクラッシュでも生き延びられる”
2016年にアイダホの田舎町で事故に遭い、瀕死の状態になった後、コルビー・スティーブンソンは医師からフリースタイルスキーの競技に復帰できる確率は低いと言われた。
彼はこの事故で、頭蓋骨、肋骨、眼窩、顎、首を骨折。頭蓋骨にチタンプレートを埋め込む手術を含め、2回の大手術を受けなければならなかった。
「そのことは気にしていないんだ。もう過去のことだから。でもそこから復帰して、また高いレベルで滑ることができるようになった。それはものすごく幸運なことだと思っている」
「あれを乗り越えたなら、ここでどんなクラッシュに遭っても大丈夫だ、と僕は思っているんだ。だからただ、全力を尽くしてプッシュし続けるだけ。僕はとにかくこれをすることが大好きだから、なにも僕を止めることはできないのさ」。
“自分の居心地の良い領域から飛び出し、新しいことに挑むことは健全なこと”
「この競技を通して人生について教えられた最大のことは、自分のコンフォートゾーンから抜け出すことは、健全だということ。とくに今年はそのことをたくさん学んだ。大会ごとに新しいトリックを学んでいるんだ。ここ2、3年はもっとゆっくりなペースだったけれど、ようやく良いジャンプができるようになって、それらを決められるようになった」
「人生において、自分のコンフォートゾーンから抜け出すことはとても重要だ。そうすることで、エキサイティングで、ハッピーで居続けることができる。そこから抜け出して、自分が好きなことをして、新しいことを学び、できる限り多くのことに挑戦してみてほしい」
おそらく2月9日も、スティーブンソンのカレンダーの中で “人生を祝う日” になることだろう。